安易な塾通いは危険!?中学から高校まで塾費用は総額300万円かかる!
執筆者:ファイナンシャルプランナー(CFP)|高山 一恵
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子どもが中学生になると塾に通うケースが多く、中学生以降、学校の授業料以外にも塾費用が気になるところです。そこで今回は、中学生以降にかかる塾代にフォーカスして、その費用を見ていきましょう。
高校受験の塾費用は、公立が私立の2倍!?
子どもが中学生になると、子どもが通う学校が公立でも私立でも大差ない教育費が必要になってきます。それはなぜなのでしょうか。
学費だけを見ると、平成21年度文部科学白書によれば、公立中学の3年間の学習費総額は、144万3,927円、私立中学の3年間の学習費総額は、370万9,311円と、大きく差があります。
しかし、平成26年度子どもの学習費調査「中学生学年別補助費用」の学習塾費における中学3年時の塾費用に注目してみましょう。これによると、公立中学に通う中学3年生の塾代の平均は、32万6,333円、私立中学に通う中学3年生の塾代の平均は、15万6886円となっており、公立が私立の2倍以上かかっていることになります。
これは、私立中学の場合、中学、高校一貫校となっているケースが多く、あまり塾に通わなくても学校の勉強をがんばっていれば、高校にエスカレーターで進学できるケースが多いことが背景にあるようです。
さらにこのデータは、全国平均なので、都内に目を向けると32万円に収まらないケースがほとんどです。
ちなみに、高校受験塾大手の授業料を見ると、中学3年生の5教科レギュラーコースの授業料は月に34,100円、特訓クラス(選抜クラス)の場合には、月に43,200円かかります。この他にも参考書代、模擬試験代、夏期講習代、などを含めると、年間で60万円以上はかかります。
仮に中学1年生から高校受験塾大手に通うとなると、さらに費用がかさみ、中学1年生の5教科レギュラーコースの授業料は月に25,400円、中学2年生の5教科レギュラーコースの授業料は月に30,200円かかるので、3年間の塾費用の総額は、120万円を超えることになります。
中学生学年別補助学習費(2014年全国平均)
学年 | 家庭内学習費 | 家庭教師費等 | 学習塾費 | その他 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
公立 | 私立 | 公立 | 私立 | 公立 | 私立 | 公立 | 私立 | |
平均 | 14,335 | 26,652 | 21,489 | 26,874 | 204,583 | 135,356 | 5,397 | 5,739 |
第1学年 | 12,008 | 33,927 | 16,810 | 33,677 | 125,018 | 107,105 | 2,431 | 3,233 |
第2学年 | 13,144 | 21,632 | 23,395 | 23,225 | 161,115 | 141,936 | 2,491 | 5,744 |
第3学年 | 17,816 | 24,435 | 24,212 | 23,755 | 326,333 | 156,886 | 11,216 | 8,228 |
出典:文部科学省 平成26年度子どもの学習費調査
大学受験塾の塾費用は総額200万円以上かかる
総務省が発表した日本の統計2017によると、高校卒業者の大学進学率は男子が52.1%、女子が56.9%となっており、高校卒業者の半数以上が大学に進学しています。つまり、高校に入学してからも大学受験を目指して塾に通い続ける子どもが多いということです。
大学受験のための塾の費用は、高校受験以上にまとまった金額がかかります。大手予備校3校の例を見ると、高校3年生の私立文系、英語、国語(現代文・古文)、世界史を1年間受講、夏期講習や冬期講習などの季節講習を含めて受講するケースで年間90万円〜110万円程度かかります。また、高校3年生になると、模擬試験を受ける機会も多く、模擬テストの費用として年間5万円〜10万円程度かかります。
仮に高校1年生から上記の大手予備校に通う例を見てみましょう。高校1年生、2年生で英語、数学を1年間受講し、季節講習も含めると、年間で40万円〜50万円程度かかります。つまり、高校1年生から塾に通うとなると、総額200万円以上かかることになります。
いざ受験となった場合には、塾代の他にも、願書関連費や受験料がかかり、大学に入学したあとは、私立大学の場合は年間100万円程度の学費がかかるので、早めの準備がかかせません。
教育費は子どもが小さいうちから積立で貯める!
中学、高校の塾代にフォーカスして費用を見てきましたが、中学1年生から高校3年生まで塾に通うとなると、塾代だけで総額300万円以上にものぼります。
ですから、計画的に教育費を準備していきたいものです。教育費を準備するポイントは、「積立可能額ではなく、必要額で考える」「自動で積立できる仕組みをつくる」「子どもが小さいうちからできるだけ早くスタートする」ことです。
過度に家計に負担をかけるのはよくないですが、かといって、「毎月○○円なら積み立てできる」という発想で積み立てるのはNGです。目標金額から逆算して「毎月○○円積み立てなければならない」という発想で積み立てていきましょう。
また、「生活費が余ったら積み立てしよう」なんて考えていると、なかなか思うように積み立てができないので、自動的に積み立てできる仕組みを作っておくことも必要です。さらに、早い時期からスタートすることで、積立金額が少なくてすむので、家計の負担も少なくてすみます。
自動的に積立できる商品として、王道なのは、財形貯蓄や銀行の自動積立定期預金。財形貯蓄や銀行の自動積立定期預金の金利は正直、期待できませんが、毎月決めた金額をコツコツ積み立てていくことにより、着実にお金を貯めることができます。ちなみに、子どもが生まれたときから毎月15,000円を積み立てることができると、18歳の時点で約300万円貯まります。
どうしても足りない場合は、教育ローンを上手に活用
子どもの進学コースによっては、家計のやりくりだけではどうしてもまかなえないというケースもでてくることでしょう。
そんな時に検討したいのが「教育ローン」です。奨学金と比べると利息がかかりますが、利息が低めの金融機関を選んで上手に活用したいものです。
奨学金と比べて教育ローンを活用するメリットは、教育ローンは借りるのが「親」であるところです。奨学金は、借りるのが「子ども」なので、子どもの大学卒業後のマネープランに大きく影響を及ぼします。一方で、教育ローンは借りるのも返済するのも親なので、子どものマネープランへの影響を避けることができます。
また、教育ローンの場合は、一括で振り込まれるのもメリットです。奨学金の振込は、月額◯円という形で月々支払われるので、入学金や新生活の準備費用など、まとまった費用が必要な時に活用度が低いといえます。
さらに、教育ローンの場合、スピーディーに資金を手にすることができるのもメリットといえるでしょう。奨学金は入学後の進学届けの提出が必要なため、実際奨学金が振り込まれるのは、5月以降となるのが一般的です。すぐに資金が必要な場合には教育ローンは使い勝手は良いといえます。
教育ローンは、金利負担もあり安易に借りすぎると危険ですが、どうしても家計だけでは教育費がまかなえないという場合、あらかじめ教育ローンの活用も見込んで資金計画を立ててみるのもひとつの方法でしょう。
今回のまとめ
- 中学生以降、学校の授業料以外にも塾代の負担が家計を圧迫する。
- 高校受験の塾費用は、私立中学生よりも公立中学生の方が2倍以上かかっている。
- 大学受験の塾費用は、大手予備校に通う場合、3年間で200万円を超える。
- 家計から教育費を捻出できない場合は教育ローンの検討も考えてみる。
- ※ 本ページは2018年3月時点での情報であり、その正確性、完全性、最新性等内容を保証するものではありません。また、今後予告なしに変更されることがあります。