手続きしないと損?転職時の企業型確定拠出年金の移換手続きについて
執筆者:マネーコンサルタント|頼藤 太希
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みなさんの会社に、企業型DC(企業型確定拠出年金・日本版401K)はありますか?
会社で企業型DCに加入している方が転職するときには、「移換」という手続きが必要です。実はこの移換手続きをしないと損なのですが、うっかり忘れてしまう方や、締め切りの直前に慌てて手続きをして期限を過ぎてしまう方がいるのです。
そこで今回は、企業型DCの移換のしくみやもうひとつの確定拠出年金、iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)との違い、移換手続きの方法や注意点まで、まとめてご紹介します。
- 2種類ある確定拠出年金 企業型DCとiDeCoの違いは?
- 転職先で企業型DCに加入するかどうかで「移換先」が変わる
- 損しかない?「自動移換」に要注意!
- イオン銀行なら365日相談できる!
- 今回のまとめ
2種類ある確定拠出年金 企業型DCとiDeCoの違いは?
確定拠出年金は、お金を投資信託や定期預金などで運用して、その成果を60歳以降に受け取る制度。運用の成果次第で利益が出ることも損失が出ることもありますが、国民年金・厚生年金に上乗せして老後資金が作れます。
この確定拠出年金には、冒頭でお話しした企業型DCとiDeCoの2種類があります。大きく違うのは以下の3点です。
企業型 | iDeCo(個人型) | |
---|---|---|
加入主体 | 会社が導入する | 個人が加入する |
掛金を出す人 | 会社が拠出する | 個人が拠出する |
金融機関選び | 会社が選ぶ | 個人が選ぶ |
まずは加入主体。企業型DCは企業年金のひとつとして、会社が導入します。会社に企業型DCの制度がなければ、企業型DCには加入できません。その点iDeCoは、個人で加入するものです。かつては一部の方しか加入できませんでしたが、今では60歳未満のほとんどの方が加入できます※。
- ※ ただし、年齢、国民年金・企業型確定拠出年金の状況等によって加入できない場合があります。
次に掛金を出す人。企業型DCは原則会社が掛金を拠出します。一方のiDeCoは、個人(自分)が掛金を拠出します。
そして金融機関選び。企業型DCは会社が指定する金融機関を利用するのに対し、iDeCoは自分で金融機関を選びます。
いずれも、60歳まではお金を引き出すことはできないのですが、転職・離職のときもそれまでに築いてきた資産を持ち運ぶことができます。これを移換といいます。つまり、移換によって、税制優遇を生かしながら老後資産の準備が進められるのです。
転職先で企業型DCに加入するかどうかで「移換先」が変わる
企業型DCに加入している人が転職する際には、企業型DCの「移換手続き」が必要になります。この移換手続きは、転職先の会社で企業型DCに加入するかどうかによって変わります。
転職先の会社で企業型DCに加入する場合は、その企業型DCに移換できます。つまり、前の企業型DCから次の企業型DCに資産を移せます。この手続きは転職先で行いますので、会社の総務部や経理部など、担当者に確認しましょう。
いっぽう、転職先に企業型DCがない、またはあっても加入しない場合や、会社勤めをやめて自営業者・公務員・専業主婦などになる場合には、前の企業型DCからiDeCoに資産を移換します。
企業型DCからiDeCoへの移換手続きは、自分で行います。
まず、金融機関に企業型DCに加入していたことを伝え※1、「個人別管理資産移換依頼書」に必要事項を記入して提出します※2。
すると、移換の受付後、自動的に前の企業型DCの資産が売られ、iDeCoの口座に移されます※3。
- ※1 お手続きによっては企業型DCの資格喪失の通知書が必要になる場合がございます。
- ※2 依頼書とあわせて確認書、同意書など、他の書類の提出が必要な場合がございます。
- ※3 移される額は手数料や運用資産の配分指定の有無などにより異なります。
新たに企業型DCに移換する場合も、iDeCoに移換する場合も、これまでの資産には課税されません。ただし、移換前に保有している投資信託や預金などの資産は、いったんすべて売り、現金化します。したがって、特に損失を抱えている場合には、移換するタイミングに注意が必要です。元の企業型DCの加入資格を喪失すると、スイッチングができなくなりますので、事前に元本確保型商品へスイッチングすることも検討すべきです。
損しかない?「自動移換」に要注意!
移換の手続きは、退職日の翌日を含む月の翌月1日から起算して6カ月以内に行ってください。というのも、移換しないでいると、これまで築いてきた資産が国民年金基金連合会に自動移換されてしまう恐れがあるからです。
自動移換にはたくさんのデメリットがあります。具体的には、次のとおりです。
- 自動移換にあたって、4,348円(税込)の手数料がかかる
- 資産がすべて現金の状態で管理され、運用ができない
- 毎月の管理手数料52円(税込)が引かれる
- 自動移換中は確定拠出年金の通算加入者等期間とならないため、受給のタイミングが最大65歳まで遅れる可能性がある(通算加入者等期間が10年以上ないと60歳から受け取れない)
- 自動移換されたお金は、再び企業型DCやiDeCoに移換しなければ、受け取れない(移換時に1,100円(税込)の手数料もかかる)
なお、移換手続きをしなくても、新たに企業型DCやiDeCoに加入して、本人情報が一致した場合には、以前の資産を新しい口座に移換してくれる場合もあります。しかし、少しでも早く確実に移換するために自分で手続きすべきです。
自動移換されてしまうと、運用ができないどころか、手数料ばかり引かれるのですから、お金は確実に減っていきます。ですので、面倒でもこうなる前に必ず手続きをしましょう。
イオン銀行なら365日相談できる!
イオン銀行のiDeCoなら、資産運用の経験がほとんどない方でも選びやすい商品が揃っていて運営管理手数料も無料※4なので、スタートしやすいでしょう。
しかも、イオン銀行は年中無休なので、わからないことがあったらお近くの店舗で365日相談できるのが心強いところ。大切な老後のお金ですから、iDeCoの税制優遇を生かしながら、じっくりと育てていきましょう。
- ※4 国民年金基金連合会、事務委託先金融機関の設定する手数料は別途ご負担いただきます。
今回のまとめ
- 確定拠出年金には企業型DC(企業型確定拠出年金)とiDeCo(個人型確定拠出年金)の2種類がある
- 企業型DCの加入者が転職した場合、新しい会社で企業型DCに加入すればその企業型DCに資産を移換できる
- 新しい会社に企業型DCがない、または加入しない場合や、自営業者・公務員・専業主婦などになる場合はiDeCoに資産を移換する
- 移換手続きは必ず行う、自動移換にはデメリットが多い
- ※ 本ページは2020年3月時点での情報であり、その正確性、完全性、最新性等内容を保証するものではありません。また、今後予告なしに変更されることがあります。
お申込みに際しては、以下の留意点を必ずご確認ください。