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計算上もらえる年金額の最高額は月額いくらなのか

【この記事を読んでわかること】

  • 国民年金は保険料の納付月数、厚生年金は給与や賞与の金額を元にして金額が決まる
  • 計算上、受取れる年金額の最高額は年445万6,480円、月37万1,373円(2024年度)
  • 年金額の最高額より自分の年金額を知り、増やす手立てを取ることが大切

老後に受取れる厚生年金(老齢厚生年金)の金額は、支払う保険料が多いほど増えます。とはいえ、際限なく増えるわけではなく、増える金額に上限があります。
今回は、計算上受取れる年金額の最高額を探ってみました。自分の年金額を知り、増やしていく方法とともに、紹介します。

年金額の決まり方

日本の公的年金には、国民年金と厚生年金の2種類があります。

国民年金は、20歳から60歳までのすべての人が加入する年金です。40年間にわたって所定の国民年金保険料を支払えば、誰もが満額の年金が受取れます。国民年金の満額は月額6万8,000円(2024年度)です。なお、国民年金から受取れる年金を老齢基礎年金といいます。

厚生年金は、会社員や公務員が勤務先を通じて加入する年金です。会社員や公務員は、毎月の給料から厚生年金保険料が天引きされています。基本的に給与が高いほど、加入年数が長いほど、納める厚生年金保険料が増え、老後に受取れる厚生年金の金額が増えます。なお、厚生年金から受取れる年金を老齢厚生年金といいます。

老齢厚生年金の金額は「平均標準報酬額×0.005481×加入期間の月数」で求めることができます。

平均標準報酬額とは、毎月の標準報酬月額と標準賞与額の総計を加入月数で割った金額のことです。
標準報酬月額は、4月~6月に支給された報酬の平均額から求めた標準月額を32等級に分類したもので、上限は32等級の65万円です。
また、賞与にかかる保険料は賞与の金額から千円未満の端数を切り捨てた金額に保険料率を乗じた額になります。上限は月額150万円です。なお、賞与と見なされるのは、支給回数が年3回以下のものです。

年金額の最高額はいくら?

老齢基礎年金の最高額は、月額6万8,000円です(2024年度)。年額に換算するとその12倍ですから、81万6,000円です。

老齢厚生年金の最高額は次の3つの条件を満たした場合に達成できます。
①16歳から70歳までの54年間(648月)にわたって厚生年金に加入する
厚生年金には最長で16歳から70歳までの54年間加入が可能です。年金額の最高額を計算するにあたって、16歳から70歳まで会社に勤めて、厚生年金に加入したものとします。

②月給63万5,000円以上→標準報酬月額は32等級の65万円
年金額を最高額にするには、16歳から70歳までの54年間にわたって、標準報酬月額が最も高い32等級(65万円)になる必要があります。32等級になるには、54年間にわたって月給が63万5,000円以上である必要があります。

③年150万円の賞与が年3回支給される
標準賞与額の最高額は150万円、年3回です。つまり、54年間にわたって、年間合計450万円の賞与が支払われる必要があります。

以上3つの条件を満たした場合の老齢厚生年金の年額は
65万円×0.005481×648月+450万円×0.005481×54年=364万480円
となります。

老齢基礎年金と老齢厚生年金を合わせて、年金額の最高額は
81万6,000円+364万480円=445万6,480円
となります。月額換算すると、月37万1,373円(2024年度)です。

なお、老齢基礎年金の満額は毎年見直されて増減します。毎年の年金の最高額も、それに合わせて増減します。

年金額を増やすためにできることは?

中学卒業とともに就職し、70歳まで厚生年金に加入して働き、54年間ずっと給与が63万5,000円以上で、賞与が年3回150万円ずつ。「絶対にいない」と断言はできませんが、そんな人はいない可能性が非常に高いでしょう。
厚生労働省「令和4年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によれば、年金(老齢基礎年金+老齢厚生年金)を月額30万円以上受取っている人は受給者1,599万6,701人中1万2,490人。全体のわずか0.07%です。
そもそも年金額の平均が14万3,973円なのですから、30万円でも十分多いといえます。

大切なのは年金の最高額ではなく、自分の年金額がいくらかを知り、年金額を増やす手立てを考えることです。

自分の年金額を知るには、毎年誕生日頃に届く「ねんきん定期便」が便利です。
ねんきん定期便には、

  • 50歳未満…これまでの加入実績で受取れる年金額(今受取った場合の年金額)
  • 50歳以上…今のまま60歳まで加入した場合に65歳から受取れる年金見込額

が記載されています。
特に50歳以上のねんきん定期便では、実際受取れる金額に近い金額がわかりますので確認するのがおすすめです。ネット版の「ねんきんネット」を利用すればいつでも年金額を確認できます。マイナンバーカードを持っているなら「マイナポータル」経由で簡単にチェックできます。

また、年金額を増やす手立てには、次のものがあります。

70歳まで厚生年金に加入する

国民年金は原則60歳までしか加入できませんが、厚生年金は70歳まで加入できます。厚生年金に加入しながら働くことで、受取れる年金も増えます。
たとえば、年収250万円で60歳〜70歳までの間、10年間厚生年金に加入して働くと、老齢厚生年金が年約14万円増える計算です。仮に70歳まで働いて年14万円年金が増えた場合、90歳までの20年間に受取れる金額は280万円増えます。

年金の繰り下げ受給をする

年金の受取りは原則65歳からですが、66歳〜75歳の間に遅らせることができます。これを年金の繰り下げ受給といいます。年金の受取りを1カ月遅らせるごとに年金額は0.7%ずつ増え、75歳まで繰り下げると84%増えます。
65歳から月14万円の年金を受給できる人が70歳まで繰り下げ受給すると、受取れる年金額は月19万8,000円に。さらに、75歳まで繰り下げ受給をすると、受取れる年金額は月25万7,000円に増える計算です。

国民年金に任意加入する

国民年金の未納期間があるならば、60歳から65歳までの間に、国民年金に任意加入することができます。国民年金の加入期間が増えれば、その分老齢基礎年金が増えますし、加入期間が40年になれば、老齢基礎年金を満額もらえます。加入期間が1年増えると、老齢基礎年金が年2万円程度増えます。

付加年金を利用する

自営業やフリーランスといった国民年金の第1号被保険者だけでなく、国民年金の任意加入者も付加年金が利用できます。国民年金保険料に加えて月400円の付加保険料を支払うことで、年金額が「200円×付加保険料を支払った月数」増加します。5年間にわたって付加保険料を支払った場合、付加保険料の合計は2万4,000円で、受取れる年金額は年1万2,000円増えます。わずか2年で元が取れ、その後は年金を長く受取り続けるほどおトクになります。

新NISAやiDeCoを利用する

新NISAとiDeCoは、どちらも投資で得られた利益にかかる税金が非課税にできる制度です。通常、投資から得られる運用益には20.315%の税金がかかります。しかし、新NISAやiDeCoを利用して投資をすれば、得られた運用益にかかる税金はゼロになります。さらにiDeCoの場合は、毎年の掛金が全額所得控除できるため、毎年の所得税や住民税も安くすることができます。詳しくは下記コラムをご覧ください。

»関連コラム
新NISAとiDeCoどっちから始める?違いは?

年金の最高額より大切なのは、自分の年金額を知り、年金額を増やす手立てを取ることです。自分の年金額や利用できる手立てをぜひチェックしてみてください。

  • 本ページは2024年12月時点での情報であり、その正確性、完全性、最新性等内容を保証するものではありません。また、今後予告なしに変更されることがあります。

お申込みに際しては、以下の留意点を必ずご確認ください。

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<みんなの平均>国民年金・厚生年金は実際いくらもらっている?

頼藤 太希(よりふじ・たいき)

マネーコンサルタント
(株)Money&You代表取締役。中央大学商学部客員講師。慶應義塾大学経済学部卒業後、外資系生命保険会社にて資産運用リスク管理業務に従事。2015年に現会社を創業し現職へ。ニュースメディア「Mocha(モカ)」、YouTube「Money&YouTV」、Podcast「マネラジ。」、Voicy「1日5分でお金持ちラジオ」、書籍、講演などを通じて鮮度の高いお金の情報を日々発信している。『はじめての新NISA&iDeCo』(成美堂出版)、『定年後ずっと困らないお金の話』(大和書房)、『マンガと図解 はじめての資産運用 新NISA対応改訂版』(宝島社)など書籍100冊、著書累計170万部超。日本証券アナリスト協会検定会員。宅地建物取引士。ファイナンシャルプランナー(AFP)。日本アクチュアリー会研究会員。X(旧twitter)→@yorifujitaiki

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