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円高・円安が進んだら、投資信託にどんな影響があるの?

ニュースで「円高」「円安」などと聞くと、なんだか遠い世界の話のように感じる方もいるかもしれません。しかし、円高・円安は投資に大きな影響を与えます。私たちが運用している投資信託には、どのような影響があるのでしょうか。
今回は、円高・円安が進んだ場合の資産の変化と資産配分の考え方についてご紹介します。

円高・円安ってそもそもなに?

円高・円安とは、「外国の通貨(ドルなど)から見て、円の価値が高くなったか安くなったか」を表す言葉です。1ドル=100円のときは1ドルで100円が手に入ります。これが1ドル=110円になったら、1ドルで110円が手に入ることになるのですから、「ドルから見て円の価値が安くなった」、つまり円安というわけです。反対に1ドル=90円になったら、1ドルで90円しか手に入らなくなったので、「ドルから見て円の価値が高くなった」、つまり円高といえます。

円とドルのように、異なる2つの通貨の交換比率のことを「為替レート」といいます。為替レートは平日24時間、日々上下しています。そのため、ニュースなどでよく「本日の為替レートは…」と報じられているのです。ニュースでは多くの場合、円とドルの為替レートが紹介されますが、為替レートは2つの通貨の組み合わせの数だけ存在します。為替レートがあるからこそ、海外旅行や貿易などで他の国とのやりとりができるのです。

為替レートにおいて、2つの通貨はシーソーのような関係があります。先の円とドルの例でいうと、円高とドル安、円安とドル高はセットで起こります。円とドルを比べて、円が欲しい人が多ければ円高(ドル安)、ドルが欲しい人が多ければ円安(ドル高)になります。

2021年に外貨建て資産に投資していたら?

2021年の円とドルの為替レートは、大きく円安(ドル高)に動きました。年初は1ドル=103円ほどでしたが、年末には1ドル=115円と、1年間で12円ほども円安になったのです。それだけ、ドルをはじめとする外国の通貨が欲しい人が多くて、円が欲しい人が少なかったことになりますが、投資の世界で考えると、そこまで悪いことではありません。なぜなら、為替レートが円安に進むと、外貨建ての資産の価値が高まるからです。

たとえば、米国株に投資する米国株ファンドのような投資信託を、1ドル=100円のときに100万円分(1万ドル分)購入したとします(手数料等は考慮しません)。
仮に、この投資信託がまったく値動きしなかったものの、為替レートが円安に進んで1ドル=110円になったとします。このときに売却したら、1万ドル=110万円ですから、10万円の利益が生まれます。逆に、1ドル=90円になったときに売却すると、1万ドル=90万円なので、10万円の損失が生じます。こうした、為替レートの変動によって生まれる利益を為替差益、損失を為替差損といいます。

すでに紹介したとおり、2021年は為替レートが円安に進みました。ですから、2021年当初からこの投資信託を購入していれば、為替差益が得られているケースが多いでしょう。

加えて、2021年の米国経済は好調で、株価が大きく値上がりしました。米国の代表的な株式指数のひとつ、「S&P500」と米ドル/円の為替レートの推移をグラフにまとめると、次のようになります。

S&P500と米ドル/円の為替レートの推移(2021年、日次)

(株式会社Money&Youにより作成)

S&P500は米国のニューヨーク証券取引所やナスダックに上場する銘柄のうち、主に時価総額の大きい500社の株価をもとに算出される指標です。S&P500が上昇しているということは、米国株は総じて好調だといえます。それに合わせるように、米ドル/円の為替レートも上昇(=円安ドル高)している様子が見てとれます。

こうした時期に、S&P500と連動する投資信託に投資していれば、為替差益と経済成長による値上がり益の両方を得られたでしょう。

もっとも、これは今にはじまったことではありません。
実は、株価と為替レートの関係は日本市場にもあります。日本市場でも、円安と株価上昇は同じようなタイミングで起こりがちなのです。日本の株価指数のひとつ、TOPIXと米ドル/円の為替レートの長期的な推移から、その様子が見てとれます。

TOPIXと米ドル/円の為替レートの推移(2005年〜2021年、月次)

(株式会社Money&Youにより作成)

TOPIXは、東京証券取引所の1部(東証1部)に上場するすべての会社の株価をもとに算出される株価指標です。(2022年4月4日以降、TOPIXの構成銘柄は、「プライム」「スタンダード」「グロース」の3市場の株式で構成され、新たに追加される銘柄については、「プライム」市場に新規上場するものに限られます。)全体的に、米ドル/円の為替レートが円安になると、TOPIXも上昇している様子が見て取れます。ただ、逆もまたそのとおりで、為替レートが円高になると、TOPIXも下落している状況です。

為替変動の影響を正しく理解し、日本と外国の資産を分散して投資するのが正解

「それなら、米国株ファンドのような外貨建て資産だけ持っていればいいのでは」と思われる方がいるかもしれません。確かに、米国は日本より成長力が強く、右肩上がりで成長を続けています。しかし、そうした成長が今後ずっと続くとは限りません。

現に2022年に入ってから、米国株は下落基調を見せています。米国の株価が下落し、円高(ドル安)がやってきたときに、仮に米国だけに投資を集中させてしまっていたら、資産を大きく減らしてしまう可能性もあるでしょう。絶対に儲かり続ける金融商品はないのです。

ですから、外貨建て資産だけでなく、日本の資産も同時に持っておくことが大切です。たとえば日本株ファンドや、複数の資産・地域に投資するバランスファンドなどを持っておけば、投資のリスクを抑える「分散投資」の効果が期待できます。2021年に米国だけに投資して利益を上げた方は特に、今後の相場変動を踏まえて分散投資を検討することをおすすめします。

イオン銀行では、米国株ファンドはもちろん日本株ファンドやバランスファンドなど、国内の資産に投資する投資信託も多数取り扱っています。さらに詳しく知りたい方は、店舗やオンライン相談で、365日いつでもご相談ください。

  • 本ページは2022年5月時点での情報であり、その正確性、完全性、最新性等内容を保証するものではありません。また、今後予告なしに変更されることがあります。

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マネーコンサルタント 頼藤 太希
(株)Money&You代表取締役。中央大学客員講師。マネーコンサルタント。日本証券アナリスト協会検定会員。

慶應義塾大学経済学部卒業後、外資系生保にて資産運用リスク管理業務に従事。2015年に(株)Money&Youを創業し、現職。女性向けWEBメディア「FP Cafe」や「Mocha」を運営。著書は『はじめての資産運用』『1日5分で、お金持ち』『はじめてのNISA&iDeCo』など多数。twitter→@yorifujitaiki

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