新NISAの投資先「REIT」っていったい何?どんな買い方がある?
執筆者:マネーコンサルタント | 頼藤 太希
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【この記事を読んでわかること】
- REITは不動産に投資する投資信託。REITに投資するには「個別REIT」「REITファンド」「REIT ETF」を利用する方法がある
- REITは安定した分配金が得られるのが最大のメリット。少額から分散投資ができるうえ、不動産の管理や売却にともなう手間も必要ない
- REITが向いているのは「不動産投資に興味があり、小額から始めてみたい」という人
「REIT」(リート)をご存じですか?すでに新NISAで投資をはじめている人ならば、成長投資枠で「REITに投資ができる」という説明に見覚えがあるかもしれません。REITは「不動産投資信託」といって、株式や投資信託とは違った仕組みを持つ商品です。
今回は、REITの基本、REITに投資する3つの方法、REITのメリットと向いている人を解説します。
REITとは
REITは、「不動産投資信託」の名のとおり、オフィスビル・商業施設・物流施設・ホテル・リゾートなどの不動産に投資する投資信託です。
投資信託は、投資家から預かったお金をファンドマネージャーと呼ばれるプロが運用してくれる商品です。日本には約6,000本の投資信託がありますが、何に投資するかは、投資信託ごとに違っています。それらの投資信託の中で、不動産に投資している商品をREITと呼んでいます。
REITは、多くの投資家から集めた資金で不動産を購入・管理します。そして、管理している不動産を貸すことで賃貸収入を得たり、売却したりすることで売買益を得たりします。
そして、得られた利益からコストを差し引いたお金を、投資額に応じて投資家に分配します。
〈 REITのイメージ 〉
(株)Money&You作成
新NISAの成長投資枠ではREITに投資可能。新NISAでREITに投資すると、REITから得られた利益にかかる税金をゼロにできます。
REITにはどんな買い方がある?
REITに投資する方法は、大きく分けて3種類あります。
〈 REITの3つの種類 〉
(株)Money&You作成
個別REIT
ここまでお話しした、不動産に投資する投資信託が個別REITです。単にREITと呼ぶ場合は、個別REITのことを指します。
東京証券取引所(東証)に上場しているREITは58本(2024年5月8日時点)。それらのREITがどの不動産に投資するかは、REITにより違います。「オフィスビルだけ」「倉庫だけ」のように、1つの用途の不動産に集中投資する単一用途特化型のREITもあれば、「オフィスと商業施設」など、2つ以上の用途の不動産に投資する複数用途型のREITもあります。
なお、REITは証券取引所に上場しているので、株と同じように売買できます。
REITファンド
REITファンドは、複数の個別REITに投資する投資信託です。REITファンドを1本買えば、複数の個別REITに分散投資したのと同様の効果を得ることができます。
REITファンドは証券会社、銀行、郵便局などで扱っています。REITへの3つの投資方法のうち、もっとも最低投資金額が少ない投資方法です。ただし、個別REITとは異なり、REITファンドの保有中には信託報酬という手数料がかかります。
REIT ETF
REIT ETFはREITの値動きにより作られる指数に連動するETF(上場投資信託)を購入する方法です。たとえば「東証REIT指数」(東証に上場しているすべてのREITをもとに作られる指数)と連動を目指すETFを購入すれば、日本のREIT市場全体にまとめて投資したのと同じような効果が期待できます。
REIT ETFも証券取引所に上場しているので、株と同じように売買できます。ただし、REITファンドと同じく保有中に信託報酬がかかります。一般的には、REIT ETFの信託報酬はREITファンドの信託報酬より安く設定されています。
なお、東証に上場しているREIT ETFは、すべてインデックスファンド(指数との連動を目指す投資信託)です。
REITに投資する4つのメリット
REITには、大きく4つのメリットがあります。
REITのメリット1:安定した分配金が得られる
REITのもっとも大きなメリットは、安定した分配金が得られることです。
REITは他の投資信託とは異なり、原則的に利益がそのまま投資家に分配されます。利益の90%以上を分配した投資法人は法人税が免除される(租税特別措置法)ためです。
REITの分配金の収益源は主に賃貸収入です。不動産市場は景気の影響を受けやすいといわれますが、賃料を払う会社、家賃を払う人が急にいなくなるわけではありません。REITに投資することで、その収入を分配金として得られます。
日本取引所グループ「月刊REITレポート」(2024年4月版)によれば、東証REIT指数の予想年間分配金利回りは4.40%。日経平均株価に採用されている銘柄の予想配当利回りは1.72%(2024年5月7日時点)ですから、REITのほうがはるかに高水準ですね。
REITのメリット2:少額で不動産の分散投資ができる
自分で不動産を買おうと思ったら多額の資金が必要です。しかも、たとえ数千万円、数億円あったとしても、たくさんの物件に分散投資することはできません。
しかし、REITならおよそ数万円〜数十万円程度で投資ができますし、REITファンドやREIT ETFを利用すればさらに少額で投資できます。REITは集めた資金をまとめてさまざまな不動産に投資しますので、分散投資も可能。リスクを抑えられます。
REITのメリット3:不動産を管理する必要がない
自分で不動産を買う場合、収益の上がる不動産を選ぶのが大変です。入居者を募集しても、決まらなければその間は収入が入ってきません。また、入居者が決まっても、物件を維持・管理したりする手間やお金もかかります。さらに、入居者が出て行ってしまったら、また入居者募集からしなければなりません。
しかしREITを利用すれば、そうした手間は不要です。不動産投資のプロがすべて代わりに手配してくれるので、あとは利益が出るのを待つだけです。
REITのメリット4:売却の手間もかからない
保有している不動産を売る場合には、買い手を探すだけで数カ月はかかります。また、買い手が見つかって売却できたとして、お金が入ってくるまでに数カ月かかります。しかしREITは証券取引所に上場していますので、株式と同じように売却できます。お金も数営業日後には入ってきます。
もちろん、REITの投資対象が災害にあったり、REIT自体の価格が変動したりして損失を被るリスクもあります。しかし、それは実際に不動産投資をした場合も同様です。REITを利用することで、手軽に安く不動産に投資できます。
REITはどんな人に向いている?
REITが向いているのは、「不動産投資に興味があり、小額から始めてみたい」という人です。REITを利用すれば、自分で直接不動産を購入するよりもずっと気軽に不動産投資ができるのは、ここまでお話ししたとおりです。
REITファンドやREIT ETFならば、少額からの投資でも安定した分配金を期待できます。個別REITで安定しているのは物流系や倉庫系のREIT。規模感が大きく、契約企業の入れ替わりが少ないことから安定的とされています。新NISAでREITに投資すれば、分配金を一生涯非課税にできます。高い配当金が得られる「高配当株」も人気がありますが、REITよりも値動き(価格変動リスク)が大きい傾向にあります。値動きを抑えたいのであれば、REITを利用するのが一つの手です。
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