ふるさと納税、おすすめのタイミングは?メリットデメリット
執筆者:マネーコンサルタント | 頼藤 太希
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- 節約術
【この記事を読んでわかること】
- 2025年10月からふるさと納税ポータルサイトでのポイント付与が禁止される
- ふるさと納税は1年中できるため、年末に駆け込みで行う必要はない
- ふるさと納税は時期を分散すると無駄や無理が少ない
自分の好きな自治体に寄付することで、実質2,000円の自己負担で各地の特産品などがもらえるふるさと納税。総務省によると、2023年の寄付額はふるさと納税制度スタート以来最多で、はじめて1兆円の大台を超えたとのこと。すでにふるさと納税を利用している方も多いでしょう。
そんなふるさと納税で「ポイント付与禁止」の改正が行われることが発表されて話題になっています。今回はふるさと納税の制度改正の内容を確認したうえで、ふるさと納税をいつするのがよいのか、タイミングを一緒に考えてみましょう。
2025年10月からふるさと納税のポイント付与禁止?
みなさんも、ふるさと納税をするときには、ふるさと納税ポータルサイトを利用するでしょう。ふるさと納税ポータルサイトは返礼品が検索でき、気に入った返礼品があればネットショッピング感覚で注文できて便利。しかも、ふるさと納税ポータルサイトによってはポイントも得られます。
しかし2024年7月、総務省は2025年10月からふるさと納税ポータルサイトがふるさと納税の寄付に対してポイントを付与することを禁止する方針を発表しました。
その理由は、大きく次の3つにまとめられます。
①自治体の経費削減のため
自治体はふるさと納税ポータルサイトを利用するために寄付額の10%程度の手数料を支払っています。総務省は、この手数料の一部がポイントの元手になっているのではないか?と問題視しています。そこで、ふるさと納税ポータルサイトでのポイント付与を禁止することで、自治体の手数料の負担を減らす(=自治体に入る金額を増やす)ことにつなげようと考えています。
②ポイント目的の寄付を減らすため
2019年6月から、ふるさと納税の返礼品は「寄付金額に対し3割以下」というルールが定められ、2023年10月から「ふるさと納税に付随する事務費用及び送料を含めた金額が寄付金額の5割以下」というルールが追加されました。
しかし、ふるさと納税ポータルサイトでもらえる返礼品は、一般で販売されている価格と比較すると還元率が3割を超えるお得な返礼品が存在します。ふるさと納税ポータルサイト間の競争も激化しています。
③ふるさと納税の趣旨を見直すため
ふるさと納税の本来の趣旨は、自分のふるさとや応援したい自治体を支援するというところにあります。
ポイント還元が多くなると、ポイント目的の寄付が増えてしまい、本来の趣旨とは異なるふるさと納税の活用を促進している可能性があるので、それを減らそうというわけです。
先だって、2024年10月からはふるさと納税ポータルサイトでの返礼品を強調した宣伝が禁止される予定となっています。その後2025年10月から、ふるさと納税によるポイント還元が禁止される予定になっています。ただし、クレジットカードで決済した場合などに、クレジットカード決済で得られる通常のポイントは付与されます。
2024年10月からは、1人1泊5万円超の宿泊施設の利用券を返礼品にする場合は、同一県内で展開している宿泊施設に限るという改正も行われます。
ふるさと納税ポータルサイト運営者たちの反応はまちまちで、なかにはポイント付与禁止に反対する署名運動を展開するところも。反対に、制度変更に一定の理解を示しているふるさと納税ポータルサイトもあります。
今回の変更により、2025年10月からはポータルサイト独自のポイント還元が得られなくなる見込みですが、ふるさと納税をしたほうがよいことに変わりありません。ふるさと納税は、自分が住んでいる自治体に納める住民税の一部を預け替えするような制度ですので、「節税」にはなりません。しかし、各自治体の返礼品を自己負担2,000 円でもらうことができるので、結果として返礼品の分だけお得になるからです。
ふるさと納税の返礼品の還元率は最大30%ですので、たとえば5万円ふるさと納税をすれば1万5,000円の返礼品が自己負担2,000 円で、もらえることになります。したがって、たとえあまりお金に余裕がない人でも、ふるさと納税をやったほうがよいでしょう。返礼品には日用品もありますので、普段使うものをふるさと納税でもらえば、生活費の節約にもつながります。
ふるさと納税、いつするのがよい?
ふるさと納税自体には、特に締め切りや期限がありません。毎年1月1日から12月31日の1年間で行ったふるさと納税について、翌年に手続きをすることで税金の控除が受けられます。ただ、実際のところは年末に行われるケースが多いようです。年の瀬になるとふるさと納税のCMをよく見かけるのは、年内のうちに手続きをすれば間に合うからです。
ふるさと納税を年末にするメリットは、寄付の上限額を計算しやすいことです。
ふるさと納税では「寄附金控除」を利用することで自己負担額2,000円を超える金額を所得税・住民税から控除できます。しかし、自己負担額が2,000円になる金額には上限額があり、年収や家族構成により異なります。
自分のふるさと納税の上限額は、ふるさと納税ポータルサイトでシミュレーションできます。このとき、年末に勤め先からもらえる源泉徴収票の「支払額」を見れば、いくらまでふるさと納税してよいのかが計算しやすくなります。ただ、年収のめどがついているならば、その金額で計算しても差し支えないので、大きなメリットとはいえないでしょう。
一方、ふるさと納税を年末にするデメリットはいくつかあります。
ふるさと納税を年末にするデメリット1:手続きが間に合わない
ふるさと納税を駆け込みでしようとしたら、サイトにアクセスが集中してつながらなくなることもありえます。また、返礼品の中には期間が定められていたり、数量限定だったりすることもありえます。ふるさと納税を年末にやろうとすると、手続きが間に合わなくなる恐れがあります。なお、寄付の手続きが翌年にずれると、その年分のふるさと納税はできなくなります。
ふるさと納税を年末にするデメリット2:返礼品を無駄にしやすい
年末に一度に何件もふるさと納税をすると、たくさんの返礼品が一度に届いてしまいます。すると、「食料品がたくさん届いて食べきれない」「置き場所に困る」となりかねません。また、年末になってふるさと納税しなければという気持ちが先走りしてしまうと、返礼品選びに妥協してしまいがちです。
ふるさと納税を年末にするデメリット3:ワンストップ特例の手続きまで日がない
ふるさと納税のワンストップ特例は、確定申告をしなくても寄附金控除が受けられる制度です。寄付先の自治体が1年間で5自治体以内・確定申告をしないなどの条件を満たせば利用できます。
ワンストップ特例をしたあと、控除を受けるには「寄附金税額控除に係る申告特例申請書」「マイナンバーカード(または個人番号と身分証)のコピー」を寄付先の自治体に提出する必要があります。この期限は、翌年の1月10日(必着)です。年末ギリギリでふるさと納税をしたら、すぐに申請書を提出しなければなりません。これを過ぎたら、確定申告をしないと控除が受けられなくなります。
このようにみてみると、ふるさと納税をあえて年末にする意義は薄いことがわかります。
ふるさと納税の時期としておすすめなのは、「欲しい返礼品が手に入るタイミング」です。ふるさと納税の返礼品の中には、季節限定のものや旬のものが結構あります。春夏秋冬、その時期の季節の品を申し込むことで、返礼品の満足度もアップします。なにより、ふるさと納税をする時期を分散すると、返礼品が届く時期も分散できますので、返礼品を無駄にしてしまうことも減らせます。
また、ふるさと納税は税金の控除があるとはいえ、先にお金を支払う必要があります。12月にふるさと納税を上限額までしようとすると、1月の出費がかさんでしまいます。ふるさと納税をする時期を分散しておけば、家計に無理をかけずに取り組めるでしょう。
なお、ふるさと納税ポータルサイトでのポイント還元が禁止されることをお伝えしてきましたが、禁止されるのは2025年10月からです。ふるさと納税ポータルサイトの今後の対応によっても変わりますが、ポイント還元を多く受けたいのであれば2025年のふるさと納税は9月までに済ませておくのが得策かもしれません。今後の動向にも注目しましょう。
- ※ 本ページは2024年8月時点での情報であり、その正確性、完全性、最新性等内容を保証するものではありません。また、今後予告なしに変更されることがあります。