【新NISA】株高・円安の今から積立投資をスタートしても大丈夫?
執筆者:マネーコンサルタント | 頼藤 太希
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【この記事を読んでわかること】
- 株高・円安であっても積立投資を今すぐスタートして問題ない
- 為替レートではなく、投資先が長期的に成長する資産であるかどうかが重要
- 積立投資は早くはじめて長く続けることが大切
2024年の株価は堅調です。日本株の株価指数「日経平均株価」が34年ぶりに史上最高値を更新したというニュースを覚えている方もいるでしょう。米国株の株価指数「ダウ平均株価」「S&P500」なども同じく史上最高値を更新しています。
為替レートに関しても超円安水準となり、34年ぶりに一時1ドル=160円を突破しました。その影響で、外国株式に投資する投資信託の多くも値上がりしています。
しかし、こうなると「株高・円安の今、積立投資をスタートしても大丈夫?」と不安になるかもしれません。確かに、今が一番高い時期で、あとは値下がりする一方なのであれば、投資しないほうがよさそうですが、実際どうなのでしょうか。
株高の今から積立投資をスタートしても大丈夫?
積立投資では、目先の株価の高低を気にする必要はありません。結論からいうと、株高の今でも関係なく積立投資をスタートして問題ありません。
日経平均株価でも、ダウ平均株価やS&P500でもそうですが、「高値」はあくまで過去の水準と比べて高いというだけです。確かに、2024年は日経平均株価がはじめて4万円台を記録しました。しかし、「今は株高だから」と迷っていると、いつまでも投資がはじめられません。ゆくゆく5万円、6万円などと上昇してしまうと、なおさら投資をはじめることは難しくなってしまうでしょう。
今後の株式市場がどうなるかの予測はプロでも困難なものです。そのなかで、株高か株安かを短期的な目線で気にして投資をためらっていたら、株価上昇の恩恵はいつまでも受けられなくなってしまいます。ですから、そうした感情に左右されずコツコツと投資ができる「積立投資」をいますぐスタートすることをおすすめします。
ただ、投資タイミングを考えないとはいえ、投資先は「なんでもよい」わけではありません。投資する資産が長期的に成長する資産であるかどうかが重要です。
長期で成長する資産といえば、世界株式や米国株式などが投資候補になります。
ロジックとしては、世界人口増大→経済拡大→企業業績拡大→株価上昇、という具合です。
2024年の世界人口は80億人を超えています。国連「世界人口推計(2022年)」によると、2058年には100億人を突破すると推計されています。人口が増えれば、消費が増え、その消費を支えるために生産も増え、経済は拡大していきます。
また、国際通貨基金(IMF)が発表している「世界経済見通し」(2024年4月)では、2024年・2025年の経済成長率が2023年と同じく3.2%と予測されています。経済成長率は1980年以降、おおむね年3〜4%で推移してきています。
〈 世界経済の成長率の推移 〉
国際通貨基金「世界経済見通し」(2024年4月)より(株)Money&You作成
リーマンショックやコロナショックのような出来事があると、一時的に経済成長率は下がります。しかし、その後に経済がまったく成長しないわけではなく、過去を見れば、その後、経済が回復に向かっているのがわかります。
今後も、人口が増え経済活動がある限り、経済成長は続くでしょう。
経済が成長すると、企業も成長します。これまでにない画期的な製品やサービス、長期的な問題を解決する製品やサービス、独自性のある製品やサービスなどが生み出されることで、企業の価値が高まります。そして株価は、企業の価値を反映して上昇していくというわけです。
円安の今から積立投資をスタートしても大丈夫?
ニュースでよく聞く「円安」は、海外の通貨から見た円の価値が安くなることです。
たとえば、為替レートが1ドル=150円から1ドル=160円になったら、1ドルで交換できる円の金額が10円増えます。これをドルから見ると「円の価値が安くなっている(=円安)」といえます。
反対に、1ドル=150円から1ドル=140円になったら、1ドルで交換できる円の金額が10円減りますので、ドルから見ると「円の価値が高くなっている(=円高)」です。
為替レートは日々上下しています。為替レートの関係はシーソーのようなもの。どちらかの通貨が高くなれば、もう一方の通貨は安くなります。円とドルならば「円高ドル安」「円安ドル高」は同時に起こります。
ここで、リーマンショック発生後の2008年9月以降の「ドル円為替レート」と、米国株式市場を代表する株価指数「S&P500」の動きを見てみましょう。
〈 ドル円為替レートとS&P500の推移(2008年9月〜2024年4月) 〉
(株)Money&You作成
青いグラフのS&P500は一時的に下落している場面もありますが、この約16年間おおむね右肩上がりです。それに対して、オレンジのグラフのドル円の為替レートは上下に激しく変動しています。直近は円安に大きく触れているのがわかります。
リーマンショックのあった2008年9月は1ドル=100円台でしたが、その後円高が進み、2011年には70円台をつけています。かと思えば2014年11月〜2016年1月にかけては1ドル=120円台の円安局面を迎えている時期もあります。50円近く円安が進んだことがわかります。
そして2021年の1ドル=110円台から急激に円安となり、2024年4月には一時1ドル=160円を突破したという状況です。ここでも50円近く円安が進んだことがわかります。
2014年11月〜2016年1月の円安のときにも「円安の今投資をスタートしてもよいのか?」と言われていましたが、結論からいうと、為替レートは気にせず、円高だろうと、円安だろうと、今すぐ投資をスタートして問題ありません。
大事なことは、先述の通り、為替レートではなく、投資先が長期的に成長する資産であるかどうかです。例えば、S&P500は上図の通り、右肩上がりになっているので資産が増やせたのです。
仮に、リーマンショック後の2008年9月からS&P500に毎月1万円ずつ積立投資していたら、資産は次のようになります。為替レートの推移で見た通り、この期間は円高局面、円安局面があった時期を含んでいます。
〈 リーマンショックから毎月1万円ずつS&P500に投資した場合の資産の推移 〉
(株)Money&You作成
毎月1万円ずつ投資なので、積立元本は188万円です。それに対して、資産総額は約784万円にもなっています。グラフを見ると小さな下落に見えますが、コロナショックという大きな暴落も経験し、一時的に資産が減った期間もあります。
しかし、コツコツと積立投資をしていれば、そうした値下がりを乗り越えて利益が出せていることがわかります。
大切なのは、早くはじめて長く保有すること
ここまででおわかりいただけるように、積立投資には「タイミング」は関係ありません。株価水準や為替レートを気にせず、将来成長する可能性が高い資産へコツコツ投資をすることで、堅実にお金を増やす期待ができます。
むしろ、積立投資で大切なのは、投資期間です。
投資の名著とされる『ウォール街のランダム・ウォーカー』(バートン・マルキール著/日本経済新聞)では、1950年〜2020年の期間において、広く分散された株価指数の一例として、「S&P500」に長期間の積立投資をすることで市場平均を上回る良好な投資成果が得られたという分析結果が紹介されています。あくまで一例としてS&P500が紹介されているだけですので、世界株価指数などでも同様の結果になるでしょう。
2024年になり新NISAがスタートし、投資をはじめたのはいいけれど、「少しの値上がり(値下がり)で売ってしまった」という声も耳にします。それでは、お金はなかなか増やせません。
もしも「積立投資をしたいけれどタイミングが…」と悩んでいるのであればもったいない!早く積立投資をスタートすることをおすすめします。早くスタートすることで、より長く積立投資を続けることができ、積立投資の成果もあげやすくなるでしょう。
- ※ 本ページは2024年6月時点での情報であり、その正確性、完全性、最新性等内容を保証するものではありません。また、今後予告なしに変更されることがあります。
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