
気になる記事はお使いのデバイスでブックマーク登録できます
【この記事を読んでわかること】
9月1日はレーバーデイで、米国の金融市場は基本的に休場だ。ただしこのレーバーデイは、経験的には米ドル/円の場合でも、それまでの方向感のない展開が一変、一方向に大きく動き出すタイミングになることが多かっただけに、今後の動きについては要注意かもしれない。
9月初めのレーバーデイ明けは、欧米のトレーダーにとっては実質的な夏休み明けに位置づけられる。このため、夏休み明けでトレードを本格再開したトレーダーは、まだまだリスク許容度に余裕があることから、ポジションを長く維持する可能性が高く、結果として相場も一方向へ大きく動きやすくなると考えられる。過去3年の中で、まずはレーバーデイ明けから米ドル一段高が始まった2023年と2022年のケースから振り返ってみよう。
2023年の場合は、レーバーデイ以前の約3週間、米ドル/円は144円半ば~146円半ば中心の方向感のない展開が続いていた。しかしレーバーデイ明けからは、このレンジを米ドルは上放れ、そのまま10月にかけて前年に続き2年連続で150円の大台トライに向かった(図表1参照)。
【図表1】米ドル/円の日足チャート(2023年8~10月)
(出所:マネックストレーダーFX)
2022年の場合は、レーバーデイ明けから140円の大台を完全に突破すると一気に145円に迫る動きとなった。ここで当時の神田財務官が、米ドル売り介入の可能性をこの局面で初めて強く警告したことから、一旦米ドル高・円安には急ブレーキがかかった。ただ約2週間後に145円を超えて米ドル高・円安が広がると、ついに2011年以来となる日本の通貨当局による為替介入が実現するところとなった(図表2参照)。
【図表2】米ドル/円の日足チャート(2022年8~10月)
(出所:マネックストレーダーFX)
これに対して、2024年は7月から8月にかけて米ドル/円はわずか数週間で約20円もの大暴落が起こった。過去最大規模に膨らんだ投機筋の円売りポジションが消滅する中で起こったこの米ドル/円大暴落は、「投機円売りバブル」の破裂だったのではないか。
しかし急激な円高も8月半ば以降は一服となっていた。レーバーデイ前の2週間、米ドル/円は143円半ば~146円半ばでの方向感のない一進一退が続いた。ところがレーバーデイ明けから米ドル安・円高が再燃、それまでの米ドル安値の141円を割り込むと139円まで米ドル安・円高が広がるところとなった(図表3参照)。
【図表3】米ドル/円の日足チャート(2024年7~11月)
(出所:マネックストレーダーFX)
最初にも述べたように、米ドル/円は約1ヶ月も146円半ば~148円半ばの狭いレンジで方向感のない展開が続いてきた(図表4参照)。人は今見ている相場がこの先も続くと考えやすい。ただこれまで見てきたように、例年レーバーデイ前は小動きが続くことが多く、しかしレーバーデイ明けから大きく一方向へ動き出すところとなった。ということは、例年通りならレーバーデイ明けから一方向へ大きく動く相場が始まる可能性が高く、小動きが続く可能性は低いということになるだろう。
【図表4】米ドル/円の日足チャート(2025年7月~)
(出所:マネックストレーダーFX)
本コンテンツは情報提供を目的としており、商品申込等の勧誘目的で作成したものではありません。 本情報はマネックス証券株式会社が作成したものとなり、株式会社イオン銀行(以下、当行)はその情報の正確性や完全性を保証するものではありません。 本情報を使用することにより生ずるいかなる種類の損失について、当行は責任を負いません。 なお、コンテンツの内容は、予告なしに変更することがあります。
吉田 恒
マネックス証券 チーフ・FXコンサルタント兼マネックス・ユニバーシティ FX学長
大手の投資情報ベンダーの編集長、社長等を歴任するとともに、著名な国際金融アナリストとしても活躍。
2000年ITバブル崩壊、2002年の円急落、2007年円安バブル崩壊、2016年トランプ・ラリーなどマーケットの大相場予測をことごとく的中させ、話題となる。
機関投資家に対するアナリストレポートを通じた情報発信はもとより、近年は一般投資家および金融機関行員向けに、金融リテラシーの向上を図るべく、「解りやすく役に立つ」事をコンセプトに精力的に講演、教育活動を行なう。
2011年からマネースクエアが主催する投資教育プロジェクト「マネースクエア アカデミア」の学長を務める。2019年11月より現職。
書籍執筆、テレビ出演、講演等の実績も多数。