つみたてNISAの売り時はいつがベスト? 売却タイミングを3つ紹介!
執筆者:マネーコンサルタント|頼藤 太希
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つみたてNISAは、投資信託を利用した長期・積立・分散投資による資産づくりをサポートするお得な制度。中長期でじっくりと取り組むことで、お金を堅実に増やす期待ができます。とはいえ、お金を増やして使うために投資をしているのですから、いつか売る時がきます。
では、つみたてNISAの売り時は、いったいいつがいいのでしょうか。今回は、つみたてNISAの出口戦略を考えてみます。
つみたてNISAはじっくり堅実にお金を増やす制度
つみたてNISAは、年間40万円までの新規の投資で得られた利益にかかる税金を最長20年間にわたって非課税にできる制度です。
つみたてNISAの概要
つみたてNISA | |
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利用できる人 | 日本に住む20歳以上の方 (年齢制限なし) |
新規に投資できる 期間 |
20年間(2018年~2037年) ※制度改正により2042年までに延長予定 |
非課税となる期間 | 投資した年から最長20年間 |
年間投資上限額 | 40万円 |
類型非課税 投資上限額 |
800万円 ※制度改正により2018年から投資していた人は 最大1,000万円まで非課税で投資可能になる |
投資対象商品 | 金融庁が定めた基準を満たす 投資信託・ETF |
投資方法 | 積み立てのみ |
資産の引き出し | いつでも引き出せる |
投資の利益には通常、20.315%の税金がかかります。つみたてNISAを利用することで、その税金がゼロにできます。つまり、その分手元に残るお金を多くできるのですから、使わない手はありませんね。日本に住む20歳以上の方なら誰でも利用可能。年齢の上限がないので、老若男女問わず使いやすく、おすすめできる制度です。
つみたてNISAで投資できる商品は、金融庁の基準を満たした投資信託・ETF(上場投資信託)。手数料が安く、中長期的にコツコツと積み立てを行うことで資産を堅実に増やせると考えられる商品に絞られています。
今後の制度改正により、新規に投資できる期間が2037年から2042年までと、5年延長されます。これにより、仮に2018年から2042年まで、毎年40万円ずつ投資している人がいたとしたら、最大で1,000万円まで非課税で投資できることになります。
なお、非課税の投資枠は翌年以降に持ち越せませんので、2021年につみたてNISAをスタートすれば880万円、2022年なら840万円…と、年間40万円ずつ非課税の投資枠が減っていくことになります。また、つみたてNISAの資産はいつでも売却して引き出すことができますが、年間40万円の非課税の投資枠は使い切りで、再利用ができないことも押さえておきましょう。
金融庁「NISA・ジュニアNISA利用状況調査」によると、2020年のつみたてNISAの商品買付金額は7,614億円。つみたてNISAがよく利用されていることがわかります。
しかし、一方で2020年のつみたてNISAの売却金額も519億円に達しています。
その売却の理由までははっきりとはわかりません。しかし、2020年は新型コロナウイルスによる「コロナショック」で、一時的に相場が大きく値下がりしました。それに慌てて売却した人がいるかもしれません。また、コロナショック後の市場の立ち直りが好調でちょっと利益が出たからと売却した人もいるかもしれません。
しかし、お金を増やす観点でいうと、これらはどちらもいい売却とはいえません。なぜなら、つみたてNISAは20年にわたって運用益を非課税にできる制度なのに関わらず、売却してしまったからです。
つみたてNISAの資産を2年〜3年程度で売却してしまうと、残りの17年〜18年分の「非課税で投資できる期間」をなくすことになってしまいます。この期間は二度と復活しません。また、つみたてNISAを売却することで、再投資した利益が新しい利益を生み出す複利の効果も小さくなってしまいます。さらに、つみたてNISAは長期間続けてこそリスクを抑えられる投資です。
つみたてNISAは短期的な市場の上下があってもやめてはいけません。中長期でじっくりと取り組み、堅実にお金を増やす制度なのです。
つみたてNISAを売却する3つのタイミング
つみたてNISAは、お金を増やす観点からはじっくり続けたほうがいいですが、絶対にやめてはいけない、というわけではありません。つみたてNISAの売却タイミングを3つご紹介します。
つみたてNISAの売却タイミング1:ライフイベントが発生したとき
つみたてNISAを始めた目的として、将来のライフイベントに備えるためとした人も多いことでしょう。結婚、出産、教育、住宅購入、旅行、親の介護、老後など、人生のさまざまなライフイベントにはお金がかかります。これらのライフイベントのためにつみたてNISAをはじめ、そのお金が貯まったならば、必要な分だけ売却して、ライフイベントのために活用すればいいでしょう。
つみたてNISAの売却タイミング2:目標金額に達したとき
「利益が500万円になったら売却」と、利益の目標を達成したら売却する方法や、「資産合計が800万円になったら売却」と、資産の目標を達成したら売却する方法が考えられます。目標金額を設定すると、日頃から目標がどの程度達成できたか、資産の額を確認したり、売却するタイミングを考えたりできるので、投資のモチベーションを保てるでしょう。
つみたてNISAの売却タイミング3:資産が2倍になったとき
たとえば、ある年に購入した40万円の投資信託の資産が増え、2倍の80万円になったとします。このとき、40万円だけ売却して投資元本を回収すれば、残りの40万円がいくら減ってしまったとしても、元本割れは防げます。それどころか、さらに資産が増えて利益が出ることも期待できます。
大切なのは、このような売り時のルールを決めたら、そのルールにしたがって投資を行うこと。投資で成功する秘訣は、感情を排して淡々と行うことだからです。人には誰しも感情がある以上、なかなか難しいことではありますが、感情に惑わされた結果売り時を逃したり、損をしたりしたという事例はいくらでもあります。ルールは必ず守りましょう。
つみたてNISAの資産は一気に売らず、分割して売却するのも手
つみたてNISAでコツコツと積立投資すると、ドルコスト平均法の効果が得られます。ドルコスト平均法は、毎回決まった金額で投資すること。価格が安いときはたくさん購入し、価格が高いときは少ししか購入しないため、平均購入単価を抑えられるというわけです。
つみたてNISAの資産を売却するときも、買うときと同じように、複数回に分けて売却しましょう。そうすることで、安いときにすべて売ってしまうことを防ぎ、売却価格を安定させることができます。
一番よくないのは、暴落したときに慌てて全部売ってしまうこと。上でも紹介した「コロナショック」のときに売ってしまった人は、損をしただけでなく、その後価格が戻ってきたときの回復の恩恵も受けられなかったと考えられます。
つみたてNISAは最長20年間にわたって非課税で投資できる制度です。しかも、仮に20年後に暴落があったとしても、課税口座に資産を移して運用が続けられます。そのことを忘れずに、慌てずじっくりと取り組んでいきましょう。
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