有事の備えとして「生活費の半年分」を準備しよう
執筆者:ファイナンシャルプランナー|肥後 知歩
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- 節約術
最近は災害やウイルスの流行など、さまざまな想定外の出来事が起こっています。どんな事態が起こっても出来るだけ落ち着いて対応できるように備えておきたいものですよね。私たちの生活を支える経済面では特に、困ることの無いように最低限の準備をしておきたいですね。
このコラムでは有事の際の不安を少しでも小さくするためにどんな準備をしたら良いのか考えていきたいと思います。
例えば、勤めている会社が倒産してしまったら?やむをえない理由で解雇されてしまったら?自分自身が体調を崩して仕事を続けられなくなったら?考え始めてしまうと不安はつきません。
まず会社員の方で雇用保険に入っている場合には「失業給付」と呼ばれる雇用保険の基本手当があることを知っておきましょう。
受給要件を満たせば、一定額を一定期間受け取ることができます。前提として「就職したいという積極的な意思」、「いつでも就職できる能力(健康状態・家庭環境など)」があり、「積極的に求職活動を行っているにもかかわらず、就職できない状態にある方」が対象です。また基本的な条件として、離職日以前の2年間に被保険者期間が12カ月以上あること(※解雇や倒産などによる離職の場合は離職日以前の1年間に被保険者期間が6カ月以上あること)が条件となっています。
受給される期間は年齢や離職の理由、算定基礎期間などにより異なります。(下記参照)
①定年、自己都合退職、懲戒解雇等(②および③以外の全ての離職者)
離職時の年齢 | 算定基礎期間 | ||
---|---|---|---|
10年未満 | 10年以上 20年未満 |
20年以上 | |
65歳未満 | 90日 | 120日 | 150日 |
②倒産、解雇等で離職された方(③)を除く)
離職時の年齢 | 算定基礎期間 | ||||
---|---|---|---|---|---|
1年未満 | 1年以上 5年未満 |
5年以上 10年未満 |
10年以上 20年未満 |
20年以上 | |
30歳未満 | 90日 | 90日 | 120日 | 180日 | ー |
30歳以上35歳未満 | 120日(90日) | 180日 | 210日 | 240日 | |
35歳以上45歳未満 | 150日(90日) | 240日 | 270日 | ||
45歳以上60歳未満 | 180日 | 240日 | 270日 | 330日 | |
60歳以上65歳未満 | 150日 | 180日 | 210日 | 240日 |
- ※ ()内は、受給資格に係る離職日が平成29年3月31日以前の場合の日数
③障碍者等の就職が困難な方(ご本人からの申し出が必要になります)
離職時の年齢 | 算定基礎期間 | ||
---|---|---|---|
1年未満 ※ |
1年以上 | ||
45歳未満 | 150日 | 300日 | |
45歳以上65歳未満 | 360日 |
- ※ 「1年未満」欄は、②に該当する理由で離職された方にのみ適用されます
- ※ 東京労働局:「求職者給付に関するQ&A」より
また失業時に受給される日額は、「基本手当(=離職前6カ月に支払われた賃金の合計金額を180日で割った金額(賃金日額)のおおよそ80%~45%)」とされ、以下のように年齢やそれまでの給料の金額により異なります。
(基本手当の対象となる日が、令和2年3月1日~令和2年7月31日の場合)
賃金日額(w円) | 給付率 | 基本手当日額(y円) |
---|---|---|
離職時の年齢が30歳未満または65歳以上の方 | ||
2,500円以上5,010円未満 | 80% | 2,000円~4,007円 |
5,010円以上12,330円以下 | 80%~50% | 4,008円~6,156円(*1) |
12,330円超13,630円以下 | 50% | 6,165円~6,815円 |
13,630円(上限額)超 | ー | 6,815円(上限額) |
離職時の年齢が30歳以上45歳未満の方 | ||
2,500円以上5,010円未満 | 80% | 2,000円~4,007円 |
5,010円以上12,330円以下 | 80%~50% | 4,008円~6,165円(*1) |
12,330円超15,140円以下 | 50% | 6,165円~7,570円 |
15,140円(上限額)超 | ー | 7,570円(上限額) |
離職時の年齢が45歳以上60歳未満の方 | ||
2,500円以上5,010円未満 | 80% | 2,000円~4,007円 |
5,010円以上12,330円以下 | 80%~50% | 4,008円~6,165円(*1) |
12,330円超16,660円以下 | 50% | 6,165円~8,330円 |
16,660円(上限額)超 | ー | 8,330円(上限額) |
離職時の年齢が60歳以上65歳未満の方 | ||
2,500円以上5,010円未満 | 80% | 2,000円~4,007円 |
5,010円以上11,090円以下 | 80%~50% | 4,008円~4,990円(*2) |
11,090円超15,890円以下 | 45% | 4,990円~7,150円 |
15,890円(上限額)超 | ー | 7,150円(上限額) |
- *1 y=0.8w-0.3{(w-5,010)/7,320} w
- *2 y=0.8w-0.35{(w-5,010)/6,080} w,y=0.05w+4,436のいずれか低い方の額
- ※ 基本手当の日額は、「毎月勤労統計」の結果に基づき、毎年8月1日に改定されます。
- ※ 東京労働局:「求職者給付に関するQ&A」より
例えば30歳の勤続8年、賃金日額が約13,000円の会社員が会社の倒産が理由で解雇され離職した場合、基本手当の約7,500円が180日間受け取れるということになります。
ただし、それまでの給料が丸ごと受け取れるのではなく、上記のケースでも50%と半額しか受け取れませんし、30歳未満の方だと受給期間は90日と短くなります。また雇用保険に加入していない個人事業主の方は受け取れません。
以上のことから、有事の備えとして準備しておきたい金額として個人差はありますが、少なくとも「生活費の半年分」は準備したいと考えます。
ここでいう「生活費」としては、「最低限の生活費」となります。「最低限」には何が含まれるのかを考えてみましょう。
まず一般的に生活費として挙げられる費目としては…住居費、食費(自炊)、食費(外食)、水道光熱費、通信費、衣服費、レジャー費、医療費、教育費…色々とあると思いますが、その中で「最低限」をご自身でピックアップしてみてください。
「住居費、食費(自炊)、水道光熱費、通信費、医療費、教育費」この辺りの生きて行く上で「削れない」または教育費などできる限り「削りたくない」費用に関しては最低限の生活費と言えますが、「外食費、衣服費、レジャー費」などは有事の状態では省くことができますので省いて考えます。
例えば4人家族での1カ月分の最低限の費用として、住居費12万円、食費4.4万円、水道光熱費1万円、通信費1万円、教育費3.3万円とした場合、1カ月分の最低限の生活費は21.7万円となります。この場合は下記の計算式で最低限の生活費を算出します。
最低限の生活費21.7万円/月×6カ月分=有事の備え…約130万円
上記の場合約130万円という結果でしたので、約130万円を有事の資金として準備しておくと良さそうですね。ライフスタイルによって金額も異なると思いますので、ご自身の生活費を洗い出し、是非計算してみましょう。その結果、いまある手元の資金では足りなかった場合には必ず貯蓄を始めましょう。
貯蓄の上手な方法としては「積立貯蓄」です。お給料が入る普通預金口座とは別に「積立用」の口座を作り、定額を積立用口座に毎月自動で移動させるのです。積立用の口座で自動送金の仕組みを作れば、自分の意志とは関係なく自然かつ確実にお金を貯めて行くことができますので、是非この仕組みを作ることをお勧めします。
イオン銀行には月々500円から貯蓄をスタートできる便利な「積立式定期預金」があります。一度セットしてしまえば、自動で一定額が貯まっていきます。口座開設時に、年6回までは貯める金額を増額することができますので、ボーナス月は多く貯めるという設定も可能です。
例えば、これから100万円を貯めたいと思った場合、月々5万円ずつ積み立てていけば1年8カ月で100万円は貯まります。年に2回のボーナス時に増額すれば、月々3万円ずつ積み立てていき、ボーナス時のみ15万円(3回分)増やして貯めると約1年7カ月で100万円を貯めることができます。
またイオン銀行の「積立式定期預金」の魅力は、金利の高さにもあります。せっかくためるなら少しでも金利の高い有利な口座を選びたいですね。この機会に少しでもお金の不安がある人は、不安解消のための第一歩として最低限の生活費の6カ月分の貯蓄を「積立式定期預金」でスタートし、生活の基盤をしっかり作っていきましょう。
今回のまとめ
- 失業時(雇用保険に加入の場合)、「失業手当」がどれくらいもらえるのかを確認しておきましょう。
- 有事の備えとして準備したいのは、「最低限の生活費」の半年分。
- この際の「最低限の生活費」がいくらかをご自身で計算し、半年分の備えがあるかを確認しましょう。
- 十分な備えがない場合には今すぐ「積立式定期預金」で貯蓄をスタートしましょう。
- ※ 本ページは2020年11月時点での情報であり、その正確性、完全性、最新性等内容を保証するものではありません。また、今後予告なしに変更されることがあります。