もし宝くじが当たったら…当せん金は非課税?受取り方や税金について紹介

2025.12.5

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【この記事を読んでわかること】

  • 宝くじの当せん金を本人が受取る場合は非課税で、確定申告も必要ない
  • 宝くじの当せん金を分配すると贈与税、相続すると相続税が発生する場合がある
  • 宝くじ売り場やコンビニエンスストアで購入した宝くじの100万円を超える高額当せん金は銀行の窓口でしか受取れない

「宝くじが当たったら…」と夢を見るのは楽しいものです。ただ、当せんしたら税金がかかるのか、どうやって受取るのか、気になる方も多いでしょう。
今回は、宝くじの税金について解説します。また、高額当せんした場合の受取り方も紹介します。

宝くじの当せん金は非課税!高額当せんでも税金がかからない理由

宝くじの当せん金を本人が受取る場合は非課税です。
宝くじの法律「当せん金付証票法」の第13条には「当せん金付証票の当せん金品については、所得税を課さない」と書かれていますので、所得税はかかりません。宝くじの当せん金は所得ではないので、住民税もかかりません。確定申告も不要です。

宝くじの当せん金に税金がかからない理由とは

宝くじが発行できるのは、47の都道府県と20の政令指定都市のみです。
都道府県・政令指定都市は、総務大臣の許可を得て宝くじの発売元になり、宝くじの発売に関する業務を銀行などに委託します。販売した宝くじの売上金から当せん金や経費などを支払った残りの金額が「収益金」として都道府県・政令指定都市に納められ、さまざまな公共事業に使われます。

宝くじ公式サイトによると、2024年度の宝くじの売上金額の使い道は、次のようになっています。

<宝くじの売上金額の使い道>

  • この表は横にスクロールできます
売上金額の使い道 金額(割合) 用途
当せん金 3,529億円(46.5%) 当せん者に支払われる
収益金 2,750億円(36.2%) 都道府県・政令指定都市に納められる
経費 1,218億円(16.0%) 印刷経費、売りさばき手数料など
(宝くじ発行に必要な経費)
社会貢献広報費 101億円(1.3%) 宝くじの社会貢献広報のための資金

宝くじ公式サイト より(株)Money&You作成

2024年度は、宝くじの売上金額のうち2,750億円、36.2%が収益金として都道府県・政令指定都市に納められています。宝くじの売上金額から予め税金にあたる金額が差引かれているため、当せん金に税金がかからないのです。

サマージャンボ宝くじ・ドリームジャンボ宝くじ・年末ジャンボ宝くじは全国の都道府県・政令指定都市が共通で販売する「全国自治宝くじ」です。
宝くじにはこのほかに、「東京都」「関東・中部・東北自治」「近畿」「西日本」の4ブロックでそれぞれ発売される「ブロック宝くじ」があります。

当せん金の使い方次第では税金がかかることも

「宝くじに当せんした方が当せん金を受取った」というだけであれば非課税なのですが、当せん金の受取り方や使い方によっては税金がかかることがあります。

宝くじの当せん金を分配した場合

宝くじの当せん金を家族や友人などに分配した場合、当せん金を受取った家族や友人に贈与税がかかる場合があります。贈与税には110万円の基礎控除があるので、110万円までであれば贈与税はかかりません。110万円を超えると贈与税が発生します。
宝くじの当せん金といっても、受取った後は当せんした方の財産です。その財産を分配すると、贈与税の対象になります。

贈与税の金額は、基礎控除後の課税価格を速算表に当てはめ、対応する税率をかけて控除額を引くことで求められます。
対応する税率は、贈与する方と贈与される方の関係によって「一般税率」と「特例税率」に分けられます。
特例税率は、父母や祖父母から18歳以上の子や孫が贈与を受けるときの税率で、一般税率よりも優遇されています。特例税率に当てはまらない贈与(兄弟間の贈与、夫婦間の贈与、親子間で子が未成年の贈与、他人への贈与など)には一般税率が適用されます。

<贈与税の速算表(一般贈与財産用(一般税率))>

  • この表は横にスクロールできます
基礎控除後の
課税価格
200万円以下 300万円以下 400万円以下 600万円以下 1,000万円以下 1,500万円以下 3,000万円以下 3,000万円超
税率 10% 15% 20% 30% 40% 45% 50% 55%
控除額 10万円 25万円 65万円 125万円 175万円 250万円 400万円

<贈与税の速算表(特例贈与財産用(特例税率))>

  • この表は横にスクロールできます
基礎控除後の
課税価格
200万円以下 400万円以下 600万円以下 1,000万円以下 1,500万円以下 3,000万円以下 4,500万円以下 4,500万円超
税率 10% 15% 20% 30% 40% 45% 50% 55%
控除額 10万円 30万円 90万円 190万円 265万円 415万円 640万円

国税庁のウェブサイトより(株)Money&You作成

たとえば、1,000万円の贈与を受けた場合、贈与税の金額は次のようになります。

計算式

  • 基礎控除後の課税価格…(贈与を受けた金額−基礎控除110万円)
  • 贈与税の金額…基礎控除後の課税価格×税率−控除額

一般贈与

  • 基礎控除後の課税価格…(1,000万円−基礎控除110万円)=890万円
  • 贈与税の金額…890万円×40%−125万円=231万円

特例贈与

  • 基礎控除後の課税価格…(1,000万円−基礎控除110万円)=890万円
  • 贈与税の金額…890万円×30%−90万円=177万円

また、複数人で共同購入した宝くじが高額当せんした場合に、誰か1人が代表して当せん金を受取って残りの方に当せん金を分配すると、残りの方はその代表1人から贈与を受けたことになり、贈与税の対象になってしまうので注意が必要です。共同購入した方全員で当せん金を受取りにいけば、それぞれの当せん金という扱いにできるため、贈与税が発生することを防げます。どうしても予定が合わない場合には、委任状を提出すれば同様に贈与税はかかりません。

宝くじと贈与税
宝くじと贈与税

宝くじの当せん金を相続した場合

宝くじに当せんした方が当せん金を残して亡くなった場合、そのお金は相続財産とし相続税の対象になります。
相続税には基礎控除があります。相続税の基礎控除額は、「3,000万円+(600万円×法定相続人の数)」です。他の相続財産と合わせてこの金額を超えた場合には、超えた分に相続税がかかります。
配偶者が相続する場合には最大で1億6,000万円以下、もしくは配偶者の法定相続分以下の場合には相続税が発生しません(配偶者の税額の軽減)。結構な高額ですが、宝くじの当せん金が10億円だと考えると、この軽減の基準を上回ることも十分に考えられます。場合によっては高額な相続税がかかる可能性があることを押さえておきましょう。

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宝くじの当せん金を運用した場合

宝くじの当せん金を銀行に預ければ利息が得られますし、株や投資信託に投資すれば、値上がり益や配当金・分配金を受取れるでしょう。宝くじの当せん金自体は非課税でも、これらの利益に対しては20.315%の税金がかかります。

株や投資信託であれば、NISA(ニーサ・少額投資非課税制度)などを利用することで税金を節約しながら投資ができるようになっています。詳しく知りたい方は下記をご覧ください。

≫NISA(少額投資非課税制度)

100万円を超える高額当せん金は銀行で

宝くじの当せん金は金額や購入場所により受取り方法が異なります。

宝くじ売り場やコンビニエンスストアで購入した場合

1当せん金または1口あたり5万円以下の当せん金のみの場合

宝くじ売り場またはみずほ銀行本支店(一部を除く)で当せん金を受取れます。一部の宝くじ売り場では1当せん金または1口あたり1万円以下の当せん金のみの場合もありますので、詳しくは各宝くじ売り場にご確認ください。

1当せん金または1口あたり5万円を超える当せん金を含む場合

みずほ銀行本支店(一部を除く)で当せん金を受取れます。1当せん金または1口あたり10万円以下のみの場合は「10万円マーク」のある宝くじ売り場でも当せん金を受取れます。

1当せん金または1口あたり100万円を超える当せん金を含む場合

みずほ銀行本支店で当せん金を受取れます。100万円超の場合は印鑑が必要です。200万円超の場合は印鑑に加えて本人確認書類(運転免許証やマイナンバーカードなど)も必要になります。顔写真のある本人確認書類がベターです。
宝くじの当せん金が100万円を超える場合は、手続きの関係上受取るまでに1週間程度かかります。

宝くじ公式サイトで購入した場合

宝くじ公式サイトで購入した宝くじの当せん金は、登録している当せん金受取口座に振込まれます。
当せん金が1万円以上の場合は各宝くじの支払開始日(当せん金の支払いが始まる日。ジャンボ宝くじの場合抽せん日の5日後)から1週間程度で振込まれます。
当せん金が1万円未満の場合は「お預かり当せん金」として宝くじ公式サイトで一時的に当せん金を預かります。当せん金とお預かり当せん金の合計金額が1万円以上となったときに、登録している当せん金受取口座に振込まれます。

当せん金とお預かり当せん金の合計金額が1万円未満でも、振込依頼を行うことで当せん金を振込んでもらうことができます。また、3月と9月には「半期ごとの口座振込」として当せん金受取口座に自動で振込まれます。

宝くじの当せん金を本人が受取る場合は非課税ですが、受取った後の使い方によっては税金がかかる可能性があります。金額が高額になることもありますので、手続きの前に必ず確認しましょう。

  • 本ページは2025年11月時点での情報であり、その正確性、完全性、最新性など内容を保証するものではありません。また、今後予告なしに変更されることがあります。

お申込みに際しては、以下のご留意点を必ずご確認ください。

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頼藤 太希

経済評論家・マネーコンサルタント

(株)Money&You代表取締役。中央大学商学部客員講師。早稲田大学オープンカレッジ講師。ファイナンシャルプランナー三田会代表。慶應義塾大学経済学部卒業後、アフラックにて資産運用リスク管理業務に6年間従事。2015年に現会社を創業し現職へ。日テレ「カズレーザーと学ぶ。(※現在は放送終了)」、フジテレビ「サン!シャイン」、BSテレ東「NIKKEI NEWS NEXT」などテレビ・ラジオ出演多数。ニュースメディア「Mocha」、YouTube「Money&YouTV」、Podcast「マネラジ。」、Voicy「1日5分でお金持ちラジオ」運営。「はじめての新NISA&iDeCo」(成美堂出版)、「定年後ずっと困らないお金の話」(大和書房)など書籍110冊超、累計190万部。日本年金学会会員。ファイナンシャルプランナー(CFP®)。1級FP技能士。日本証券アナリスト協会 認定アナリスト(CMA)。宅地建物取引士。日本アクチュアリー会研究会員。X(@yorifujitaiki)

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