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【この記事を読んでわかること】
多くの方は、毎月の給料が決まった日に銀行口座に振込まれていると思います。しかし、年金の支給は給料のように毎月1回とは限りません。では、年金はいつ支給されるのでしょうか。
今回は年金の支給日の決まり方と2026年の年金支給日の一覧を紹介します。また、年金を受取るために必要な手続き、年金を増やす方法についても一緒に確認していきましょう。
年金は原則として年6回、偶数月の15日(年金支給日)に支払われます。15日が土日祝日の場合は、その直前の平日が年金支給日になります。
年金支給日に支払われる年金は、年金支給日の前々月と前月の2カ月分です。
<2026年の年金支給日一覧表>
| 2026年の年金支給日 | 支払対象月 |
|---|---|
| 2026年2月13日(金) | 2025年12月・2026年1月分 |
| 2026年4月15日(水) | 2026年2月・3月分 |
| 2026年6月15日(月) | 2026年4月・5月分 |
| 2026年8月14日(金) | 2026年6月・7月分 |
| 2026年10月15日(木) | 2026年8月・9月分 |
| 2026年12月15日(火) | 2026年10月・11月分 |
(株)Money&You作成
なお、年金額は物価や賃金の変動に応じて毎年度見直しが行われる仕組みになっています。2026年4月15日に支払われる年金は2025年度に定められた金額ですが、2026年6月15日に支払われる年金からは2026年度に定められた金額になります。
2025年度(令和7年度)に65歳で国民年金(老齢基礎年金)を満額受取る場合は、年額約83万1,700円です。
(昭和31年(1956年)4月1日以前生まれの場合は年額約82万9,300円となります。)
国民年金や厚生年金を受取る権利を「受給権」といいます。年金の受給権は、原則65歳の誕生日の前日に発生します。ただ、65歳になったからといって、自動的に年金の支払いがはじまるわけではありません。年金は「申請主義」といって、年金を受取るためには、請求手続きをしなくてはならないからです。
65歳の誕生日の3カ月前になると、日本年金機構から年金を受取るために必要な「年金請求書」が送られてきます。年金請求書にはこれまでの年金加入記録が記載されていますので、記録のもれや誤りがないかを必ず確認しましょう。万が一、もれや誤りがある場合には年金事務所に問い合わせましょう。
問題がなければ、年金請求書に必要事項を記載し、添付書類とともに年金事務所に提出します。なお、請求手続きに必要な書類には、次のものがあります。
年金の請求手続きに必要な書類
年金請求書に「電子申請のご案内リーフレット」が同封されている場合、条件を満たせば年金の請求手続きも電子申請できるようになっています。
年金請求書を提出した後、1カ月程度で日本年金機構から「年金証書」「年金決定通知書」といった書類が送られてきます。そして、年金証書が届いてから約1〜2カ月後に初回の年金が支給されます。初回に限っては手続きの都合上、奇数月に支給されることがあります。2回目からは、偶数月に2カ月分の年金が振込まれます。
なお、後述する年金の繰り下げ受給を希望する場合には、65歳時点で上記の手続きをする必要はありません。66歳以降、年金の受給を希望する時期に改めて年金受給の手続きをすれば、繰り下げ受給の増額率が確定し、年金の支給が始まります。
あらかじめ繰り下げ受給を請求するということはできませんので注意しましょう。
年金受給者が亡くなると、年金を受取る権利は喪失します。年金事務所・年金相談センターに「受給権者死亡届(報告書)」を提出することで、以後の年金の支払いは停止されます。
「受給権者死亡届(報告書)」のフォーマットはこちらから確認できます。
年金受給者がまだ受取っていない年金は「未支給年金」といい、「年金受給権者死亡届(報告書)兼 未支給年金・未支払給付金請求書」を提出することで、生計を同じくしていた遺族が受取れます。具体的には以下のなかで最も優先順位の高い方が受取ることができます。
(1)配偶者
(2)子
(3)父母
(4)孫
(5)祖父母
(6)兄弟姉妹
(7)その他(1)~(6)以外の3親等内の親族
上記で紹介したとおり、年金は「後払い」です。そのため、年金を受取っている方が亡くなった場合、未支給年金は亡くなった日に応じて最大3カ月分発生します。
未支給年金は、繰り下げ受給の待機中の方が亡くなった場合にも受取れます。この場合は、亡くなった方が65歳以降に受取るはずだった未支給年金を遺族が受取れます。
繰り下げ待機をしていた年数によって受取れる金額は変わります。年金の請求権の時効は「5年」ですので、亡くなった時点から5年以内に請求すれば、亡くなった月分までの未支給分を受取れます。なお、未支給年金は繰り下げ増額の対象外です。
なお、未支給年金は相続財産とはならず、受取った方の一時所得とみなされ、所得税・住民税の対象となります。
年金は老後の収入の柱となります。年金だけで生活するのは難しいとはいえ、できるだけたくさん受取れるようにしておきたいですよね。そのために、次のような方法があります。
国民年金基金は、フリーランスや個人事業主などが対象の、国民年金にプラスして加入できる年金制度です。
フリーランスや個人事業主は、会社員・公務員と違って厚生年金がないため、老後の公的年金は国民年金だけになってしまいます。そのため、国民年金基金でお金を積み立てることで、会社員・公務員の厚生年金にあたる年金を用意しようとするものです。
国民年金基金は終身年金が基本で、1口目は終身年金A型かB型のどちらかを選びます。2口目以降は終身年金A型・B型、確定年金Ⅰ型からⅤ型の7種類のなかから希望する型と口数を選んで加入します。
国民年金基金の掛金の上限は月額6万8,000円(2027年1月からは7万5,000円になる見込み)で、口数単位で調整できます。国民年金基金で積み立てたお金はすべて所得控除の対象になるため、所得税や住民税の負担を減らすことができます。
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国民年金の加入期間は20歳から60歳までの40年間(480カ月)です。国民年金保険料を納めていない期間がある場合、2年以内であれば後から納めることができますが、それを過ぎてしまうと「未納」の扱いになってしまいます。保険料が未納のままだと、その分受取れる老齢基礎年金が減ってしまいます。
また、国民年金保険料の支払いが難しい場合には免除や猶予が受けられますが、この場合も10年以内に国民年金保険料を納めないと、受取れる老齢基礎年金が本来より減ってしまいます。
国民年金の加入期間が40年に満たないのであれば、国民年金に任意加入できます。任意加入では、60歳〜65歳までの5年間、自分で国民年金保険料を支払うことで、国民年金保険料の加入期間を増やすことができます。加入期間が1年間増えると、老齢基礎年金は年約2万円増える計算です。加入期間が40年に達したら、老齢基礎年金を満額もらうことができますし、40年に達しなくても、受取れる年金額を増やすことができます。
付加年金は、国民年金に加入している方を対象とした年金の上乗せ制度です。国民年金保険料に月400円上乗せして付加保険料を支払うことで、老齢基礎年金の金額が「200円×付加保険料納付月数」分増えます。
国民年金の任意加入期間中も付加年金に加入できます。たとえば60~65歳までの5年間付加年金に加入すると、2万4,000円の付加保険料で老齢基礎年金が年1万2,000円増やせます。年金を2年以上受取ると支払った分が回収でき、以後もその増額分を受取れます。ただし、①で紹介した国民年金基金と併用することはできません。
国民年金への加入は原則60歳までですが、厚生年金への加入は70歳まで可能です。厚生年金の加入期間が長くなれば、その分老齢厚生年金が増えます。
また、厚生年金の加入期間が40年間(480カ月)に満たない方が60歳以降も厚生年金に加入して働くと「経過的加算」という加算がつきます。
20歳〜60歳までの厚生年金保険料は国民年金と厚生年金の両方にあてられますが、60歳以降は国民年金には加入できないので、厚生年金保険料は厚生年金にのみあてられます。しかし、このとき厚生年金の加入期間が480カ月に満たない場合は、厚生年金の加入期間が480カ月になるまでは、基礎年金にあたる部分が厚生年金に上乗せされます。
経過的加算の単価は1カ月あたり1,734円(2025年度)です。これは2025年度の国民年金の満額(83万1,700円)を480カ月で割ったおおよその金額です。
60歳時点での厚生年金の加入期間が38年(456カ月)で、大学生の頃の国民年金保険料を未納にしていた方がいるとしましょう。この時点で、この方が65歳から受取れる老齢基礎年金の金額(2025年度)は79万115円です。しかし、この方が60歳以降も2年間働いた場合、受取れる経過的加算額は(1,734円×480カ月)−79万115円=4万2,205円となり、未納の分を補うことができます。
ただし、経過的加算が増えるのは厚生年金の加入期間が480カ月になるまでです。それを超えても経過的加算は増えません。
老齢年金の受取りを66歳~75歳の間に遅らせる「繰り下げ受給」をすると、年金額が増えます。繰り下げ需給では、請求を1カ月遅らせるごとに、受取れる年金額が0.7%ずつ増加し、最大で75歳まで繰り下げることで年金額を84%増やすことができます。
仮に、65歳時点の年金額が月間15万円(年間180万円)の方が70歳まで年金を繰り下げたら、年金額は42%増えて月間21万3,000円(年間255万6,000円)、75歳まで繰り下げたら年金額は84%増えて月間27万6,000円(年間331万2,000円)に増えます。
60歳以降も働いていれば収入があるので、年金の繰り下げ受給も比較的選びやすいでしょう。年金が増えれば、老後の資金計画も立てやすくなります。
自分の年金額は、毎年誕生日頃に届く「ねんきん定期便」で確認できます。
50歳以上のねんきん定期便には、今のまま60歳まで加入した場合に65歳から受取れる年金見込み額が記載されています。実際受取れる金額に近い金額がわかります。
50歳未満のねんきん定期便には、これまでの加入実績で受取れる年金額(今受取った場合の年金額)が記載されているので、少なく感じるかもしれません。しかし、今後も年金保険料を納めることで増えていきますので、慌てないようにしましょう。
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ネット版の「ねんきんネット」を利用すればいつでも年金額を確認できます。マイナンバーカードを持っているなら「マイナポータル」経由で簡単にチェックできます。
また、ねんきん定期便にある二次元コードをスマホなどで読取ると利用できる「公的年金シミュレーター」でも、簡単な操作で今後の働き方や年収が変わった場合の年金額の変化が確認できるようになっていますので、併せて活用してみましょう。
お申込みに際しては、以下のご留意点を必ずご確認ください。
頼藤 太希
経済評論家・マネーコンサルタント
(株)Money&You代表取締役。中央大学商学部客員講師。早稲田大学オープンカレッジ講師。ファイナンシャルプランナー三田会代表。慶應義塾大学経済学部卒業後、アフラックにて資産運用リスク管理業務に6年間従事。2015年に現会社を創業し現職へ。日テレ「カズレーザーと学ぶ。(※現在は放送終了)」、フジテレビ「サン!シャイン」、BSテレ東「NIKKEI NEWS NEXT」などテレビ・ラジオ出演多数。ニュースメディア「Mocha」、YouTube「Money&YouTV」、Podcast「マネラジ。」、Voicy「1日5分でお金持ちラジオ」運営。「はじめての新NISA&iDeCo」(成美堂出版)、「定年後ずっと困らないお金の話」(大和書房)など書籍110冊超、累計190万部。日本年金学会会員。ファイナンシャルプランナー(CFP®)。1級FP技能士。日本証券アナリスト協会 認定アナリスト(CMA)。宅地建物取引士。日本アクチュアリー会研究会員。X(@yorifujitaiki)
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