中学受験にかかる費用は?私立中学入学後も意外とかかる費用とは

執筆者:ファイナンシャルプランナー(CFP)

高山 一恵

学費

2025年5月30日

首都圏を中心に中学受験が過熱しています。特に東京23区は受験率が高く、なかでも文京区は、約半数の子どもが私立中学に進学するほど中学受験に熱心な地域です。筆者も文京区に居住しており、息子の中学受験を経験しました。無事に合格しましたが、合格するまでの経済的負担は相当なものでした。加えて、入学後も何かとお金がかかります。そこで今回は、筆者の体験談も交えながら私立中学の受験から入学後の費用までを解説します。中学受験を考えているご家庭は、ぜひ参考にしてくださいね。

進学塾の塾代で200万円超

筆者が居住している文京区では中学受験は当たり前という考えのご家庭が多く、息子の通っていた小学校ではクラスの7割程度が受験しました。

中学受験をするとなると、まず検討しなければならないのが中学受験向けの「塾」です。
文京区では上記のように多くの子どもが中学受験をするので、人気の塾は低学年時には既に定員が埋まってしまいます。

当初は小学4年生から塾に通わせる予定でしたが、満席になってしまっては困るので、小学3年生から進学塾通いをスタートさせました。

参考までに息子が通った進学塾の費用(2025年5月調べ)を見てみましょう。

  • 入会金:2万2,000円(税込)
  • 小学3年生/週2回授業:月額2万3,100円(税込)

小学4年生からは2教科もしくは4教科を選択できますが、4教科を選択した場合の料金を記載します。

  • 小学4年生/週3回授業:月額3万9,600円(税込)
  • 小学5年生/4回授業:月額49,500円(税込)
  • 小学6年生/4回授業:8月までは月額63,800円(税込)、9月以降は月額85,800円(税込)
  • 費用は例外もあるので、実際の費用については各塾にお問い合わせください。

授業料だけを計算してみると、小学3年生から小学6年生までこちらの塾に通った場合、合計で約200万円にものぼります。この他にも、春期講習・夏期講習・テキスト代・模擬試験代がかかるので、50万〜100万円程度上乗せになります。他の塾も大差はないので、4年間塾に通うとして総額で200万円以上はかかります。

また、最近では、私立中学の難関校を目指す場合、塾とは別に家庭教師や個別塾に通うのは当たり前のようになっています。

我が家も息子が小学6年生の時に週に2回家庭教師をつけるようになりました。加えて志望校の対策コースも受けることになり、塾代も含めて、毎月15万円〜20万円程度かかっていました。

さらに、中学受験では平均受験校数は4〜5校とされており、私立中学の受験料は1校あたり2〜3万円程度となります。我が家の場合は、4校受験して10万円程度でした。

無事に合格すると入学金を支払うことになりますが、合格した学校が本命校ではなく滑り止め校などの場合には、正式な入学を待ってもらう必要があり、多くの私立中学校で延納金の制度を設けています。

延納金とは、私立中学校の入学金全額の支払いを待ってもらえる制度です。本命校の合格まで入学金を待ってくれる学校も一部ありますが、数は少ないです。延納金の金額は、入学金の一部(5万円程度)や半額程度(10万円〜20万円)など、学校により異なります。

我が家は、運よく延納金を支払うことはありませんでしたが、改めて見ると結構な負担になりますね。

入学後、授業料以外にもかかる想定外の費用

入学前には既にこれだけのお金がかかるのですが、入学後は学費の支払いが待っています。また、学費以外にも何かと想定外の費用がかかります。

では、具体的に私立中学に入学するとどんな費用がかかるのか、「子供の学習費調査(令和5年度)」を元に「学校教育費」の支出構成を見てみましょう。

私立中学の学校教育費の内訳を見てみると、入学金11万9,829円、授業料45万8,018円、修学旅行費等6万5,276円、学校納付金等17万2,268円、図書・学用品・実習材料費等8万135円、教科外活動費6万5,131円、通学関係費15万5,293円、その他1万2,111円となっています。いずれも公立中学に比べて高額な費用がかかります。

図表 文部科学省「子供の学習費調査(令和5年度)」より
図表 文部科学省「子供の学習費調査(令和5年度)」より

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ここからは、筆者の息子が私立中学に入学してみてわかった高額な費用や想定外の費用をご紹介します。

制服代

入学時に学校指定の制服や体操着・上履き・通学カバン・靴などを揃える必要があります。通学カバンや靴など、市販品で対応可能になっている場合には、工夫次第で費用を抑えることができます。しかし学校名や校章入りの指定品が多いと費用はかさみがちになります。
一般的には、上記の物を全て揃えると10万円〜15万円程度かかります。

学校によっては、卒業生などが提供してくれるリサイクル品がもらえたり、安く購入できることがあります。入学後に買い足しが必要になる場合などで上手に活用できれば、費用を抑えることができます。

ICT機器(iPadなど)代

最近は、授業などでiPadなどのICT機器を活用する学校が増えており、購入する場合10万円程度の費用がかかります。
また、中学入学を機に子どもにスマホを持たせる家庭も多く、iPhoneを購入するケースも少なくないようです。iPhoneを購入する場合、端末代は10万円以上かかります。

我が家も中学入学時に息子用にiPhoneを購入しました。上級学年になると、iPadを購入するようです。

通学代

私立中学の場合、自宅から学校までの距離が遠いことが多く、ほとんどの生徒が電車やバスなどの公共交通機関を利用します。電車の定期代として一般的に月5,000円から1万円程度かかります。

筆者の息子は電車に加えてバスも利用して学校に通学しているため、電車の定期代とは別に年間で6万円程度のバス代がかかります。通学代だけで年間15万円程度かかっています。

学校行事代

入学してから早い段階で親睦も兼ねたオリエンテーション合宿がある学校が多いようです。さらに、遠足代・芸術鑑賞・体育祭・文化祭の衣装代・材料費・各種講座の受講など、様々な行事で細かい出費がかさみます。

また、修学旅行先が海外という学校も少なくありません。海外での滞在日数や訪問国によって費用の差はありますが、40万円〜70万円程度の場合が多いようです。一般的に海外研修は中学3年〜高校2年くらいの時期に行われますので、中学入学の時点から少しずつ積立を行う学校がほとんどです。

さらに、任意の参加にはなりますが、夏休みを利用して短期留学や海外研修などのプログラムを用意している学校も数多くあります。息子の学校では、中学2年生から海外研修プログラムに参加できますが、欧米諸国に1週間程度研修に行く場合は、80万円〜100万円程度の費用がかかります。

部活動

意外と侮れないのが部活の費用です。運動部の場合、ユニフォーム代やシューズ代・道具代・練習試合の交通費などがかかります。また、多くの部活では合宿もありますし、各地で練習試合や大会に出場する強豪校だった場合、遠征費などもかさみます。

文化部の場合、吹奏楽部やオーケストラ部などは、数十万円する楽器代に加えて楽譜代やコンクール費用などもかかり、高額になるケースも多いようです。また、個人レッスンを受ける生徒も少なくありません。

息子は卓球部に入りユニフォーム・シューズ・ラケット・Tシャツなどを購入し、6万円程度かかりました。また、年に2回合宿があり、合宿代も年間で6万円程度かかっています。

子どもの交際費

私立中学の場合、各地から生徒が通学してきているので、友人たちの居住地がバラバラです。そのため遊びに行く時にも集合場所が遠方になるケースが多く、電車代がかさみます。

また、遊びに行く場所も遊園地やカラオケ・話題のスポット・イベント関連など、小学生の頃に比べるとグッと行動範囲が広くなるので、高額な出費になりがちです。

比較的裕福なご家庭の生徒が集まるような学校の場合、月に数万円などのお小遣いを渡していたり、お小遣いは平均並みでも出かけるたびにお小遣いを渡しているご家庭も少なくありません。

息子も夏休みやテスト休みなど長期の休みになると、テーマパークに行ったり、ライブや話題のスポットなどに出かけたり、友達とカフェに行くなど、小学生の頃とは比べ物にならないほど行動範囲が広くなり、出費も増えました。

その他

他にも細かいところでは、入学時に加入する損害保険や学校が募集している寄附などの負担が生じる場合があります。

また、勉強のサポートが手厚い学校の場合には、春休みや夏休みなどに講習があり、講習代もかかります。反対に塾に行くのを前提とした学校では塾代もかかります。さらに、進学校の場合は、授業の進度が速く内容も高度なため、授業についていけず塾に通いはじめるケースも少なくありません。

そして、私立中高一貫校に入学して多くの保護者が驚くのが、高校入学時に入学金の支払いがあることです。中高一貫校でも高校入学時には、20万円〜30万円程度の入学金がかかります。これは意外と知らない落とし穴です。

まとめ

今回は、筆者の体験談も交えながら私立中学の費用についてお話しました。受験はもちろんのこと、入学後もかなり費用がかさみます。私立中学への進学を検討されている場合には、早い段階から受験〜入学後の費用まで情報を収集しておきましょう。あらかじめどれくらいの費用がかかるのかが分かれば、慌てずに済みます。また、高額な費用を一気に貯めるのは難しいので、子どもが小さい頃から財形貯蓄や自動積立定期預金を活用した先取り貯蓄や児童手当、学資保険、新NISAなどを活用して準備していきましょう。

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高山 一恵

ファイナンシャルプランナー(CFP)

(株)Money&You取締役。中央大学商学部客員講師。一般社団法人不動産投資コンサルティング協会理事。慶應義塾大学文学部卒業。2005年に女性向けFPオフィス、(株)エフピーウーマンを設立。10年間取締役を務めたのち、現職へ。NHK「日曜討論」「クローズアップ現代」などテレビ・ラジオ出演多数。ニュースメディア「Mocha(モカ)」、YouTube「Money&YouTV」、Podcast「マネラジ。」、Voicy「1日5分でお金持ちラジオ」運営。「はじめての新NISA&iDeCo」(成美堂出版)、「マンガと図解 はじめての資産運用」(宝島社)など書籍100冊、累計180万部超。ファイナンシャルプランナー(CFP®)。1級FP技能士。X(旧Twitter)→@takayamakazue

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