
【この記事を読んでわかること】
働かなくてもお金がもらえる「不労所得」があったら嬉しいですよね。「お金持ちでないと不労所得なんて作れない」と思われるかもしれませんが、そんなことはありません。確かに、一切働かずに不労所得だけで生活するにはまとまった投資金額が必要ですが、「月1万円の不労所得を得る」ならば目指しやすくなります。
今回は月1万円の不労所得を作る現実的な方法として、4つの投資先を紹介します。
銀行にお金を預けることで得られる利息は、不労所得です。
銀行の預金金利は、各国の中央銀行(日本の場合は日本銀行)が定める「政策金利」を元にして決まります。日本では長らく行われてきた「マイナス金利政策」が2024年3月に解除され、2024年7月、2025年1月と政策金利を引上げる「利上げ」を実施してきました。これにより少しずつ政策金利が上昇し、定期預金の金利も上がっています。
イオン銀行の場合、預入期間が1年の定期預金の金利は年0.450%(2025年3月7日時点・税引前)です。この条件で定期預金にお金を預ければ、1年後、満期を迎えるまでこの年0.450%(2025年3月7日時点・税引前)の金利が続きます。最新の金利はこちらをご確認ください。
仮に定期預金に1年間お金を預けて年1万円の利息を得ようとすると、約279万円預ける必要があります。
【年1万円の利息の計算式】
279万円×0.450%=1万2,555円
1万2,555円−(1万2,555円×20.315%)=1万6円(≒1万円)
預金の利息には20.315%(所得税15%+復興特別所得税0.315%+住民税5%)の税金がかかります。この税金が差引かれたあとの金額が実際に受取れる利息ですので、20.315%分の金額を差引いています。
今回は「月1万円」ですので、この金額を12倍すれば月1万円の利息がわかります。預ける金額は、約3,348万円となる計算です。
【月1万円の利息の計算式】
3,348万円×0.450%=15万660円
15万660円−(15万660円×20.315%)=12万54円(≒12万円)
なお、イオン銀行の1年ものの定期預金の利息は満期日に一括で支払われます。
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定期預金の商品概要説明書はこちら(2022年4月1日現在)
債券は、国、地方自治体、企業などがお金を借りるために発行する借用証書のようなものです。国が発行している債券が「国債」で、個人でも買いやすいようにした国債が「個人向け国債」です。
個人向け国債は毎月発売されており、最低購入価格1万円から1万円単位で購入できます。個人向け国債を買うと、半年に1度利息が受取れ、満期になると貸したお金が返ってきます。
個人向け国債から得られる利息は、不労所得です。
個人向け国債には、固定金利で当初の利率が満期まで続く「固定3年」「固定5年」と、変動金利で半年ごとに利率が見直される「変動10年」の3つのタイプがあります。
預金金利と同様、政策金利が上昇していることから個人向け国債の金利も近年上昇しています。2025年3月募集分の金利(税引前)は、下記の通りです。
(2025年3月7日時点)
このなかで最も金利が高いのは固定5年です。定期預金同様、月1万円の利息がもらえる金額を計算すると、約1,463万円となります。
【月1万円の利息の計算式】
1,463万円×1.03%=15万689円
15万689円−(15万689円×20.315%)=12万77円(≒12万円)
また、変動10年は固定5年よりも金利が低くなっていますが、金利の上昇が続いた場合、半年に1度利率が見直されるため、将来的に固定5年よりも利率が高くなる可能性もあります。その場合は、より少ない金額でも不労所得「月1万円」が達成できるでしょう。ただし、仮に金利が下落した場合は、変動10年の利率も下がってしまいます(最低年0.05%)。
また、個人向け国債は保有から1年経てば中途解約ができますが、直近2回分の利息が差引かれることは押さえておきましょう。なお、直近2回分の利息が差引かれても、元本割れすることはありません。
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投資信託は投資家が出したお金をプロが代わりに運用してくれる金融商品で、日本で購入可能な投資信託は約6,000本です。何に投資しているかは投資信託ごとに異なります。
投資信託の保有中にもらえる場合がある分配金は、不労所得です。
投資信託を保有していると、投資信託の運用による利益の一部が投資家に支払われることがあります。これが分配金です。
投資信託の分配金には本来、20.315%の税金がかかります。しかし、新NISAを利用することで、投資で得られた利益(値上がり益・株の配当金・投資信託の分配金)にかかる税金をゼロにできます。税金がかからない分、効率よく資産を増やせます。
分配金には普通分配金と分配金の一部ないしは全部が実質原本の一部払戻しに相当する場合があります。詳しくはこちらをご確認ください。また、新NISAでは毎月分配型等は対象外となります。詳しくはこちらをご確認ください。
新NISA口座で高配当株に投資する投資信託に投資して、仮に年3%の分配金が得られたとしましょう。この場合、月1万円の分配金を得るのに必要な金額は400万円です。
【月1万円の分配金の計算式】(新NISA口座の場合)
400万円×3%=12万円
新NISA口座で投資していれば、分配金だけでなく値上がり益も非課税ですので、投資信託が値上がりすればダブルで恩恵が受けられます。
しかし、投資に元本保証はありません。運用がうまくいかなくなれば、分配金の額が減って「月1万円」を達成できなくなったり、投資信託の値下がりで元本割れを起こしたりする可能性もあります。
株を保有していることでもらえる配当金は、不労所得です。
配当金とは、株主に支払われる会社の利益の一部です。配当金を支払うことを「配当」といいます。配当金は、日本株の場合は年に1~2回、米国の場合は年に4回もらえるのが一般的です。配当金は1株保有でも受取ることができ、保有株式数に応じて分配されます。
株価に占める配当金の割合のことを「配当利回り」といいます。配当利回りの計算式は「年間予想配当金÷株価×100(%)」となっています。配当利回りが高いほど、投資金額に対してもらえる配当金の金額が多いことを表します。
配当利回りが比較的高い銘柄のことを高配当株といいます。
また、企業は業績好調なときなどに配当金を増やす「増配」を行うことがあります。継続的に業績好調な場合は連続で増配を繰り返すので、株価が安いうちに購入し、長期保有できれば毎年10%以上の配当金がもらえるお宝銘柄になることも夢ではありません。
新NISA口座で高配当株に投資して、年4%の配当金が得られたとすると、月1万円の分配金を得るのに必要な金額は300万円です。
【月1万円の配当金の計算式】(新NISA口座の場合)
300万円×4%=12万円
ただし、株は投資信託と同様に元本保証がありません。そのうえ、配当利回りの計算式には「年間予想配当金÷株価×100(%)」と、株価が入っていることにも注意が必要です。計算式からは、配当利回りの上昇は「年間予想配当金の増加」か「株価の下落」で起こることがわかります。もしも不人気な銘柄や業績の悪化した銘柄に配当利回りだけをみて飛びつくと、資産を大きく減らしかねません。
4つの方法をみると、方法ごとに利率(利回り)と「月1万円」の不労所得を得るために必要な金額が異なることがわかります。
投資金額を少なくしつつ、時間をかけながら「月1万円」の不労所得を目指したいならば、投資信託や株を利用するのがベターです。定期預金や個人向け国債よりも利率が高く、「月1万円」に必要となる金額も比較的少なくできるからです。
ただ、定期預金や個人向け国債には元本保証があるのに対し、投資信託や株には元本割れのリスクがあります。元本割れリスクを抑えながら「月1万円」の不労所得を目指したい場合、「新NISAを活用した投資信託の積立投資」は有力な選択肢の1つです。
新NISAでは、積立投資専用の「つみたて投資枠」と、一括投資も可能な「成長投資枠」を使って、運用益が非課税となる投資が可能です。特につみたて投資枠では、長期・積立・分散という投資の基本を手軽に実践でき、利益にかかる税金をゼロにしながら効率的に資産を増やすことが期待されます。
ただし、「月1万円の分配金による不労所得」を目指すには、分配金が支払われる分配型の投資信託を選ぶ必要があります。現在の制度では、毎月分配型の投資信託は新NISAの対象外であるため、このような投資信託を活用する場合は、特定口座などの課税口座での運用が必要です。
投資信託への積立投資で「月1万円の分配金」を目指している途中でも、月1万円に満たない金額とはいえ、分配金を受取れる可能性があります。分配金を再投資することで、資産が増えるスピードも上がります。1万円に達したあとも投資を続ければ、不労所得を月2万円・3万円…と増やすことも不可能ではありません。
一方、新NISAを使った積立投資では分配金は得られないものの、再投資による資産形成が期待でき、将来的に「売却益による不労所得」を得るという選択肢もあります。目的に応じて、課税口座と非課税口座を賢く使い分けることが重要です。
お申込みに際しては、以下のご留意点を必ずご確認ください。
頼藤 太希
マネーコンサルタント
(株)Money&You代表取締役。中央大学商学部客員講師。早稲田大学オープンカレッジ講師。慶應義塾大学経済学部卒業後、外資系生保にて資産運用リスク管理業務に従事。2015年に創業し現職。日テレ「カズレーザーと学ぶ。」、TBS「情報7daysニュースキャスター」などテレビ・ラジオ出演多数。主な著書に『はじめての新NISA&iDeCo』(成美堂出版)、『定年後ずっと困らないお金の話』(大和書房)など、著書累計180万部。YouTube「Money&YouTV」、Podcast「マネラジ。」、Voicy「1日5分でお金持ちラジオ」運営。日本年金学会会員。日本証券アナリスト協会検定会員。宅地建物取引士。ファイナンシャルプランナー(AFP)。X(旧Twitter)→@yorifujitaiki
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