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手取り20万円、30万円、40万円の理想の支出割合

「収入が高くないとお金は貯められない」と思っていませんか?確かに、収入が高い方がお金を貯めやすそうですが、実際は違います。お金を貯めるには、収入の高い・低いよりも「お金を貯める仕組みの構築」が大切なのです。
収入から先に貯蓄分を取り分け、残りで支出するという「先取り貯蓄」を行うのがポイントです。この時、貯蓄の理想は手取りの15〜20%。残りの金額で支出を行うには費目ごとに調整が必要になってくるでしょう。

今回は手取り20万円、30万円、40万円の理想の支出割合をご紹介します。

お金を貯める金額を増やすには支出の見直しが必要。理想の支出額は?

お金を貯める方法はいろいろありますが、大きく分けると次の3つしかありません。

お金を貯める方法①収入を増やす

  • 給料を上げる
  • 給料の高い会社に転職する
  • 副業する など

お金を貯める方法②支出を減らす

  • 家計を見直す
  • 無駄遣いを減らす
  • 税金を節約する など

お金を貯める方法③お金に働いてもらう

  • お金が増えるところに預ける(投資する)


この中でお金を貯めるために最優先すべきは「支出を減らす」ことです。「収入を増やす」と「お金に働いてもらう」は大切な視点ですが、結果が出るまでに時間がかかります。また収入は増えても、税金・社会保険料の支払いがあるので、増えた額面がそのまま手取りになるわけではありません。その点、支出の削減はすぐに始められますし、削減できればその削減金額がそのまま貯められるからです。

支出の見直しを考える際に参考にしていただきたいのが、次に紹介する理想の支出額です。

手取り20万円、30万円、40万円の理想の支出割合・支出額

費目\手取り 目安の割合 20万円 30万円 40万円
家賃 20~30% 5.0万円 7.5万円 10.0万円
保険料 3~5% 0.8万円 1.2万円 1.6万円
通信・光熱費 7~9% 1.6万円 2.4万円 3.2万円
食費 15~20% 3.6万円 5.4万円 7.2万円
交際費 7~10% 1.6万円 2.4万円 3.2万円
被服費 5~7% 1.2万円 1.8万円 2.4万円
教育費 5~10% 1.4万円 2.1万円 2.8万円
雑費 3~5% 0.8万円 1.2万円 1.6万円
貯蓄 15~20% 4.0万円 6.0万円 8.0万円

(株)Money&You作成

表は、筆者がこれまで受けてきた相談事例などを元にした理想の支出割合です。生活するうえでの各費目の目安の割合と、手取り収入が20万円・30万円・40万円の場合の支出の目安となる金額を記載しています。

最も大切なのは、毎月手取りの15〜20%は貯蓄に回すことです。賃貸住まいの場合や、住宅を購入して家賃や住宅ローンを支払っている場合は、手取りの20%を貯蓄に回すのが理想です。実家暮らしで住居費がかかっていないならば、手取りの半分、50%は貯められるように考えていきましょう。
毎月の貯蓄ができない状態では、当然ながらお金は貯まっていきません。ですので、ひとつひとつの費目を見直して、いくらまでに抑えるべきなのか、予算を立てていくことが必要なのです。

家賃(住居費)はかつて「月収の3分の1」が目安などと言われましたが、それは給与が右肩上がりの時代の話。給与が上がりにくい今、住居費はできれば手取り金額の20%〜25%に抑えたいところです。首都圏は家賃の相場が高いので、30%程度までは許容できますが、それ以上になると確実に生活が苦しくなってしまいます。
家賃の割合が高い場合は、更新のタイミングで家賃を下げてもらえないか、交渉をしてみてもいいかもしれません。また、新居の敷金や礼金、引っ越し費用などがかかっても、安い部屋に引っ越すのも一案です。住宅ローンを返済しているならば、借換えをすることで、返済額を抑えられる可能性があります。

住居費のほかにも、保険料、通信・光熱費、習い事やクレジットカードの年会費、車のローンなどといった固定費がある方は、優先して減らすことを考えましょう。
固定費は、まとまった金額を減らせる可能性が高い費用。しかも、一度見直せば、その後は節約効果が持続しますし、我慢も不要です。
固定費が削減できたら、無駄遣いや変動費についても見直していきましょう。支出は家族の人数や住む地域などで個人差があるため、理想の支出割合から少しずれたからダメというわけではありません。無理して支出削減をする必要もありません。現在の生活を犠牲にしても人生はつまらないものになってしまうのでバランスが重要です。
ただ、理想の支出割合から大きく離れて使っている費目があったら、削減できる可能性があるということです。

手取りにあった貯蓄目標を決めて、お金を貯める仕組みを作ろう

支出を削減することで、毎月貯められる金額が増えていきます。そうしたら、先取り貯蓄をしてそのお金を貯めていきます。先取り貯蓄は、給与などの収入があったら、先に貯蓄分を取り分け、残ったお金で生活する方法です。

お金の貯まらない人は、収入があったら先に使ってしまい、余ったら貯蓄しようとしています。しかし、「収入–支出=貯蓄」では、支出が多くなり貯蓄が確保できなかった場合に、貯蓄ができません。

その点、お金が貯まる人は「収入–貯蓄=支出」と、貯蓄を先取りで用意しています。先取り貯蓄をすれば、残ったお金を仮に全部使ってしまっても、貯蓄分は確保できるため、確実にお金が貯められるというわけです。

先取り貯蓄は、自動的・強制的にお金が貯められる方法を利用すると、支出の管理が苦手な人でも続けやすくなります。
1000円から積立できる金融商品を活用して自分の手取りにあった金額を貯金していきましょう。

今回のまとめ

  • 支出の見直しは、住居費・保険料・通信費など、毎月決まって一定額支払う固定費から。ついで無駄遣い、変動費の順にチェックして減らせないかを検討する
  • 毎月の手取りの15〜20%は貯蓄に回すのが理想。先取り貯蓄で先にお金を取り分けて、残りで生活することで、確実にお金が貯められる
  • 1000円から積立できる金融商品を活用して自分の手取りにあった金額を貯金しよう

頼藤 太希
(株)Money&You代表取締役/経済ジャーナリスト

中央大学客員講師。慶應義塾大学経済学部卒業後、外資系生命保険会社にて資産運用リスク管理業務に従事。2015年に(株)Money&Youを創業し、現職へ。女性向けWebメディア『FP Cafe』や『Mocha(モカ)』を運営すると同時に、資産運用・税金・Fintech・キャッシュレスなどに関する執筆・監修、書籍、講演などを通して日本人のマネーリテラシー向上に注力している。『定年後ずっと困らないお金の話』(大和書房)、『はじめての資産運用』(宝島社)、『はじめてのNISA&iDeCo』(成美堂出版)など著書多数。日本証券アナリスト協会検定会員、ファイナンシャルプランナー(AFP)、日本アクチュアリー会研究会員。

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