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住宅ローン金利、固定金利に向いている人は?固定金利の特徴を解説!

【この記事を読んでわかること】

  • 固定金利には、種類があり、それぞれの特徴がわかる
  • 固定金利のメリット・デメリットがわかる
  • 固定金利に向いている人がわかる

住宅ローンの金利には、変動金利と固定金利があり、どちらがよいのかと迷っている方は多いのではないでしょうか。特に2024年は、長らく続いた低金利が終了し、金利が上昇する可能性がささやかれています。となれば、まだ金利が低い今のうちに、固定金利を利用した方がよいのでしょうか。今回は、住宅ローンの固定金利の特徴と固定金利に向いている人を解説します。

固定金利の特徴

住宅ローンの金利には、大きく分けて変動金利と固定金利があります。変動金利は原則半年に一度金利が見直されるタイプ、固定金利は金利が固定されるタイプです。

固定金利には、さらに全期間固定金利型と固定金利期間選択型の2つがあります。全期間固定金利型は借り入れてから完済するまでずっと金利が一定のタイプ、固定金利期間選択型は2年・3年・5年・10年などの一定期間のみ金利を固定するタイプです。
固定金利期間選択型では、金利の固定期間が終わったら変動金利に移行するか新たに固定期間を設定するかを選ぶことができます。

固定金利というと「フラット35」を思い浮かべる方もいるでしょう。フラット35は、民間の金融機関と住宅金融支援機構が提携して提供する住宅ローンです。
民間の固定金利の住宅ローンとフラット35の主な違いは、次のとおりです。

フラット35は団信加入条件が任意

団体信用生命保険(団信)は、住宅ローンの利用者が亡くなったり、所定の高度障害になったりして以後の返済ができなくなった場合に、住宅ローンの残債がゼロになる保険です。以後の住宅ローンの支払いがなくなるので、家族に住宅を確実に残すことができます。

民間の住宅ローンでは団信の加入が義務づけられています。そのため、健康状態によっては住宅ローンの審査に通らないこともあります。一方、フラット35では、団信への加入は必須ではないので、健康状態に問題があっても住宅ローンの審査に通る可能性があります。ただ、団信に加入していなければ、もしものことがあった場合に住宅を相続した人が引き続き返済する必要がありますし、返済ができなければ家を手放さなければならなくなってしまいます。

フラット35はリノベーションで使用できない

リフォームやリノベーションのために住宅ローンを利用したいと考える人もいるでしょう。民間の住宅ローンでは、リフォームやリノベーションの資金も借りることができます。しかし、フラット35ではリフォームやリノベーションの資金は原則借りられません(中古住宅の購入と一定のリフォームを行う場合には「フラット35リノベ」が利用可能)。

フラット35は全期間固定金利型のみ

フラット35の金利は全期間固定金利型のみ。借入期間は最長35年となっています。民間の住宅ローンでは、はじめに紹介した固定金利期間選択型も用意されています。

固定金利のメリット

固定金利のメリットには、次のようなものがあります。

ライフプランが立てやすい

固定金利は金利の見直しがないため、ローン返済終了まで毎月の返済額が一定です。毎月の返済額が一定ということは、家計管理もしやすく、子どもの教育費、車や家電などの買い物、旅行などの費用、老後資金の準備などの計画も立てやすいでしょう。

市場金利が上がっても金利が変わらない

変動金利の場合、市場金利が上昇すると、それに合わせて金利が上がり、返済額が増えてしまいます。変動金利にも、金利が上がっても5年間は毎月の返済額が増えない「5年ルール」や、返済額が125%までしか上がらない「125%ルール」がありますが、それでも市場金利が上昇すれば返済額が増えてしまうことに変わりはありません。
その点、固定金利ならば市場金利が上がっても金利が変わらないので、市場金利上昇のリスクを回避することができます。

固定金利のデメリット

一方、固定金利にもデメリットがあります。

変動金利に比べて金利が割高

住宅ローンの金利は、一般的に変動金利よりも固定金利のほうが高め。本稿執筆時点(2024年1月9日)、変動金利は0.3%〜0.4%程度なのに対し、固定金利はフラット35で1.87%(2024年1月時点・融資率9割以下での最も多い金利)となっています。また、固定金利期間選択型の場合、固定金利期間が終わったあとに金利の引き下げ幅が縮小(適用金利が上昇)することもあります。

金利が下がった際にデメリットになる

今後の金利がどうなるかは、誰にもわかりません。とくに全期間固定金利型の場合、金利が高いときに固定金利の住宅ローンを組んでしまうと、その後金利が下がっても高い金利を支払わなくてはならなくなるリスクがあります。後から「変動金利を選んでおいたほうが総返済額は少なかったはず」ということもありえます。

固定金利に向いている人は?

ここまでご紹介したように、住宅ローンの金利タイプ、固定金利と変動金利にはそれぞれメリット・デメリットがあるため、どちらがよいとは一概に言い切れないものがあります。しかしあえて、固定金利に向いている人をあげるとすれば、次のような人でしょう。

  • 収入が安定していて、ライフプランの設計がしやすい人
  • 計画的に返済計画を立てたい人
  • 金利上昇のリスクに備えたい人
  • 精神的に安定したい人

固定金利、とくに全期間固定金利型を選ぶと、市場金利がどれだけ上がっても返済額は一定です。特に2024年になり、金利が上昇に転じるのではないかという観測もあります。そうした金利の動向に振り回されず、コツコツと毎月決まった金額を返済したい場合には全期間固定金利型を選ぶのがよいでしょう。全期間固定金利型は、変動金利よりも金利水準が高いですが、収入が安定している方であれば、全期間固定金利型を選びやすいでしょう。

また、子供の教育費がかかる時期などは、家計の負担が重くなる時期なので、ローンの返済金額が変動してしまうと、ライフプランを大幅に修正しなくてはならなくなる可能性があります。このような場合には、子供の教育費がかかる時期だけ固定金利期間選択型を選ぶのもよいでしょう。子供の教育費がかからなくなった時に市場の金利が低い水準であれば、変動金利も金利が低いことが予想されるので、乗り換えれば、固定金利のままよりも毎月の金利の負担を抑えることができます。

今回は、住宅ローンの金利の中でも特に固定金利にフォーカスして解説してきました。つい金利が安いからと変動金利を選びがちですが、固定金利で得られるメリットも大きなものがあります。収入や資産、家族の状況、自分のライフプランにあった金利のタイプを選ぶようにしてくださいね。

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高山一恵

(株)Money&You取締役/ファイナンシャルプランナー
一般社団法人不動産投資コンサルティング協会理事。慶應義塾大学卒業。2005年に女性向けFPオフィス、(株)エフピーウーマンを設立。10年間取締役を務めたのち、現職へ。全国で講演活動、多くのメディアで執筆活動、相談業務を行ない、女性の人生に不可欠なお金の知識を伝えている。明るく親しみやすい性格を活かした解説や講演には定評がある。月400万PV超の女性向けWebメディア『Mocha(モカ)』やチャンネル登録者1万人超のYouTube「Money&YouTV」を運営。著書は『はじめての新NISA&iDeCo』(成美堂出版)、『11歳から親子で考えるお金の教科書』(日経BP)、『マンガと図解 定年前後のお金の教科書』(宝島社)など著書累計130万部超。ファイナンシャルプランナー(CFP®)。1級FP技能士。

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