
【この記事を読んでわかること】
2024年3月、日銀の政策金利が引き上げが発表され、マイナス金利が解除されました。住宅ローンの金利にも大きく左右し、2024年10月以降では各金融機関で住宅ローン金利の上昇が続いています。2025年も1月に政策金利の引き上げがあり、各金融機関で住宅ローン金利の上昇となっています。
利上げがあると私たちの生活にどのような影響があるのでしょうか。今回は、金利上昇への備えについて考えていきましょう。
銀行の住宅ローンの金利には、大きく分けると固定金利と変動金利の2つがあります。
固定金利は、一定の期間金利が固定されます。固定金利は長期金利に影響され、変動金利は短期金利に影響されて設定されるのが一般的です。
変動金利は、短期金利に基づいて設定されます。中でも短期プライムレート(優良企業に対して資金を貸し出す際に適用する最優遇貸出金利)を基準に、世の中の金利の変化に応じて半年ごとに金利の見直しがされます。この短期プライムレートは、日銀の政策金利の影響を受けています。
住宅ローンは、それぞれ銀行が基準として示す金利(基準金利や店頭金利などと呼ばれます)から「優遇」する引き下げ幅を差し引き、貸出金利(適用金利や優遇適用後金利などと呼ばれます)が決まります。特にマイナス金利下では銀行間での金利引き下げ競争が激化し、変動金利で年0.3%といった金利もありました。
多くの銀行では「短期プライムレート+1%」2.875%(2025年3月17日時点)を基準金利としています。その基準金利は、日銀が決定する政策金利の影響を受けています。
変動金利の住宅ローンでは、「基準金利からマイナス〇%」などのキャンペーンを実施する広告をよく目にします。この変動金利の引き下げ幅は、各銀行によって異なります。
政策金利とは、日銀が金融政策を実施する上で設定する金利で、2016年2月にマイナス金利政策を導入し、金融機関が日銀に預ける当座預金の一部に-0.1%を適用し、この金利を短期金利の政策金利としていました。しかし2024年3月に日銀は物価2%目標を持続的・安定的に達成できる見通しが立ったと判断し、マイナス金利の解除を決定しました。マイナス金利政策の解除により、同年7月に政策金利は0.25%、2025年1月に0.5%と上昇傾向に転じています。
今後も経済や物価の状況で政策金利に変動があるとみられおり、政策金利の動向に注目しておく必要があります。
住宅ローンの固定金利は長期金利の指標とされている長期国債の利回りに影響を受けるとされています。
2025年3月にこれまで日銀が行ってきた長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)の撤廃が発表され、10年ものの国債の利回りが上昇している傾向にあり、住宅ローンの固定金利も上昇傾向にあります。固定金利についても目が離せない状況にあるといえます。
これから住宅購入を考えている方は、金利上昇局面で住宅ローンを選ぶことになります。
足元では2024年10月頃から徐々に上昇しており、固定金利型と変動金利のどちらを選択するのか悩むのではないでしょうか。
全期間固定金利で借りる場合には、金利が変わらないので月々の返済額に変更はありませんが、変動金利と比べて月々の返済額が大きくなります。それに対して変動金利の場合には、返済額は固定金利より小さいのですが、半年ごとに金利が見直しされるので、金利上昇時には、返済の負担が増すリスクがあります。特に返済期間が長いほど金利上昇によるダメージは大きくなります。
金利タイプの選択に迷う場合には、金利が上がると不安だと思うだけではなく、もし金利が上がったらどうなるのか、返済シミュレーションを実施しておきましょう。住宅ローンを提供している金融機関のウェブサイトでは、金利が上昇した場合に月々の返済額がどれだけになるのか計算できるシミュレーションが提供されています。金利がいつ上がるのか、金利の上昇幅などの条件を変えて試算することにより、金利が上がった場合に備えることができます。
イオン銀行の住宅ローンシミュレーションでは、新規借入れ、借換えのいずれにおいてもシミュレーションが充実しています。毎月の返済額だけでなく、諸費用の概算も試算しています。手数料については、ご自身のライフプランに合わせて定率型と定額型から選べます。また、住宅ローンの保証料がないので、費用の節約ができます。もしシミュレーション結果に迷った場合でも、365日店舗やオンラインで相談ができるようになっているので安心です。
金利上昇に備える具体的な対策としては、
①資金余力を高める
②繰上返済をする
③住宅ローンの借り換えをする
などの方法があります。
たとえば、繰上返済では、全期間固定と変動の金利をくらべて、その月々の返済額の差額を積み立て、金利上昇時に繰上返済をするのも一案です。繰上返済の実行時期と金利上昇幅によって、返済金額の上昇をどれくらいまで許容できるのかを前もって知っておきましょう。
マイホームを持ち家族と楽しい時間を過ごしたいとか老後まで住みたいなどをお手伝いするのが住宅ローンです。金利は自分でコントロールすることはできません。しかし、自分でコントロールできることに関して、最低限のリスク管理ができていれば、住宅ローンの不安は小さくできるではないでしょうか。
池田 幸代
ファイナンシャルプランナー(AFP)
証券会社に勤務後、結婚。長年の土地問題を解決したいという思いから、宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー(AFP)を取得。不動産賃貸業経営。「お客様の夢と希望とともに」をキャッチフレーズに2016年に会社設立。福岡を中心に活動中。FP Cafe登録パートナー
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