<みんなの平均>初任給の平均額はいくら?どのくらい引上げられている?

執筆者:ファイナンシャルプランナー(CFP)

高山 一恵

年収

2025年6月13日

【この記事を読んでわかること】

  • 2025年度の初任給を前年度から全学歴で引上げた企業は83.2%と、多くの企業で初任給の引上げが進んでいる
  • 初任給は最終学歴が高卒より大卒の方が高くなっている
  • 初任給の引上げが必ずしも「年収アップ」につながるとは限らない点に注意

大手企業を中心に、初任給を引上げる動きが加速しています。少子高齢化が進み若い方が減りつつあるなか、待遇面を充実させないとよい人材を確保できなくなってきているためです。となると気になるのは、みんなの初任給ではないでしょうか。
今回は、初任給の引上げを行った企業の割合、最終学歴別の初任給の平均額、初任給の平均額の近年の推移から、初任給がどのくらい引上げられているのかをチェックしてみましょう。

初任給の引上げを行った企業の割合は?

一般財団法人 労務行政研究所が毎年公表している「新入社員の初任給調査」は、東証プライム市場に上場する企業の初任給に関する情報をまとめた調査です。「2025年度新⼊社員の初任給調査」によると、2025年度の初任給を前年度から全学歴で引上げた企業は実に83.2%にのぼります。特に製造業では90.4%と、9割以上の企業が初任給を引上げています。なお、非製造業では76.7%ですので「4分の3強」ではありますが、それでも多くの企業で初任給の引上げが進んでいることがわかります。

実際、過去10年間の初任給引上げ率(初任給を全学歴で引上げた企業の割合)の推移をみると、初任給引上げ率は2025年度こそ2024年度より少し減少しているものの、ここ数年で急激に増えていることがわかります。

初任給引上げ率の推移
初任給引上げ率の推移

初任給引上げ率は2020年度まではおおむね30〜40%の間で推移していたものの、2021年度は新型コロナの感染拡大の影響で減少しています。しかし、2022年度から一転して大幅に上昇しており、人材不足が深刻になっている様子が読取れます。

最終学歴別初任給の平均額は?

初任給と最終学歴には関連があります。もちろん企業により異なりますが、一般的には高校卒より大学卒や大学院卒の方が初任給は高い傾向があります。最終学歴別初任給の平均額は、次のようになっています。

2025年度の最終学歴別初任給の平均額
2025年度の最終学歴別初任給の平均額

2025年度の初任給の平均は高校卒で約20.6万円、大学卒で約25.5万円となっています。この金額をどうとらえるかは、世代によって異なるかもしれません。すでに社会人となって働いている方にとっては、随分と高いと思われるでしょう。一方で、就職活動をしている方(終えたばかりの方)にとっては、意外と安いと思われるかもしれません。

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初任給の平均額の推移はどうなっている?

初任給の平均額を2021年度〜2025年度の5年間の推移で見ると、最終学歴に関係なく年々増加していることがわかります。特に2024年度・2025年度に入って、最終学歴問わず初任給の伸びが加速しています。

初任給の平均額の推移
初任給の平均額の推移

株式会社 産労総合研究所の「2024年度 決定初任給調査(2024年7月5日更新)」では、初任給を引上げた理由・据え置いた理由を調査しています(複数回答)。これによると、引上げた理由として最も多いのはやはり「人材を確保するため」で73.5%となっています。少子高齢化で働く方そのものが減り、人材獲得競争が激化しています。優秀な人材を確保したいということで、初任給を引上げる企業が増えているのです。

ただ、いくら人材を確保するためとはいっても、初任給だけを引上げるのでは、既存の社員も不満に思うかもしれません。「先輩社員よりも給料の高い新卒社員がいる」という話はしばしばネットでも話題になりますし、何より先輩社員のモチベーションの低下にもつながりかねません。そこで、新卒だけでなく社員全体のベースアップを行うことで初任給も引上げるという動きもあります。初任給を引上げた理由でも「在籍者のベースアップがあったため」が43.4%あります。

ただ、初任給の引上げが必ずしも「年収アップ」につながるとは限らない点には注意が必要です。たとえば、初任給25万円の会社が初任給を30万円に引上げれば、年収は60万円増える計算です。しかし初任給が高い分、賞与で調整されたり、その後の昇給率が少なくなったりして、トータルで見ると年収アップにつながらないということもあるかもしれません。
また、初任給を引上げた分、成果が出せるかどうかはよりシビアにチェックされるでしょう。成果が出せればよいものの、成果が出せなければ極端にいえば昇給も賞与もなし、さらには減給になるということもないとはいえません。

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少子高齢化の流れを考えると、今後もしばらくは新卒者有利の「売り手市場」が続くと考えられます。初任給の引上げもさらに進むとみられます。ただ、初任給の高さだけで就職先を選ぶと、思わぬ落とし穴があるかもしれません。ぜひしっかり企業研究をしていただき、その会社でどんな仕事ができるのか、自分がどう成長できるのかを確認した方がよいでしょう。

  • 本ページは2025年5月時点での情報であり、その正確性、完全性、最新性等内容を保証するものではありません。また、今後予告なしに変更されることがあります。

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高山 一恵

ファイナンシャルプランナー(CFP)

(株)Money&You取締役。中央大学商学部客員講師。一般社団法人不動産投資コンサルティング協会理事。慶應義塾大学文学部卒業。2005年に女性向けFPオフィス、(株)エフピーウーマンを設立。10年間取締役を務めたのち、現職へ。NHK「日曜討論」「クローズアップ現代」などテレビ・ラジオ出演多数。ニュースメディア「Mocha(モカ)」、YouTube「Money&YouTV」、Podcast「マネラジ。」、Voicy「1日5分でお金持ちラジオ」運営。「はじめての新NISA&iDeCo」(成美堂出版)、「マンガと図解 はじめての資産運用」(宝島社)など書籍100冊、累計180万部超。ファイナンシャルプランナー(CFP®)。1級FP技能士。X(旧Twitter)→@takayamakazue

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