
公金受取口座は、マイナンバーとともに国に登録しておく預貯金口座です。キャッシュレス決済で使えるマイナポイントをもらうための条件のひとつが「公金受取口座の登録(7,500円分)」でしたので、すでに登録している方もいるかもしれません。
公金受取口座を登録しておくと、緊急時の給付金のほか、年金、児童手当、所得税の還付金など、さまざまなお金を受取ることができるようになります。
登録した公金受取口座の情報は、デジタル庁の「公的給付支給等口座登録簿」に記録されます。デジタル庁によると、記録される内容は、次のとおりです。
①金融機関の名称
②店舗の名称(本店・支店・出張所等の名称)
③預貯金の種別(普通・当座)
④口座番号(ゆうちょ銀行の場合は記号番号)
⑤カナ氏名
①氏名(及びカナ氏名)
②住所
③生年月日
④個人番号
⑤連絡先の情報(電話番号、電子メールアドレス等)
⑥登録の申請等を受付けた機関の名称(口座の変更の登録、登録情報の修正・訂正、抹消、行政機関でのデジタル庁への口座情報の提供の同意を含む)
⑦登録の申請等を行った年月日
⑧処理年月日(公的給付支給等口座登録簿に記録した年月日)
いずれも、給付金の支払・受取をするときに必要な情報です。
記録される情報の中には、預貯金残高や取引の記録といった情報は含まれていません。また、公金受取口座から税金などが引落とされることもないので、その点は安心できるでしょう。
なお、登録した公金受取口座は、政府が運営するオンラインサービス「マイナポータル」からいつでも変更や削除をすることができます。
公金受取口座を登録するメリット・デメリットには、次のようなものがあります。
2020年、新型コロナウイルスの感染が拡大したとき、経済対策の一環で国民に一律10万円の「特別定額給付金」が給付されました。しかし、特別定額給付金の給付にあたってはさまざまな混乱があり、自治体によっては給付が大幅に遅れるなど、障害がありました。
さらに、給付に際しては事務費も1,458億円かかっています。公金受取口座があれば、今後また給付金などが支給されるときに、自治体と口座情報のやりとりをする手間や費用が少なくて済みます。
公金受取口座があれば、自治体との間で振込先の情報をやり取りする手間が省けます。給付金や還付金そのものの申請手続きは引続き必要ですが、より簡単な手続きで申請ができるようになるので、給付金や還付金を早く受けることができるようになります。
公金受取口座の登録は、マイナポータルから行うため、スマホやパソコンなど、マイナポータルにアクセスできる端末が必要です。操作に不慣れな方は、戸惑うかもしれません。
公金受取口座として登録できる銀行口座は1人1口座のみ。しかも、本人名義の口座である必要があります。子どもなど、まだ銀行口座を持っていない人の場合は、銀行口座を作るところから手続きが必要です。
データをネットワークでやりとりする以上、データの紛失や個人情報流出のリスクはゼロにできません。
最近では、マイナンバーに関する不具合が報道され不安に思っている方も多いと思いますが、公金受取口座の登録は義務ではありません。とはいえ、スムーズに給付金・還付金を受取れるなどのメリット面も多いので、今のうちに公金受取口座を登録しておくのもよいのではないでしょうか。
これから公金受取口座を登録するならば、イオン銀行の口座を公金受取口座にするのがおすすめです。
イオン銀行の「イオン銀行Myステージ」では、イオン銀行口座の取引によって「イオン銀行スコア」がたまります。イオン銀行スコアが一定以上たまるとステージが上がり、普通預金の金利優遇に加え、下記の特典を受けられます。
また、イオン銀行のATMは365日24時間利用手数料が無料です。イオン銀行ATMはイオンのほか、ミニストップやダイエーなど全国6,000台以上あります。夜間でも休日でもいつでも無料なのは、ありがたいですね。
「マイナンバーカードは作ったけれど、マイナポイントは申し込んでいない」という方ならば、公金受取口座の登録によって7,500ポイント、他の手続き(マイナポイントへの申し込み・決済サービスの利用・健康保険証の利用登録)と合わせて最大20,000ポイントのマイナポイントがもらえます。対象は2023年2月末までにマイナンバーカードを申込んだ人。2023年9月30日までに公金受取口座の登録を完了することが条件です。
イオン銀行のキャッシュカード・電子マネーWAON・クレジットカードの3枚が1つになった「イオンカードセレクト」では、マイナポイントを電子マネーWAONとして受取ることが可能。イオンやイオン系列の店舗でお買い物に使えます。もちろん、イオンカードセレクトでポイントをおトクにためたり、5%オフの「お客さま感謝デー」などの割引を受けたりすることもできます。
新型コロナウイルス感染症のような、不測の事態が起きないことが一番ですが、今後いつ給付金や還付金が支払われるかはわかりません。ですから、今のうちに公金受取口座の登録を進めておくとよいでしょう。
高山 一恵
ファイナンシャルプランナー(CFP)
(株)Money&You取締役
一般社団法人不動産投資コンサルティング協会理事。慶應義塾大学卒業。2005年に女性向けFPオフィス、(株)エフピーウーマンを設立。10年間取締役を務めたのち、現職へ。全国で講演活動、多くのメディアで執筆活動、相談業務を行ない、女性の人生に不可欠なお金の知識を伝えている。明るく親しみやすい性格を活かした解説や講演には定評がある。月400万PV超の女性向けWebメディア『Mocha(モカ)』やチャンネル登録者1万人超のYouTube「Money&YouTV」を運営。
著書は『はじめての新NISA&iDeCo』(成美堂出版)、『11歳から親子で考えるお金の教科書』(日経BP)、『マンガと図解 定年前後のお金の教科書』(宝島社)など著書累計170万部超。ファイナンシャルプランナー(CFP®)。1級FP技能士。