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こんな時は要注意?予想していなかった住民税がかかる3つのケースと対策

お住まいの都道府県や市区町村といった自治体に収める住民税。一定の所得があれば納税する義務があります。とはいえ、「仕事を辞めたから今年は払わなくていいだろう」と思うのは気が早いかもしれません。というのも、無職でも収入がなくても住民税がかかるケースがあるからです。

今回はそんな「予想していなかった住民税」がかかる3つのケースとその対策をご説明します。

今年の住民税の金額は昨年の所得で決まる

住民税は、毎年1月1日時点に住んでいる自治体(住民票のあるところ)で課税される税金です。大きく都道府県民税と市区町村民税に分けられます。また、住民税には前年の所得金額に応じて決まる「所得割」と、全員が均等に支払う「均等割」があります。
所得割は、都道府県民税と市区町村民税の合計でおおよそ課税所得の10%。均等割は2023年度まで約5000円です(自治体により多少違いがあります)。

住民税の金額

都道府県 市区町村 合計
所得割 4% 6% 10%
所得税
(政令指定都市)
2% 8% 10%
均等割 1500円 3500円 5000円

課税所得は、給与所得からさまざまな金額を控除(差し引くこと)して計算します。ということは、「無職で収入がなければ住民税を払わなくていい」となりそうです。しかしそんなときでも、住民税の納税通知書が送られてくることがあるのです。

その理由は、住民税の金額は「昨年の所得で計算される」という点にあります。仕事をして給料をもらっているときの給与明細に書かれた住民税の金額は、実は昨年の所得に基づいて計算されています。昨年の所得は、すでに会社から税務署に申告されているはず(あるいは、確定申告で自ら申告しているはず)です。この金額をもとに住民税が決まるため、現在無職でも、収入がなくても、住民税がかかるのです。

収入がない年でも住民税がかかる3つのケース

住民税は前年度の所得にかかるため、たとえ今年収入がないとしても住民税がかかるケースが出てきます。その具体的なケースを3つ紹介します。

  • ① 会社を退職したとき

    昨年会社を退職し、現在は働いていないという場合、昨年の課税所得の金額に応じて住民税を納める必要があります。特に注意が必要なのが、まとまった退職金を受け取ったとき。退職金にも住民税がかかります。万が一、そのことを忘れて一気に使ってしまったとしたら大変です。

    住民税の納税方法には、特別徴収と普通徴収の2種類があります。会社等に勤めている人は特別徴収といって、自治体から指定された税額にしたがって、会社が本人の給与から天引きして納税します。特別徴収できない人は普通徴収となり、自治体から直接納税通知書が届くことになります。無職の人の場合は普通徴収です。これを知らないと、後から高額の住民税の納付書が届いてびっくりするということになりかねません。

  • ② 不動産を売却したとき

    不動産を売却して得る所得のことを「譲渡所得」といいます。譲渡所得には、所得税・住民税がかかります。所得税は売却の翌年の3月15日までに確定申告して納税しますが、住民税は確定申告をしたあとに計算されるため、売却の翌年の6月以降に納税することになります。仕事をしていれば、6月から住民税が上がることになります。無職の場合は住民税の納税通知書が届きます。所得税を払っただけで終わりと思っていると慌てるかもしれません。

  • ③ 働いていた人が亡くなったとき

    上でもご紹介したとおり、住民税は前年の課税所得をもとに計算されます。ですから、今年亡くなったという方も、亡くなる前年に課税所得がある場合は、住民税の納税義務者となります。亡くなってもなお税金を支払わなければならないなんて驚きですが、そういうルールになっています。

    もっとも、亡くなった方が税金を納めることはできません。この場合、家族などの相続人が納税義務を引き継ぎます。すでに納税通知書が届いていれば、相続人がそのまま納税します。相続では、家やお金といった資産だけでなく、住民税のような「負の遺産」も引き継ぐからです。

    納税通知書が届いていない場合には、相続人の代表者を役所に届出し、相続人の代表者宛に納税通知書を送ってもらう必要があります。

住民税が払えない場合の対処法は?

住民税は課税所得の10%。とはいえ、前年の所得が多くて今年の所得が少ないという場合は、支払うのも大変になるかもしれません。退職金など、まとまった所得があるのならなおさらです。

普通徴収では通常、1年分の住民税を4回に分けて納税します。しかし、お住まいの役所に相談すれば、支払回数を増やして1回あたりの支払額を少なくしてもらうケースもあります。また予期せぬ失業など、やむを得ない事情によりどうしても払えない場合には減免の措置が受けられることもあります。支払いが苦しい場合は、お住まいの役所に相談してみましょう。

まとめ

  • 住民税は昨年の所得で決まるため、今年無職・収入がないという場合でも支払いが発生する場合がある
  • 前年に所得・退職金などがある場合、不動産を売却した場合、働いていた人が亡くなった場合などには、住民税を支払う必要がある
  • 本ページは2024年1月時点での情報であり、その正確性、完全性、最新性等内容を保証するものではありません。また、今後予告なしに変更されることがあります。

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高山一恵

(株)Money&You取締役/ファイナンシャルプランナー
2005年に女性向けFPオフィス、株式会社エフピーウーマンを創業、10年間取締役を務め退任。その後、株式会社Money&Youの取締役へ就任。女性のための、一生涯の「お金の相談パートナー」が見つかる場『FP Cafe』を運営。全国で講演活動、多くのメディアで執筆活動、相談業務を行い、女性の人生に不可欠なお金の知識を伝えている。明るく親しみやすい性格を活かした解説や講演には定評がある。著書は「やってみたらこんなにおトク!税制優遇のおいしいいただき方」(きんざい)、「税金を減らしてお金持ちになるすごい!方法」(河出書房新社)、「パートナーに左右されない自分軸足マネープラン」(日本法令)など多数。

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