
クレジットカードを解約せず放置すると生じるデメリットをまとめて紹介します。
「クレジットカードが不正利用された」たびたび、そんなニュースを耳にすることがあります。一般社団法人日本クレジット協会の調査によると、クレジットカードの不正利用によって被害を受けた金額は、増加傾向です。
クレジットカード不正利用被害額
この被害の大部分を占めるのが「番号盗用被害」。クレジットカードを使わず、番号だけを利用して決済されたものです。つまり、使わなくなって、管理していないクレジットカードの番号が何らかの形で悪意のある人に知られるだけで、不正利用にあう危険性がある、というわけです。
クレジットカード会社でも、不正な利用を監視するシステムを活用しています。しかし、すべての不正が未然に防げるとは限りません。それに、普段管理していないクレジットカードの情報は確認もあまりしないでしょうから、不正に気づけない可能性もあります。
クレジットカードのなかには、利用する・しないに関わらず年会費が発生するものがあります。そうしたクレジットカードを使わないのに持っているのでは、年会費がもったいないですね。中には「初年度のみ年会費無料」「1年間に1回でも利用したら無料」など、条件付きで年会費無料となるクレジットカードも多いため、年会費が発生していることを忘れているケースもあるかもしれません。
クレジットカードを何枚も所有している場合、新たにクレジットカードが作りにくくなる場合があります。クレジットカードを多く持っているほど、契約者が借りられる限度額を示す「総与信枠」が大きくなってしまうからです。過度な借金を認めて返済ができなくなってしまえば、本人はもちろんカード会社も大変なので、カード会社はきちんとチェックをしています。
冒頭でも少しお話ししたとおり、クレジットカードがたくさんあっても管理が複雑になって大変です。カードの暗証番号をすべて覚えなければいけませんし(同じにするのは大変危険です)、いろいろなクレジットカードで口座振替の設定をしてしまうと、どのカードで何を支払っているのかがわからなくなってしまいます。そのうえ、引き落とし日もカード会社によりばらばらで大変です。さらに、ポイントが貯まるクレジットカードの場合、ポイントが複数のクレジットカードに分散してしまって、使いにくくなってしまいます。
4つのデメリットを知って、クレジットカードをたくさんお持ちの方ほど「いらないクレジットカードを処分したい」と思ったのではないでしょうか。クレジットカードの枚数を減らすことは、不正利用防止にもおトクに使うのにも有効です。
JCB「クレジットカードに関する総合調査」(2020年度版)によると、クレジットカードの平均保有枚数は3.0枚、平均携帯枚数は2.1枚(20代〜60代の男女計3,030人の平均)とのこと。ですから、3枚以上クレジットカードを持っているという方は、クレジットカードを2枚に絞りましょう。
解約を優先したいクレジットカードはずばり、
です。
お手持ちのクレジットカードをこの基準で絞って2枚にまとめ、それを集中的に使うことで、お金の流れもわかりやすくなりますし、ポイントもまとめやすくなるのでおすすめです。
クレジットカードの解約手続きは、電話やネットなどで簡単にできます。電話の場合は、各社の問い合わせ窓口に電話して解約したい旨を伝えれば、5分程度で完了します。自動音声で対応しているカード会社もあります。また、ネットでの手続きの場合は、クレジットカードの会員サイトにログイン後、解約のページで手続きをすればOKです。何も難しいことはないので、手元にクレジットカードを用意して、手続きしましょう。
また、解約後、いらなくなったクレジットカードは不正利用防止のために必ず切断を。ICチップと磁気ストライプ、名前やカード番号などがわからなくなるように、細かく切って捨てましょう。複数のゴミ袋に分けて捨てるのも効果的です。
クレジットカードをたくさん持っていても、デメリットしかありません。不正利用を防ぐことはもちろんのこと。クレジットカードをおトクなツールとして使いこなすためにも、不要なクレジットカードは早めに解約するようにしましょう。
頼藤 太希
マネーコンサルタント
(株)Money&You代表取締役。中央大学商学部客員講師。慶應義塾大学経済学部卒業後、外資系生命保険会社にて資産運用リスク管理業務に従事。2015年に現会社を創業し現職へ。ニュースメディア「Mocha(モカ)」、YouTube「Money&YouTV」、Podcast「マネラジ。」、Voicy「1日5分でお金持ちラジオ」、書籍、講演などを通じて鮮度の高いお金の情報を日々発信している。
『はじめての新NISA&iDeCo』(成美堂出版)、『定年後ずっと困らないお金の話』(大和書房)、『マンガと図解 はじめての資産運用 新NISA対応改訂版』(宝島社)など書籍100冊、著書累計170万部超。日本証券アナリスト協会検定会員。宅地建物取引士。ファイナンシャルプランナー(AFP)。日本アクチュアリー会研究会員。X(旧Twitter)→@yorifujitaiki