老後までにいくら準備すれば良い?老後資金を貯める方法
執筆者:ファイナンシャルプランナー(AFP)|今関 倫子
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「老後破産」や「下流老人」という言葉を目にしたことがあるでしょうか?
老後に不安を感じている人は多いと思いますが、一体、老後までにいくら準備すれば良いのでしょうか。
老後にかかるお金はいくら?
老後の生活を考える上で、現在の高齢者の方たちはいくらぐらい生活費がかかっているのかが参考にできます。総務省の家計調査(2016年)によると、高齢夫婦無職世帯では月の平均収入が21万2,835円(シングル世帯の場合:12万93円)で、平均支出は26万7,546円(シングル世帯の場合:15万6,404円)です。よって毎月5万4,711円(シングル世帯の場合:3万6,311円)の赤字です。
この平均支出の数値は最低限の生活費でありますが、赤字となっていて、不足分は貯蓄を取り崩して補っていることになります。公的年金だけに頼って生活をしていくのは難しいことがわかります。
赤字を補うために、老後までにいくら貯蓄すれば良い?
では、赤字を補うためにはいくら老後までに貯蓄をすればいいのでしょうか。
仮に65歳でリタイアし、退職金はもらえない前提として紹介したデータをもとに計算してみます。
高齢夫婦無職世帯の場合
- 65歳以降の生活費(90歳まで必要と仮定)
5万4,711円(年金だけでは足りない金額)×12ヵ月×26年間=1,706万9,832円 - もしもの病気や介護に備えるお金
300万円
シングル世帯の場合
- 65歳以降の生活費(90歳まで必要と仮定)
3万6,311円(年金だけでは足りない金額)×12ヵ月×26年間=1,132万9,032円 - もしもの病気や介護に備えるお金
300万円
老後までに必要な貯蓄は、退職金がない場合、高齢夫婦無職世帯で合計2,006万9,832円、シングル世帯で1,432万9,032円かかります。
最低限の生活費だけでも、これだけのお金を老後までに準備する必要があります。ちなみに、このデータに含まれる住居費については、持家であることが前提で、ローン返済後の住居費がかからないケースが含まれていますので、老後も住宅ローンの支払いが続く人や賃貸住宅に住む人はさらにその分も上乗せして貯蓄しておかなければなりません。
老後資金を貯めるための方法を6つ紹介
財形制度
勤務先が財形制度を導入していれば利用できます。「財形住宅貯蓄」「財形年金貯蓄」「一般財形貯蓄」の3種類があります。給料から天引きされることで半強制的に貯められる仕組みを作ることができます。
積立式定期預金
毎月決まった日に自動振替で普通預金から定期預金に積み立てる仕組みができます。
投信自動積立
毎月一定の金額を指定の預金口座から自動的に引き落とし、指定した投資信託を自動的に買い付けることができます。1,000円からなど少額から投資が始められ、リスクが分散でき、手間をかけずに投資ができます。
個人年金保険
60歳や65歳といった契約時に決めた一定の年齢まで保険料を支払い続けると、あらかじめ設定した年齢から年金を受け取れる仕組みです。基本的に積立期間まで保険料を積み立てれば元本割れの心配はありません。また「個人年金保険料控除」という所得控除があります。
iDeCo(個人型確定拠出年金)
毎月拠出する金額を投資信託などより投資する商品を自分自身で決め、運用成績次第で将来の受取額が変わります。原則60歳までお金を引き出すことはできませんが、強制的にお金を貯める仕組みができます。iDeCoは何と言っても税制が優遇されている点が魅力で、積立中、運用中、年金を受け取る時に税制優遇があります。
老後の生活にいくら必要なのかは、個人それぞれの送りたい老後の生活によりますが、いずれにしても老後のためにお金を貯める必要があります。自分に合った方法で、1年でも1日でも早く、コツコツと老後資金のお金を貯めることを始めましょう。
今回のまとめ
- 65歳でリタイアした場合、最低限の生活を送るのに必要な老後資金は、夫婦二人だと約2,006万円(退職金がない場合)!
- 老後の資金を貯めるための方法、「財形制度」「積立式定期預金」「投信自動積立」「定期預金+投資信託」「個人年金保険」「iDeCo」を活用
- ※ 本ページは2017年8月時点での情報であり、その正確性、完全性、最新性等内容を保証するものではありません。また、今後予告なしに変更されることがあります。
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