年収500万円、1,000万円、2,000万円の手取り額はどう変わる?

執筆者:マネーコンサルタント

頼藤 太希

年収

2025年3月28日

【この記事を読んでわかること】

  • 年収は1年間に勤め先からもらえる給与やボーナスの総額。手取りは税金や社会保険料を除いた残りの金額。
  • 年収500万円→1,000万円と、年収が500万円増えても、手取りは333.4万円しか増えない。年収1,000万円→2,000万円と、年収が1,000万円増えても、手取りは567.8万円しか増えない。
  • 自分が適用できる所得控除をなるべく活用。税金を減らし、手取りを多くすることができる。

年収500万円の方からすれば「年収1,000万円」はお金持ちと感じる事でしょう。
しかし、年収が2倍になったとしても手取りは同じように増えないのが現実です。
しかも、年収が高くなるほど年収から引かれる税金(累進課税)は増えていきます。年収が500万円、1,000万円、2,000万円の手取り額がどう変わるかを一緒に確認していきましょう。

年収500万円、1,000万円、2,000万円の手取り額はいくら?

年収は1年間に勤め先からもらえる給与やボーナスの総額です。それに対して、手取りは毎月の給与から天引きされる税金・社会保険料を除いた残りの金額です。給与から引かれる税金には「所得税」「住民税」、社会保険料には「厚生年金保険料」「健康保険料」「雇用保険料」「介護保険料(40歳から)」があります。

「年収500万円」と「手取り500万円」は別のものです。毎月の生活などに必要なお金は手取りからやりくりするのですから、年収よりもむしろ手取りの方が大切だといえるでしょう。

年収500万円、1,000万円、2,000万円の場合、手取り額がいくらになるかを表にまとめました。

【試算の条件】

  • 会社員・45歳独身・東京都在住
  • 所得控除は基礎控除と社会保険料控除のみ
  • 社会保険料は厚生年金保険料、健康保険料、介護保険料、雇用保険料
  • 復興特別所得税を考慮

<年収500万円・1,000万円・2,000万円の手取り・控除額>

年収 手取り 控除額の内訳 控除額計
所得税 住民税 社会保険料
所得税 所得税率
500万円 386.9万円 12.9万円 10% 24.2万円 76万円 113.1万円
1,000万円 720.3万円 82.4万円 20% 63.3万円 134万円 279.7万円
2,000万円 1,288万円 375.1万円 33% 158.9万円 177.9万円 711.9万円

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(株)Money&You作成

手取りの金額は、年収が500万円から1,000万円と年収が500万円増えても、333.4万円しか増えていません。また、年収が1,000万円から2,000万円と年収が1,000万円増えても、567.8万円しか増えていません。

年収ほどに手取りが増えない理由は、控除される税金や社会保険料にあります。なかでも、注目したいのが所得税です。所得税の税率は「累進課税」といって、所得が多くなると5%〜45%まで、段階的に増えていきます。

年収500万円の場合、所得税率は10%で税額も12.9万円で済んでいます。しかし、年収1,000万円になると20%、年収1,500万円になると33%と、所得税の税率がアップします。そのため、所得税の税額も大きく増え、年収1,000万円では82.4万円、年収2,000万円になると375.1万円もの所得税を支払う必要があります。年収500万円が年収2,000万円と4倍になると、所得税は29倍になるのです。
所得税ほどのペースではありませんが、年収が上がるほどに住民税や社会保険料もアップし、年収から控除する金額が増えていきます。

税金は減らすことができる!

以前と比べて年収がなかなか上がりづらい時代です。仮に年収が上がっても、税金は増えるのですが、諦めてはいけません。たとえば、以下のような所得控除が利用できれば、税金が減って手取りが増やせます。

生命保険料控除

生命保険に加入して生命保険料を支払った場合、最大で所得税12万円、住民税7万円の所得控除が受けられます(2012年以降の新契約の場合)。
たとえば、新制度の生命保険に加入し8万円の保険料を支払っていれば、所得税4万円・住民税2.8万円の課税所得を減らすことができます。所得税率5%(住民税率は一律10%)の方の場合、所得税を2,000円、住民税を2,800円減らすことができます。

医療費控除・セルフメディケーション税制

医療費控除は、1年間(1月1日から12月31日まで)にかかった医療費が10万円(総所得金額等が200万円未満の場合は総所得の5%)を超えた場合に受けられる控除です。
セルフメディケーション税制は、特定の市販薬を購入し、年間費用が1万2,000円を超えた場合、その超過分(最大8万8,000円)が控除対象になる医療費控除の特例制度です。
どちらも、自分だけでなく生計を一にする家族の分も合算して利用できます(ただし、どちらか片方しか利用できません)。確定申告でしか手続きできないので、医療費や薬代が大きくかかったときにはぜひ活用しましょう。

小規模企業共済等掛金控除

iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)で出した掛金は、全額が所得控除の対象です。たとえば、月2万円(年24万円)の掛金を出していた場合、課税所得を24万円減らすことができます。所得税率5%(住民税率は一律10%)の方の場合、所得税を1万2,000円、住民税を2万4,000円減らすことができます。税金を減らすことのできる「iDeCo」の活用をご検討ください。

  • 本ページは2025年2月時点での情報であり、その正確性、完全性、最新性等内容を保証するものではありません。また、今後予告なしに変更されることがあります。

お申込みに際しては、以下の留意点を必ずご確認ください。

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頼藤 太希

マネーコンサルタント

(株)Money&You代表取締役。中央大学商学部客員講師。早稲田大学オープンカレッジ講師。慶應義塾大学経済学部卒業後、外資系生保にて資産運用リスク管理業務に従事。2015年に創業し現職。日テレ「カズレーザーと学ぶ。」、TBS「情報7daysニュースキャスター」などテレビ・ラジオ出演多数。主な著書に『はじめての新NISA&iDeCo』(成美堂出版)、『定年後ずっと困らないお金の話』(大和書房)など、著書累計180万部。YouTube「Money&YouTV」、Podcast「マネラジ。」、Voicy「1日5分でお金持ちラジオ」運営。日本年金学会会員。日本証券アナリスト協会検定会員。宅地建物取引士。ファイナンシャルプランナー(AFP)。X(旧Twitter)→@yorifujitaiki

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