教育費いくらかかる?学資保険・新NISA…おすすめの貯め方は?
執筆者:マネーコンサルタント | 頼藤 太希
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【この記事を読んでわかること】
- 教育費は子どもの進路が公立か私立かによって大きく差があり、約820万円〜約3,290万円かかる
- お金は、日々出入りするお金・数年以内に使い道が決まっているお金・10年以上使う予定のないお金のように、資金使途に応じて、それぞれにあった商品で貯めるのがコツ
- 長期・積立・分散投資のできる新NISAはじっくりお金を増やすのに向いている
- 学資保険はお金を貯めるのが苦手な人が着実に教育費を用意するのに向いている
「人生の三大費用」といえば、住宅・教育・老後の費用。子どもの教育費は三大費用のひとつだけあって、何かとお金がかかるものです。では、これから子どもが生まれたとして、かかる教育費をどのように用意すればよいのでしょうか。預貯金・新NISA・学資保険で準備した場合をそれぞれ確認していきます。
子どもの教育費、大学まででいくらかかる?
幼稚園、小中高校、そして大学と、子どもの進路によって教育費は変わります。何となく私立のほうが高いイメージはあるでしょうが、実際どれくらい違うのでしょうか。
<幼稚園から大学までにかかる教育費の平均額>
(単位:万円)
幼→小→中→高→大 | 幼稚園 (3年間) |
小学校 (6年間) |
中学受験 関連費用 |
中学校 (3年間) |
高校 (3年間) |
大学 (4年間) |
下宿代 (4年間) |
合計 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
公→公→公→公→国立 | 50 | 212 | 0 | 162 | 154 | 243 | 0 | 819 |
公→公→公→公→私立文 | 50 | 212 | 0 | 162 | 154 | 411 | 0 | 988 |
公→公→公→公→私立理(下宿) | 50 | 212 | 0 | 162 | 154 | 542 | 612 | 1,731 |
私→公→公→公→国立 | 93 | 212 | 0 | 162 | 154 | 243 | 0 | 862 |
私→公→公→公→私立文 | 93 | 212 | 0 | 162 | 154 | 411 | 0 | 1,031 |
私→公→公→公→私立理(下宿) | 93 | 212 | 0 | 162 | 154 | 542 | 612 | 1,774 |
私→公→公→私→国立 | 93 | 212 | 0 | 162 | 316 | 243 | 0 | 1,025 |
私→公→公→私→私立文 | 93 | 212 | 0 | 162 | 316 | 411 | 0 | 1,193 |
私→公→公→私→私立理(下宿) | 93 | 212 | 0 | 162 | 316 | 542 | 612 | 1,936 |
私→公→私→私→国立 | 93 | 212 | 300 | 431 | 316 | 243 | 0 | 1,594 |
私→公→私→私→私立文 | 93 | 212 | 300 | 431 | 316 | 411 | 0 | 1,762 |
私→公→私→私→私立理(下宿) | 93 | 212 | 300 | 431 | 316 | 542 | 612 | 2,505 |
私→私→私→私→国立 | 93 | 1,000 | 300 | 431 | 316 | 243 | 0 | 2,383 |
私→私→私→私→私立文 | 93 | 1,000 | 300 | 431 | 316 | 411 | 0 | 2,551 |
私→私→私→私→私立理(下宿) | 93 | 1,000 | 300 | 431 | 316 | 542 | 612 | 3,294 |
文部科学省「子供の学習費調査」(2021年)「私立大学等入学者に係る学生納付金等調査結果について」「国公私立大学の授業料等の推移」(2023年)、全国大学生協連「学生生活実態調査」(2024年)より(株)Money&You作成
表は、幼稚園から高校までが公立か私立か、大学が国立か私立の文系・理系かでかかる教育費の平均額をまとめています。また、大学が私立理系で、子どもが下宿した場合の費用合計も記しています。
教育費がもっとも安いのは、幼稚園から大学まですべて公立に通った場合で約820万円。それに対して、教育費がもっとも高くなるのは、幼稚園から高校まですべて私立(中学受験関連費用も含む)、大学も私立理系で下宿した場合で約3,290万円です。
私立の小学校に通う子どもの割合はおよそ1.3%(文部科学省「令和5年度学校基本調査」より計算)です。したがって、ほとんどの場合、小学校の費用は200万円程度で済むはずです。
しかし、その他の進路は誰でも選ぶ可能性があるでしょう。近年は都市部を中心に私立中学校を選ぶ人も増えつつありますし、高校・大学は私立を選ぶケースも十分にあります。遠方の大学で学ぶために下宿することもありえます。
これらのことから考えると、教育費は約820万~3,290万円用意しなければならないことがわかります。
教育費、どうやって備えるのがよい?
教育費のピークは、大学に入学するときです。大学入学時には、入学金や施設利用料、半期分の授業料などをまとめて納める必要があります。その金額は数百万円にのぼることも珍しくありません。
この金額を貯めるために活用できる方法としては「預貯金」「新NISA」「学資保険」があります。それぞれのメリット・デメリットを確認してみましょう。
教育資金を「預貯金」で準備する場合のメリット・デメリット
子どもの教育費を銀行の普通預金や定期預金で用意する方法です。一定の預入期間を決めて預ける定期預金は、普通預金より金利が高く設定されています。
日銀(日本銀行)は2024年3月、それまで長らく続けてきたマイナス金利を解除。さらに7月末にも利上げを行い、政策金利(国が金融政策を行うために定める金利)を0.25%に引上げました。政策金利が上がると、預金金利も上昇し、利息も多くなります。
【メリット】
- 元本割れせず、いつでもすぐに引出せる
- 銀行にお金を預けるだけなので簡単
- 自動でお金を積立てられるサービスもある
【デメリット】
- 他の金融商品と比較すると期待できる利回りは低水準で、預けてもあまりお金が増えない
- インフレ(物価が上昇すること)に弱い
教育資金を「新NISA」で準備する場合のメリット・デメリット
新NISAは投資で得られた利益にかかる税金が一生涯にわたってゼロにできる制度です。積立投資できる「つみたて投資枠」と一括投資も可能な「成長投資枠」の2つの投資枠を使って投資ができます。このうち、つみたて投資枠では、年間120万円まで投資可能となります。そこで、投資の3原則と言われる長期・積立・分散投資を実践することにより、お金を堅実に増やす期待ができます。
【メリット】
- 100円、1,000円といった少額から投資ができる
- インフレによって資産が増える期待ができる(インフレ対策になる)
- つみたて投資枠では手数料の安い投資信託が多くある
- 非課税投資枠は翌年に復活するので、再度非課税の投資ができる
【デメリット】
- 投資なので元本保証はない
- タイミングによっては損することもある
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新NISAで見落としがちな3つのデメリット。メリットも合わせて解説
「学資保険」で準備する場合のメリット・デメリット
学資保険は、教育費を貯めるために設計された、貯蓄と保障を兼ね備えている保険です。学資保険の多くは、大学進学のときに一定の給付金が受取れます。小中高校などへの入学時に祝金がもらえるものもあります。
保険期間中に親などの契約者が亡くなるなど、もしものことがあった場合には、以後の保険料の支払いが不要になります。そのうえ、所定の時期がきたら給付金がもらえるので、着実に教育費を用意するのに使えます。
【メリット】
- 子どもの入学や進学に合わせて預貯金より高い利率で学資祝金や満期保険金を受取れる
- 契約者(親など)が死亡した場合、その後の保険料払込が免除され満期保険金が保証される機能や、払い込んだ保険料相当額を死亡給付金として受取れる機能がある
- 生命保険料控除の対象となり、節税もできる
【デメリット】
- 予定利率は低く、手数料は高いため、インフレに弱い
- 途中解約すると元本割れする
- 予定外の進路変更に対応しにくい
教育費のおすすめの備え方は?
預貯金・新NISA・学資保険と、教育費を貯める方法を見てきましたが、それぞれにメリット・デメリットがあるため、一概にどの方法がベストとはいいきれません。
お金は、日々出入りするお金・数年以内に使い道が決まっているお金・10年以上使う予定のないお金のように、資金使途に応じてそれぞれにあった商品で貯めるようにしましょう。
「日々出入りするお金」は生活費やもしものときのお金です。万が一のときに備えて、最低でも6カ月分は確保しておきます。すぐに使えることが大事なので、預貯金で用意しておきましょう。
「数年以内に使い道が決まっているお金」はすぐに引出すことはないものの、使い道が決まっているので、使うときに元本割れしていると困ります。そのため、普通預金よりはお金が増やせて安全な定期預金や個人向け国債が向いています。
そしてこれから生まれる子どもの大学資金を用意するならば、大学資金は「10年以上使わない将来のためのお金」です。大学入学まで18年ほどの時間があるため、新NISAで長期的な資産運用を行う方法もあります。
新NISAでは元本保証こそありませんが、長く続けるほど堅実にお金を貯める期待ができます。「ウォール街のランダム・ウォーカー」(バートン・マルキール著|日本経済新聞出版)によれば、1950年から2020年のデータで、分散投資された商品例として米国株価指数「S&P500」に投資を行った場合、15年以上投資すれば、どの期間の15年でも元本割れせず、年平均リターンが最低でも4.2%になったという分析結果を紹介しています。
また、金融庁「つみたてNISA早わかりガイドブック」や「はじめてみよう!NISA早わかりガイドブック」では、毎月同じ金額ずつ国内外の株式と債券に分散して積立投資した場合の年間収益率が紹介されています。これによると、1985年以降、保有期間20年の場合は投資収益率が年2%~8%の間に収まっていて、この期間では元本割れとなっていません。
子どもが産まれて、大学に入学するまでの18年間にわたって投資を続けることで、元本割れするリスクを避けつつ教育資金を用意できる可能性は高いでしょう。
既に子どもが小学生以上になっていたとしても、新NISAをはじめるのをおすすめします。
今年・来年など近い将来に大学生になるからといって、教育費のためにお金を貯めはじめても間に合わない可能性が高いかもしれませんが、教育費を貯めるだけが全てではありません。人生はその後も続いていくわけですから、自身の老後資金を貯める必要はありますし、お金はあるに越したことはありません。
時間を味方につけるために、早いうちから資産形成をスタートしましょう。
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