新NISAのよくある質問集!「切り替え?」「ロールオーバー?」疑問を解決!
執筆者:マネーコンサルタント|頼藤 太希
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【この記事を読んでわかること】
- 新NISAへの切り替え・移行の手続きは不要
- 現行NISAの資産は現行の非課税期間終了までNISA口座で保有可能
- 現行NISAの資産を新NISA口座に移す(ロールオーバーする)ことはできない
- ジュニアNISAは引き出し自由で、18歳まで非課税で保有可能に
- NISA口座は「1人1口座」
- 課税口座の資産は「新NISAでの買い直し」を検討
2024年から始まる新NISA。非課税で保有できる期間が無期限になり、投資できる金額が大幅に増えるなど、より使える制度に生まれ変わるのですから、改正を歓迎する人も多いでしょう。しかし、気になるのは現行の一般NISA・つみたてNISA・ジュニアNISAで投資してきた方。自分の資産がどうなってしまうのか、よくわからない方もいるかもしれません。そこで今回は、現行NISAを利用してきた方が気になることをQ&A形式で紹介します。
- 質問1:つみたてNISA、一般NISAから新NISAへの切り替え・移行方法は?
- 質問2:今NISA口座で保有している資産は2024年以降どうなる?
- 質問3:今NISA口座で保有している資産を新NISA口座にロールオーバーできないか?
- 質問4:新NISA開始後、ジュニアNISAはどうなるの?
- 質問5:新NISA口座を開設できない人はどんな人?
- 質問6:新NISAが始まったら課税口座(特定口座または一般口座)の資産は売却しておいた方がよい?
質問1:つみたてNISA、一般NISAから新NISAへの切り替え・移行方法は?
→切り替え・移行の手続きは不要です!
新NISAを利用するには、新NISAの口座が必要です。ただ、現行NISAを利用している場合、2024年になると現行NISAを利用している金融機関に自動的に新NISAの口座が開設されます。したがって、NISA口座を切り替えたり、移行したりする手続きは必要ありません。
質問2:今NISA口座で保有している資産は2024年以降どうなる?
→新NISAとは別枠で、現行の非課税期間終了までNISA口座で保有できます。
2024年からは現行NISAを利用した新たな投資はできなくなりますが、現行NISAで保有している資産は、新NISAの生涯投資枠(1,800万円)とは別枠で、現行の非課税期間終了までNISA口座で保有できます。たとえば、2023年につみたてNISA(非課税期間20年)で投資している資産は、2042年までつみたてNISA口座として、新NISAの1,800万円とは別に保有できます。この間に得られた利益には税金はかかりません。
なお、非課税期間が終わっても売却しない場合は、資産が課税口座(特定口座または一般口座)に自動的に移されます。課税口座に移されたあとに発生した利益には、税金がかかります。
質問3:今NISA口座で保有している資産を新NISA口座にロールオーバーできないか?
→ロールオーバーはできません。
ロールオーバーとは、現行NISAの一般NISAやジュニアNISAの非課税保有期間(5年)が終わったあとの商品を翌年の非課税投資枠に移す手続きのことです。なお、つみたてNISAにはロールオーバーの制度はありません。
ロールオーバーを利用することで、最長10年間にわたって非課税の運用をすることができます。しかも、値上がりによって非課税限度額を超える資産があったとしても、ロールオーバーによって全額を翌年の非課税投資枠に移すことができます。
しかし、一般NISAやジュニアNISAの非課税投資枠は2024年以降新たに設定されないため、たとえば「2019年から投資してきた資産を2024年の一般NISAの非課税投資枠にロールオーバーする」といったことはできなくなりました。また、新NISAにはロールオーバーの仕組みそのものがないため、現行NISA口座から新NISA口座に資産を移すこともできません。
したがって、2024年以降、一般NISAの5年の非課税保有期間が終わったあとは、資産を売却するか、課税口座に移して運用を続けるかの2択になります。
質問4:新NISA開始後、ジュニアNISAはどうなるの?
→子どもが18歳になるまで非課税で保有可能、いつでも引き出し可能になります。
18歳未満の子どもが利用できるジュニアNISAには、一般NISAやつみたてNISAとは違い、資産の払い出し制限があります。ジュニアNISAの資産は、2023年までは、18歳になるまで原則として引き出すことができません。
しかし、新NISAが始まる2024年からは、この制限がなくなります。2023年末までにジュニアNISAで投資した資産は、子どもが18歳になっていなくても引き出せるようになります。また、子どもが18歳になるまで非課税で保有を続けることもできます。
ただし、ジュニアNISAの資産の引き出しは全額一括で行うことしかできません。そのうえ、引き出した後にジュニアNISA口座は廃止されます。
質問5:新NISA口座を開設できない人はどんな人?
→すでにNISA口座があると開設できません!
新NISAは、日本国内に住んでいる18歳以上の方であれば、誰でも利用できます。しかし、NISA口座は1人1口座しか開設できません。新たにNISA口座を開設する際には、税務署によるチェックが行われます。すでにNISA口座があるにもかかわらず、NISA口座を申し込んだ場合、新たなNISA口座は開設できません。
すでにNISA口座を持っていて、新たに他の金融機関にNISA口座を開設したい場合には、先にすでにあるNISA口座を廃止する手続きが必要です。NISA口座を持っている金融機関で手続きして「勘定廃止通知書」を送ってもらったうえで、NISA口座を開設したい金融機関に勘定廃止通知書と「非課税口座開設届出書」を提出します。
万が一、どの金融機関でNISA口座を開設したかを忘れてしまった場合は、税務署に「非課税口座の開設先金融機関に関する確認依頼書」を提出すると、教えてもらえます。
もっとも、思い当たる金融機関の候補が少ないならば、各金融機関に自分のNISA口座があるか問い合わせてもよいでしょう。NISA口座の有無を確認してくれます。
質問6:新NISAが始まったら課税口座(特定口座または一般口座)の資産は売却しておいた方がよい?
→ぜひ買い直しを検討してみよう!ただし株主優待には注意。
NISAとは別に、課税口座(特定口座または一般口座)の資産がある方もいるでしょう。課税口座で得られた利益には、20.315%の税金がかかります。また、課税口座の資産をNISA口座に移す(移管する)制度もありません。新NISAの生涯投資枠は最大で1,800万円と多いので、課税口座の資産を売却して新NISAで買い直しておけば、以後の利益には税金がかかりません。ですから、ぜひ買い直しを検討してみましょう。
ただし、株主優待目的で保有している株がある場合には要注意。株主優待の銘柄のなかには、長期保有することによって株主優待の特典が増えたり、よりグレードの高いものがもらえるようになったりする銘柄もあります。こうした銘柄を売却して新NISAで買い直すと、長期保有の記録がリセットされ、株主優待の上乗せがなくなってしまいます。
長期保有の記録がリセットされないようにするには、新NISA口座で同銘柄を購入してから、課税口座の銘柄を売却すればOKです。
現行NISAを利用している人ならば気になる質問を6つ、紹介してきました。現行NISAと新NISAでは違う部分もいろいろありますが、投資の利益にかかる税金がゼロにできるという点では同じです。税制優遇を生かして、お金を増やしていきましょう。