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【この記事を読んでわかること】
住宅ローンの金利には、変動金利と固定金利があり、どちらがよいのかと迷っている方は多いのではないでしょうか。特に2024年は、長らく続いたマイナス金利政策が終了し、金利が徐々に上昇する傾向にありました。となれば、まだ金利が低い今のうちに、固定金利を利用した方がよいのでしょうか。今回は、住宅ローンの固定金利の特徴と固定金利に向いている人を解説します。
住宅ローンの金利には、大きく分けて変動金利と固定金利があります。変動金利は原則半年に一度金利が見直されるタイプ、固定金利は金利が固定されるタイプです。
固定金利には、さらに全期間固定金利型と固定金利期間選択型の2つがあります。全期間固定金利型は借り入れてから完済するまでずっと金利が一定のタイプ、固定金利期間選択型は2年・3年・5年・10年などの一定期間のみ金利を固定するタイプです。
固定金利期間選択型では、金利の固定期間が終わったら変動金利に移行するか新たに固定期間を設定するかを選ぶことができます。
借入れ時に選択した期間の間は金利が固定され、選択期間終了後は、変動金利か固定金利を再選択できます。また、選択した金利タイプやお借入れ状況に基づいて、毎月の返済額が再計算されます。
借入れ時点の金利から返済終了まで変わりません。
固定金利のメリットには、次のようなものがあります。
固定金利は金利の見直しがないため、ローン返済終了(固定金利選択型の場合は固定期間終了時)まで毎月の返済額が一定です。毎月の返済額が一定ということは、家計管理もしやすく、子どもの教育費、車や家電などの買い物、旅行などの費用、老後資金の準備などの計画も立てやすいでしょう。
変動金利の場合、市場金利が上昇すると、それに合わせて金利が上がり、返済額が増えてしまいます。変動金利にも、金利が上がっても5年間は毎月の返済額が増えない「5年ルール」や、返済額が125%までしか上がらない「125%ルール」がありますが、それでも市場金利が上昇すれば返済額が増えてしまうことに変わりはありません。
その点、固定金利ならば市場金利が上がっても金利が変わらないので、市場金利上昇のリスクを回避することができます。
一方、固定金利にもデメリットがあります。
住宅ローンの金利は、一般的に変動金利よりも固定金利のほうが高め。また、固定金利期間選択型の場合、固定金利期間が終わったあとに金利の引き下げ幅が縮小(適用金利が上昇)することもあります。
今後の金利がどうなるかは、誰にもわかりません。とくに全期間固定金利型の場合、金利が高いときに固定金利の住宅ローンを組んでしまうと、その後金利が下がっても高い金利を支払わなくてはならなくなるリスクがあります。後から「変動金利を選んでおいたほうが総返済額は少なかったはず」ということもありえます。
ここまでご紹介したように、住宅ローンの金利タイプ、固定金利と変動金利にはそれぞれメリット・デメリットがあるため、どちらがよいとは一概に言い切れないものがあります。しかしあえて、固定金利に向いている人をあげるとすれば、次のような人でしょう。
固定金利、とくに全期間固定金利型を選ぶと、市場金利がどれだけ上がっても返済額は一定です。特に2024年以降は金利が徐々に上昇傾向にあります。そうした金利の動向に振り回されず、コツコツと毎月決まった金額を返済したい場合には全期間固定金利型を選ぶのがよいでしょう。一方、全期間固定金利型は割高のため、「固定金利期間選択型」で一般的な全期間固定金利より利率を抑えつつ、金利上昇の局面を10年固定金利などで見極めた後にその時の状況に応じて変動・固定の金利タイプの切替えや借換えすることもプランとして存在します。
今回は、住宅ローンの金利の中でも特に固定金利にフォーカスして解説してきました。つい金利が安いからと変動金利を選びがちですが、固定金利で得られるメリットも大きなものがあります。収入や資産、家族の状況、自分のライフプランにあった金利のタイプを選ぶようにしてくださいね。
高山 一恵
ファイナンシャルプランナー(CFP)
(株)Money&You取締役。中央大学商学部客員講師。一般社団法人不動産投資コンサルティング協会理事。慶應義塾大学文学部卒業。2005年に女性向けFPオフィス、(株)エフピーウーマンを設立。10年間取締役を務めたのち、現職へ。NHK「日曜討論」「クローズアップ現代」などテレビ・ラジオ出演多数。ニュースメディア「Mocha(モカ)」、YouTube「Money&YouTV」、Podcast「マネラジ。」、Voicy「1日5分でお金持ちラジオ」運営。「はじめての新NISA&iDeCo」(成美堂出版)、「マンガと図解 はじめての資産運用」(宝島社)など書籍100冊、累計180万部超。ファイナンシャルプランナー(CFP®)。1級FP技能士。X(旧Twitter)→@takayamakazue
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