
1990年以降の米ドル/円の循環的高値は、1990年160円、1998年147円、2002年135円、2007年124円、2015年125円、そして2024年161円がそれらに続く最新の循環的高値の可能性が出てきた(図表参照)。
【図表】米ドル/円の循環的高値の変遷(1990年~)
出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成
これらの循環的高値の間隔は、4~9年だった。このパターンを当てはめると、次の循環的高値を付けるタイミングは2028~2033年という見通しになる。では次の循環的高値は、2024年の161円以上か、それとも以下にとどまることになるのか。
2007年までの循環的高値は、1990年160円、1998年147円、2002年135円、2007年124円と前回のそれを下回るパターンが続いてきた。ところが2007年からは、2007年124円、2015年125円、2024年161円と循環的高値が前回のそれを上回るパターンに変わった。これは2007年以降、実勢レートで言えば2011年の75円を記録した頃を境に、長期トレンドが米ドル/円の下落(米ドル安・円高)から上昇(米ドル高・円安)へ転換した可能性を感じさせるものだ。
そして長期の米ドル/円上昇トレンドが続いているなら、2028~2033年に付ける見通しの次の循環的高値は、2024年161円以上の水準になる可能性が高い。この結果、米ドル高・円安が161円を更新するのは、次の循環的高値を付ける上昇トレンドの中でという見通しになるだろう。
米ドル/円のトレンドの平均的な期間は2~3年。そうであれば、2024年161円から米ドル/円の下落トレンドが展開しているとした場合、平均的ペースなら2026~2027年にかけて続く見通しになる。逆の言い方をすれば、平均的ペースなら2026~2027年前後から新しい米ドル/円の上昇トレンドが始まり、そのトレンドがやはり平均的ペースで2028~2030年にかけて続いたとして、その中で161円を更新するとの見通しになる。
以上からすると、米ドル高・円安が2024年7月の161円を更新するのは、最も早ければ2026年の可能性があるが、遅い場合は2030年以降になる可能性もありそうだ。
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吉田 恒
マネックス証券 チーフ・FXコンサルタント兼マネックス・ユニバーシティ FX学長
大手の投資情報ベンダーの編集長、社長等を歴任するとともに、著名な国際金融アナリストとしても活躍。
2000年ITバブル崩壊、2002年の円急落、2007年円安バブル崩壊、2016年トランプ・ラリーなどマーケットの大相場予測をことごとく的中させ、話題となる。
機関投資家に対するアナリストレポートを通じた情報発信はもとより、近年は一般投資家および金融機関行員向けに、金融リテラシーの向上を図るべく、「解りやすく役に立つ」事をコンセプトに精力的に講演、教育活動を行なう。
2011年からマネースクエアが主催する投資教育プロジェクト「マネースクエア アカデミア」の学長を務める。2019年11月より現職。
書籍執筆、テレビ出演、講演等の実績も多数。