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<みんなの平均>独身女性の平均収入や資産保有額はどのくらい?老後のための準備はどうする?

社会の変化とともに女性の生き方も多種多様になってきています。
女性の人生においては結婚、出産等、さまざまな選択肢がある一方で、その選択によりキャリアプランも左右されます。そんな背景があり結婚や出産を「しない」という方が少しずつ増えてきているようです。個々の人生が大きく分かれてくるのはちょうど30代頃でしょうか。
では実際に生涯独身で歩んで行く場合、経済的にはどのくらいの金額が必要なのでしょうか。このコラムでは、30代独身女性を例に現在の平均収入金額や貯蓄額を確認したうえで、独身で老後を過ごす場合の収支、老後資金の必要額とそれに向けた資産形成について考えて行きましょう。

30代女性の平均収入は?

それではまずは女性の平均収入金額を産業別で確認してみましょう。

産業別、30代女性平均賃金
(月額・単位万円)

鉱業、採石業、
砂利採取業
建設業 製造業 電気・ガス・
熱供給・水道業
情報通信業 運輸業、
郵便業
卸売業、
小売業
金融業、
保険業
不動産業、
物品賃貸業
学術研究、
専門・技術サービス業
宿泊業、
飲食サービス業
生活関連サービス業、
娯楽業
教育、学習支援業 医療、福祉 複合サービス事業 サービス業
(他に分類されないもの)
全業種平均
30.3 25.4 23.1 34.1 31.9 24.4 25.5 27.9 26.9 31.8 22.9 24.4 29.4 26.9 24.1 23.6 27.0

出典:「令和4年 賃金構造基本統計調査結果の概況」より一部筆者計算

業種によって多少収入のばらつきがありますが、全産業での女性の月の平均賃金は約27.0万円年収で考えると約324.2万円です。

30代の平均貯蓄額は?

続いて30代の平均貯蓄額(金融資産保有額)も確認してみましょう。

総数 金融資産
非保有
100万円
未満
100~
200万円未満
200~
300万円未満
300~
400万円未満
400~
500万円未満
500~
700万円未満
700~
1,000万円未満
1,000~
1,500万円未満
1,500~
2,000万円未満
2,000~
3,000万円未満
3,000万円
以上
無回答 平均 中央値
万円 万円
全国(実数) (2,500) 34.5
(863)
13.4
(335)
7.0
(175)
5.0
(125)
4.5
(112)
2.6
(65)
5.4
(134)
4.0
(100)
4.8
(120)
3.3
(82)
4.4
(109)
8.8
(220)
2.4
(60)
871 100
世帯主の年齢別 20歳代 (549) 42.1 22.6 11.5 6.4 4.6 2.6 3.6 2.6 1.1 0.4 0.4 0.5 1.8 176 20
30歳代 (324) 32.4 18.5 8.6 5.6 5.2 2.5 7.1 3.7 4.6 3.7 2.5 2.8 2.8 494 75
40歳代 (324) 35.8 14.8 5.9 4.9 6.2 2.8 2.8 3.1 7.7 2.5 4.0 5.9 3.7 657 53
50歳代 (366) 39.6 11.5 5.5 4.4 3.0 1.9 3.0 5.5 4.6 4.1 4.1 9.6 3.3 1,048 53
60歳代 (439) 28.5 8.0 5.7 4.3 3.6 2.7 6.2 4.6 6.6 3.6 6.8 16.9 2.5 1,388 300
70歳代 (498) 28.3 5.2 4.0 4.2 4.6 3.0 8.8 4.8 5.6 5.8 8.2 16.1 1.2 1,433 485

出典:「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和4年・金融広報中央委員会)」

「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和4年・金融広報中央委員会)」によると、30代の平均貯蓄額は約494万円です。ただしこの平均額というのは、貯蓄ゼロから3,000万円以上の多額を保有している人までの平均になりますので、多くの金融資産を保有している少数の金額に釣り上げられてしまう傾向にあります。
そこで現実的には「中央値:貯蓄の少ない順に最も多い金額までを並べたときにちょうど中央値(真ん中)に位置する金額」が全体の実感により近いと考えられ、30代の貯蓄額の中央値は75万円になっています。
また貯蓄の無い(金融資産非保有)人の割合は32.4%と全体の約3割が貯蓄ゼロです。

ここまでをまとめてみましょう。

  • 30代女性の平均年収…約324.2万円
  • 30代の平均貯蓄(※中央値)…約494万円(※75万円)
  • 30代の貯蓄ゼロの割合…32.4%

仕事のある現役のうちは収入があれば生活できるかもしれませんが、人生100年時代と呼ばれる長い人生を考えた場合、リタイア後の暮らしをこのままの状態で迎えても大丈夫なのでしょうか。

独身女性の老後について考える

女性が独身で老後を迎えた場合、必要な老後資金はいくらになるでしょうか。老後に向けてどれくらいの資産が必要になるのかを確認してみましょう。

65歳以上独身女性の老後の生活費は?

総務省統計局独立行政法人統計センターの家計調査によると、65歳以上の単身女性の1カ月の消費支出(2022年)は148,971円です。こちらには食費や水道光熱費、日用品、医療費など日常の生活費が含まれていますが、その中で住居費に当たる家賃地代に関しては5,338円と低い金額になっており、これは半数以上が持ち家のためです。賃貸の場合には家賃を足して考える必要があります。

独身女性が受け取れる公的年金は?

厚生労働省の「厚生年金保険・国民年金事業の概況(令和3年度)」によると、厚生年金、国民年金それぞれの受給月額は下記の通りです。

<厚生年金、国民年金の平均年金月額>

全体 男性 女性
厚生年金 143,965円 163,380円 104,686円
国民年金 56,368円 59,013円 54,346円

出展:厚生年金保険・国民年金事業の概況(令和3年度)

厚生年金における男女の大きな金額差は、やはり出産等のブランクも含めた働き方の差が影響していることが考えられますので、ブランク無しで正社員で働くことができれば男性に近い金額を受け取れる可能性が高くなります。また、厚生年金と国民年金の金額の差も気になりますね。フリーランスや自営業で国民年金のみの方は受給額が厚生年金よりだいぶ低くなりますので、より多くの老後資金の準備が必要です。

公的年金だけで独身女性の老後は生活できる?

上記で確認した65歳以上独身女性の平均支出(148,971円/月)と公的年金の受給額を比較すると、公的年金だけでは生活費が不足することがわかります。その差額(不足額)を計算してみると下記の通りになります。

  • (厚生年金)104,686円 – 148,971円 = −44,285円
  • (国民年金)54,346円 – 148,971円 = −94,625円

厚生年金、国民年金共に日常生活を公的年金だけで賄うことは難しく、厚生年金だと月々約4.4万円、国民年金だと月々約9.5万円の不足が見えてきました。この不足額が月々発生することを考えると少々重く感じますが、現実的にはどのくらいの総額で準備すれば良いのでしょうか。

厚生労働省の「簡易生命表(令和4年)」による65歳時点での女性の平均余命の約24年(24.3年)に基づいて、上記で算出した不足額をもとにいくらの準備が必要かを計算して見ましょう。

  • (厚生年金)不足額44,285円 × 12カ月× 24年 = 1,275万4,080円
  • (国民年金)不足額94,625円 × 12カ月× 24年 = 2,725万2,000円

65歳からの平均余命24年間分(89歳まで)の生活費を考えると厚生年金の方は約1,275万円、国民年金の方は約2,725万円もの不足が考えらます。総額ではこれらの備えが必要になる訳です。

貯金だけで老後資金は準備できる?

30代の貯蓄額は中央値が75万円、貯蓄ゼロの方も3割以上いらっしゃいました。今後は今回確認したように老後も含めた備えが必要になるのは確かですので、資産形成は必須です。
仮に35歳から65歳まで(30年間)で上記の不足額をゼロから準備するとしたら、老後のために月々いくらの貯蓄をする必要があるかも計算して見ましょう。

  • (厚生年金)不足額1,275万4,080円 ÷ 30年 ÷ 12カ月 = 35,428円/月
  • (国民年金)不足額2,725万2,000円 ÷ 30年 ÷ 12カ月 = 75,700円/月

厚生年金の方は、老後のために月々35,428円、国民年金の場合は月々75,700円の貯蓄を毎月30年間継続する必要があります。30代以降は、老後資金だけではなく、旅行などのレジャーや住宅購入など大きなお金は他にも必要になりますので、老後という目的だけのためにこれらの金額を貯蓄のみで準備するのはなかなか現実的ではありません。

そこで貯蓄だけではなく、資産運用も取り入れて資産形成のスピードアップをする必要があります。超低金利時代の今は預貯金ではお金は増えませんし、物価が上昇した場合を考えると価値は目減りすることもありますので、積極的に資産を運用して資産形成していく姿勢は大切です。

今回のまとめ

  • 30代女性の平均年収は約324.2万円、30代の平均貯蓄(中央値)は約494万円(75万円)、30代の貯蓄ゼロの割合は32.4%
  • 65歳以降90歳まで、公的年金だけでの生活を考えると厚生年金の場合約1,275万円、国民年金の場合約2,725万円もの不足が予想され、不足部分は自らの資産形成が必要になる。
  • 貯蓄だけでは負担が大きいので、資産運用をして積極的に増やしながら資産形成をするのが大切。
  • 本ページは2023年11月時点での情報であり、その正確性、完全性、最新性等内容を保証するものではありません。また、今後予告なしに変更されることがあります。

お申込みに際しては、以下の留意点を必ずご確認ください。

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ファイナンシャルプランナー 肥後 知歩

中立的な金融教育機関で約15年間、講師として登壇中。家計管理や資産運用についての講演、乗り合い代理店にて保険の見直し相談を約200世帯以上経験し、今に至る。現在はセミナー講師(年間講演回数100講演以上)、コラム執筆や個人相談なども含め幅広く活動中。

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