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つみたてNISAやめたほうがいい?デメリットや注意点をプロが解説

つみたてNISA(積立NISA)について興味はあるけれど、「つみたてNISAはやめたほうがいい」という声も聞きます。つみたてNISAは、本当にやめたほうがいいのか、やったほうがいいのか、注意点やリスク、メリット・デメリットについて解説します。

そもそも「つみたてNISA」とは?

つみたてNISAは、投資で得られた利益が非課税になるNISA(ニーサ・少額投資非課税制度)の制度のひとつ。金融庁の基準を満たした投資信託・ETF(上場投資信託)に積立投資をする制度です。つみたてNISAは、日本に住む18歳以上の方であれば原則どなたでも利用できます。

投資で得られた利益には通常20.315%の税金がかかります。しかし、つみたてNISAで投資して得られた利益には税金がかかりません。つまり、税金がかからないぶんだけお金を効率よく増やせます。

なお、つみたてNISAで新規に購入できる期間は2042年までの予定でしたが、2024年にNISAの制度が改正されることを受けて、2023年までとなりました。2024年からは、新しいNISAの「つみたて投資枠」でつみたてNISAと同様の投資ができます。

つみたてNISAはやめたほうがいい?デメリット・注意点

非課税の恩恵が得られるつみたてNISAですが、デメリット・注意点もあります。

つみたてNISAのデメリット・注意点
●積立投資しかできない
●決められた投資信託・ETFしかできない
●短期投資に向かない
●投資金額が少ない(年間の非課税枠が少ない)
●[NISA全般]課税口座からNISAに移管できない
●[NISA全般]損益通算・損失繰越できない
●[NISA全般]元本割れの可能性がある

(株)Money&You作成

つみたてNISAのデメリット・注意点1:積立投資しかできない

つみたてNISAは、積立投資専用のNISAですので、一括での買付はできません。つみたてNISAで1年間に非課税で投資できる投資金額(非課税投資枠)は年40万円までですが、一度に40万円投資することはできません。

つみたてNISAのデメリット・注意点2:決められた投資信託・ETFしかできない

つみたてNISAで購入できる商品は金融庁の基準を満たしたおよそ200本の投資信託・ETF(上場投資信託)のみ。それ以外の投資信託やETF、さらには株式や債券などの金融商品を購入することはできません。

つみたてNISAのデメリット・注意点3:短期投資に向かない

後述しますが、投資信託は分散投資をしながら長期で利益を目指す商品です。長期間運用することで複利効果を味方につけ、効率よくお金を増やすことができるのです。短期投資では味方につけられる複利効果も限られていますし、それほどお金も増えません。

つみたてNISAのデメリット・注意点4:投資金額が少ない(年間の非課税枠が少ない)

つみたてNISAの非課税投資枠40万円は、月額に換算するとおよそ3.3万円です。月3.3万円以上投資したい場合、課税口座(特定口座または一般口座)を利用する必要があります。

【NISA全般のデメリット】注意点1:課税口座からNISAに移管できない

すでに課税口座で投資をしている方もいるでしょう。しかし、課税口座にある投資信託またはETFを一般NISAやつみたてNISAの口座に移すこと(移管)はできません。たとえば、課税口座にある資産が値上がりしているときに、一般NISAやつみたてNISAの口座に移して税金をゼロにしよう、といったことはできません。
2024年から始まる新NISAでも同様に、課税口座からNISA口座への資産の移管はできません。

【NISA全般のデメリット】注意点2:損益通算・損失繰越できない

損益通算とは、複数の口座の利益と損失を合算(相殺)した利益で税金を計算すること。たとえば「口座Aで40万円の損失、口座Bでは20万円の利益」があった場合、損益通算をしないと口座Bの20万円の利益に税金がかかりますが、損益通算をするとこの年は20万円から40万円を引いた「20万円の損失」となりますので、税金がかからなくなります。 さらに、損益通算で引ききれなかった損失(ここでは、20万円)は、「繰越控除」によって最大3年間にわたって繰り越し、翌年以降の利益から差し引くことができます。
しかし、NISAは損益通算や繰越控除の対象外です。

【NISA全般のデメリット】注意点3:元本割れの可能性がある

NISAに限らず、投資には元本割れの可能性があります。いくら「つみたてNISAでは金融庁の基準を満たす投資信託を購入でき、利益にかかる税金をゼロにできる」といっても、値動きによっては損をすることもあります。

つみたてNISAをやめたほうがいい人はどんな人?ほかに何をすればいい?

以上を踏まえると、つみたてNISAに向いてない人は以下のような方だといえます。

つみたてNISAに向いてない人
●短期間で大きな成果を出したい人
●一括投資をしたい人
●年間投資予定額が40万円以上の人

(株)Money&You作成

つみたてNISAに向いてない人1:短期間で大きな成果を出したい人

つみたてNISAは、あくまで20年という長期間の投資で成果を出す投資です。金融庁の「つみたてNISA早わかりガイドブック」によると、5年間にわたって積立・分散投資をした場合は元本割れの可能性もある一方、20年間を行なった場合の運用成果は年3%~10%の間に収まっていると説明されています。投資信託は、長期間の投資で成果を出す投資なのです。したがって、つみたてNISAは短期間で大きな成果を出したい人には向いていません。

短期間で大きな成果を出したいのであれば、たとえば株式投資やFX(外国為替証拠金取引)のような投資のほうが向いているかもしれません。確かに、思惑どおりになれば、大きな成果が期待できます。
しかし、リスクとリターンは表裏一体。短期間で大きな成果を出せるということは、同時に短期間で大きな損失を被ることもある点は押さえておきましょう。

つみたてNISAに向いてない人2:一括投資をしたい人

つみたてNISAでは、毎月など定期的に一定額ずつ投資する積立投資を行います。したがって、市場の動向を見てタイミングを計り、一括投資をしたいという人にはつみたてNISAは向いていません。同じく非課税の恩恵が受けられる「一般NISA」であれば、上場株式・ETF(上場投資信託)・REIT(不動産投資信託)・投資信託に非課税で一括投資ができます。

つみたてNISAに向いてない人3:年間投資予定額が40万円以上の人

つみたてNISAの年間投資上限額は40万円です。これ以上に投資をしたいならば、

  • つみたてNISAを利用した上で課税口座を利用する
  • 一般NISAを利用する(年間投資上限額120万円)
といったことが考えられます。
また、2024年からの新NISAではつみたてNISA同様の「つみたて投資枠」で年120万円、一般NISA同様の「成長投資枠」で年240万円、合わせて年360万円まで非課税で投資できます。
これよりもさらにたくさん投資がしたい場合は、NISAを利用した上で課税口座を利用しましょう。ただし、利益に対して20.315%の税金がかかります。

つみたてNISAを成功させる3つのポイント

ここまで、つみたてNISAのデメリットを中心に紹介してきました。しかし、つみたてNISAは本来メリットが多く投資初心者にこそおすすめできる制度です。つみたてNISAの運用がうまくいくようにする3つのポイントを解説します。

つみたてNISAの成功のポイント1:長期的な目線を持つ

つみたてNISAの投資では、長期的な目線を持ちましょう。数十年という長い期間で投資することで、リスクを抑えることができるうえ、運用で得た利益が次の利益を生み出す複利効果が期待できます。

つみたてNISAの成功のポイント2:ドルコスト平均法を続ける

投資信託のように値動きするものに、毎月など定期的に淡々と投資すると、価格が高いときには少なく、安いときには多く買うことができます。こうすることで、平均の購入単価を下げる「ドルコスト平均法」の効果が得られます。ドルコスト平均法を生かした投資を続けることで、少しの値上がりでも利益を得ることができるようになります。

つみたてNISAの成功のポイント3:分散投資を行う

分散投資は、投資先や購入タイミングをわけることです。どこか1つの投資先に集中投資してしまうと、その1つにもしものことがあった場合に、資産が大きく減ってしまいます。その点、複数の投資先にお金を分散させておけば、どれかが値下がりしても損失が抑えられますし、ほかの資産の値上がりで損失をカバーできる可能性もあります。

つみたてNISAのメリットをおさらい!初心者こそつみたてNISAがおすすめ

長期・積立・分散投資に非課税で取り組むことができるつみたてNISAには、次のようなメリットがあります。

つみたてNISAのメリット
●少額から始められる
●低コストで運用できる
●リスクを分散できる
●自動で積立投資ができる
●資産がいつでも換金できる

(株)Money&You作成

つみたてNISAのメリット1:少額から始められる

つみたてNISAは少額から始められます。口座を開設した金融機関によって異なりますが、月1,000円~5,000円程度の金融機関が多くなっています。中には、100円からつみたてNISAが始められる金融機関も。投資でお金が減るのが不安な方でも、少額からはじめて徐々に慣れることができます。

つみたてNISAのメリット2:低コストで運用できる

つみたてNISAで投資できる投資信託は、買うときにかかる購入時手数料が無料。保有しているときにかかる信託報酬も低水準のものが揃っています。つみたてNISAは低コストで運用ができるため、利益もその分出しやすくなります。

つみたてNISAのメリット3:リスクを分散できる

投資の世界でのリスクとは、「収益(リターン)のブレ幅」のこと。リスクとリターンにはトレードオフの関係があるため、大きな利益を得られる可能性がある場合は、損失を被る可能性も同様にあります。
投資のリスクを完全になくすことは不可能ですが、つみたてNISAを利用すれば、以下のような工夫によってリスクが分散できます。

銘柄の分散

つみたてNISAで投資する「投資信託」は、国内外の株や債券などさまざまな金融商品を組み合わせた商品です。投資先の国や地域、種類や銘柄の分散が可能です。

時間の分散

つみたてNISAでは、毎月定額を積み立てることで、購入タイミングを分散することができます。前述のドルコスト平均法を生かして、高値で多く買ってしまうことを避け、平均購入価格を低く抑える期待ができます。

長期運用の効果

上でも紹介したとおり、長期間にわたって運用を続けるほど複利効果が大きくなり、右肩上がりでお金を増やす期待ができます。

つみたてNISAのメリット4:自動で積立投資ができる

つみたてNISAでは、あらかじめ指定した日に、指定された金額が自動的に引き落とされ、商品が買い付けられます。ですから、最初に設定すれば、あとは自動的に投資が進みます。普段忙しくて投資に手間をかけたくない人でも簡単に投資ができます。

つみたてNISAのメリット5:資産がいつでも換金できる

つみたてNISAの資産は、いつでも換金して引き出せます。住宅購入資金・教育資金・余暇資金・老後資金など、自分のライフプランに合わせて、必要になったら引き出して使える便利な制度です。

つみたてNISAには確かにデメリットや注意点もあります。しかし、つみたてNISAにはデメリットや注意点だけでなく、たくさんのメリットがあるのもまた事実です。これからお金を増やしていくためにも、2023年からぜひつみたてNISAをスタートしましょう。

今回のまとめ

  • つみたてNISAには「元本割れの可能性がある」「積立投資しかできない」などデメリットもある
  • つみたてNISAには「少額から始められる」「低コストで運用できる」「リスクを分散できる」など、メリットもたくさんある
  • 投資の利益にかかる税金を非課税にできるつみたてNISAは、投資初心者にこそおすすめできる制度。お金を増やすためにも活用しよう

お申込みに際しては、以下の留意点を必ずご確認ください。

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マネーコンサルタント 頼藤 太希

(株)Money&You代表取締役/経済ジャーナリスト
中央大学商学部客員講師。早稲田大学オープンカレッジ講師。慶應義塾大学経済学部卒業後、外資系生命保険会社にて資産運用リスク管理業務に従事。2015年に(株)Money&Youを創業し、現職へ。女性向けWebメディア『FP Cafe』や『Mocha(モカ)』を運営すると同時に、資産運用・税金・Fintech・キャッシュレスなどに関する執筆・監修、書籍、講演などを通して日本人のマネーリテラシー向上に注力している。『定年後ずっと困らないお金の話』(大和書房)、『マンガと図解 はじめての資産運用』(宝島社)、『はじめてのNISA&iDeCo』(成美堂出版)など著書累計100万部超。日本証券アナリスト協会検定会員。宅地建物取引士。ファイナンシャルプランナー(AFP)。日本アクチュアリー会研究会員。

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