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住宅購入のタイミングは消費税増税前と2020年以後、どっちがいいの?

「2020年の東京オリンピック後に住宅を購入した方がいいのか?」とタイミングを迷うという声を耳にすることもありますが、消費税増税となるとあきらかに8%から10%と消費税が2%引きあがることで住宅購入による支払いもあがるだろうということはリアルに推測できます。
住宅購入を検討している方は、購入するタイミングはいつがベストなのか気になるところではないでしょうか。

まずは、住宅購入のタイミングにかかわる消費増税による適用条件などきちんと把握することが大切です。

消費税率の適用のタイミングはいつ?

住宅購入は消費税10%が適用されるタイミングを把握しておきましょう。消費税8%で住宅購入するには、2019年9月30日までに不動産の「引渡し」を受けることが条件です。
引渡しとは、不動産の所有権を最終的に売主から買主へ移転することです。具体的には住宅の鍵の受け渡しや各種登記の実行、登記済証の交付などがこれにあたります。

また、売買契約時に支払った手付金以外の残代金の支払いの必要があるため、住宅ローンで残代金を支払う場合は、住宅ローンの手続きも不備なく残金決済ならびに引渡しを完了しておかなければなりません。そのため、不動産売買契約から残金決済まで時間がかかるため、その時間も逆算して住宅を探しておく必要があります。つまり、消費増税前に慌てて不動産売買契約をしても間に合わない場合もあるので注意しましょう。

ただし、注文住宅を建てる場合は、完成時期がずれ込むことがあります。そのため、引渡しが2019年10月以降になっても、工事請負契約を2019年3月31日までに締結すれば消費税8%が適用される経過措置があります。

消費税10%増税による支払いの影響はどこに出る?

住宅購入で消費税増税により、とくに大きく支払いに影響するのは「売買価格」と諸費用のなかでも主に「仲介手数料」です。

「売買価格」については、一戸建て、マンションどちらも「土地」部分には消費税は課税されず「建物」にかかる価格に消費税は課税されます。
つぎに「仲介手数料」にですが、不動産会社を通して購入する際に仲介料として支払います。
仲介手数料の計算は(売買価格×3%+6万円)×(1+消費税)になります。
たとえば、4,000万円(建物の部分:2,000万円 土地の部分:2,000万円)の住宅を購入した場合、消費税8%と増税後の消費税10%ではいくらくらいかわるのか参考にみていきましょう。

建物価格

消費税8%の場合:建物価格2,000万円×1.08=2,160万円
消費税10%の場合:建物価格2,000万円×1.1=2,200万円
差額:40万円

仲介手数料

消費税8%の場合:(売買価格4,000万円×3%+6万円)×1.08=136万800円
消費税10%の場合:(売買価格4,000万円×3%+6万円)×1.1=138万6,000円
差額:2万5,200円

上記の例では、建物価格+仲介手数料の消費税2%の差額は42万5,200円になります。消費税は購入する価格があがるほど消費税の影響も大きくなります。
不動産は物件価格が大きい分、数十万円の差よりトータルの金額だけに目がいきがちですが、数十万円の差は大きな負担となります。金銭的な観点からだけで見れば、消費税増税前に買いたい住宅が決まっているのであれば、消費税増税前に購入する方がいいのは一目瞭然です。

消費税増税後も住宅ローン減税はどうなる?

消費税5%から8%に増税された時には、住宅購入による税負担や家計負担を軽減する制度「住宅ローン減税」や「すまい給付金」が新設されました。

消費税10%への増税後も制度は継続となります。住宅ローン減税については変更ありませんが「すまい給付金」については一部変更となります。

消費税率の変更と住まい給付金の一部変更

消費税率 収入額の目安上限 給付基礎額
8% 510万円 10~30万円
10% 775万円 10~50万円

給付額決定の基準となる収入額の目安が消費税8%時では上限510万円のところ、消費税10%になると上限が775万円に引き上げられます。また、給付基礎額も収入額に応じて10万〜30万円だったところが、10万円〜50万円へ変更となります。
こちらも2019年10月以降引渡し、入居の場合でも、消費税の経過措置を利用して消費税8%で住宅を取得した人は給付金8%時の給付額となります。

消費税8%と10%では消費税の比較だけでなく、税軽減制度も含めて増税前後でいくら変わるのか確認しておきましょう。

2020年以降に予想される住宅事情

よく「今は住宅を購入せず、2020年以降までまった方がいい」という話を聞いたことはありませんか?
このように言われている要因にはオリンピック需要による建築資材の高騰ともいわれています。また、ワンルームマンションを中心に不動産投資をする人が増えていて、不動産業界は加熱しているとの見方もあります。その場合、オリンピック後には不動産価格の下落が予想されるので、一旦それまでは様子を見ておこうという考え方です。

このほか、2020年には住宅の外皮(外壁・屋根・天井・床・窓など)の熱性能基準(断熱性の基準)や一次消費エネルギー量(火力・水力・太陽光など、自然から得られるエネルギー)の評価基準が定められる省エネが義務化となります。
省エネ義務化以降は省エネの基準に満たしてなければ、不動産価値が下がるということも考えられます。

結局のところ、住宅購入のタイミングはいつが良いのでしょうか?

購入予定の方は急ぐ、それ以外はライフプランに応じて決める

一番控えたいのが、消費税増税だからといってあわてて住宅を購入することです。
住宅はライフプランに応じて売買して住み替えるということもできますが、そのたびに諸費用などもかかるし、気軽に買い替えるものでもありません。住宅購入は家族構成や、こどもの学校などの状況でも変わります。

まずは、家族にとって住宅を購入するベストなタイミングを決めましょう。すでに購入するタイミングということとであれば、消費税増税前に購入しておくと安心です。

仮に2020年以降のオリンピック後に不動産価格が下落した場合は、購入したい人が増え、欲しい物件が手に入りにくくなったり、住宅ローン金利の上昇することが懸念されます。

したがって、これから住宅購入を検討する人は増税やオリンピックに惑わされず、家族のライフプランからみたベストなタイミングが住宅購入のタイミングといえるのではないでしょうか。

  • 本ページは2018年11月時点での情報であり、その正確性、完全性、最新性等内容を保証するものではありません。また、今後予告なしに変更されることがあります。

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ファイナンシャルプランナー(AFP) 今関 倫子

外資系保険会社勤務中にファイナンシャル・プランナー(FP)を目指し、AFP(日本FP協会認定)資格取得後、独立系FP事務所に転職。女性を中心に年間のべ200件以上のマネー相談を受け、多くの経験を経て独立。個人マネー相談、執筆、マネーセミナーを中心に活動中。FP Cafe登録パートナー。

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