ふるさと納税、おすすめのタイミングは?メリットデメリット

2024.8.21 (最終更新日:2025.12.12)

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【この記事を読んでわかること】

  • 2025年10月からふるさと納税ポータルサイトでのポイント付与が禁止された
  • ふるさと納税は1年中行うことができるため、年末に駆け込みで行う必要はない
  • ふるさと納税は時期を分散することで出費を抑えられる

自分の好きな自治体に寄附すると特産品などが受取れる、実質2,000円の自己負担で利用できるふるさと納税に対して、「ポイント付与禁止」の改正が行われました。2025年10月1日から、ふるさと納税ポータルサイトを通じた寄附時のポイント付与が原則禁止になったことで、制度本来の「地方自治体の応援」という目的がより前面に出ることになりました。
今回はふるさと納税の制度改正の内容を確認したうえで、ふるさと納税をいつ行うのがよいのか、タイミングを一緒に考えてみましょう。

2025年10月からふるさと納税のポイント付与禁止に

ふるさと納税を行うときには、ふるさと納税ポータルサイトを利用する方が多いでしょう。ふるさと納税ポータルサイトは返礼品が検索でき、気に入った返礼品があればネットショッピング感覚で注文できて便利ですよね。

しかし2025年10月から、ふるさと納税の寄附に対して、ふるさと納税ポータルサイトでのポイント付与が禁止となりました。
その理由は、大きく次の3つにまとめられます。

①自治体の経費削減のため
自治体はふるさと納税ポータルサイトを利用するために寄附額の10%程度の手数料を支払っています。総務省は、この手数料の一部がポイントの元手になっているのではないか?と問題視し、ふるさと納税ポータルサイトでのポイント付与を禁止することで、自治体の手数料の負担を減らす(=自治体に入る金額を増やす)ことにつなげようと考えました。

②ポイント目的の寄附を減らすため
2019年6月から、ふるさと納税の返礼品は「寄附金額に対し3割以下」というルールが定められ、2023年10月から「ふるさと納税に付随する事務費用及び送料を含めた金額が寄付金額の5割以下」というルールが追加されました。
しかし、ふるさと納税ポータルサイトでもらえる返礼品は、一般で販売されている価格と比較すると還元率が3割を超えるおトクな返礼品が存在します。ふるさと納税ポータルサイト間の競争も激化していました。

③ふるさと納税の趣旨を見直すため
ふるさと納税の本来の趣旨は、自分のふるさとや応援したい自治体を支援するというところにあります。
ポイント還元が多くなると、ポイント目的の寄附が増えてしまい、本来の趣旨とは異なるふるさと納税の活用を促進していた可能性があるので、それを減らそうということです。

こうした背景から2025年10月の改正で、ふるさと納税によるポイント付与が禁止されました。ただし、クレジットカードで決済した場合などに、クレジットカード決済で得られる通常のポイントは付与されます。
改正によりふるさと納税ポータルサイト独自のポイント付与は得られなくなりましたが、ふるさと納税を行った方がよいことに変わりありません。ふるさと納税は各自治体の返礼品を自己負担2,000円でもらうことができるので、結果として返礼品の分だけおトクになるからです。

ふるさと納税の返礼品の還元率は最大30%ですので、たとえば5万円ふるさと納税をすれば1万5,000円の返礼品が自己負担2,000円でもらえることになります。返礼品には日用品もありますので、普段使うものをふるさと納税でもらえば、生活費の節約にもつながります。

ふるさと納税、いつ行うのがよい?

ふるさと納税自体には締め切りや期限がありませんが、毎年1月1日から12月31日の1年間で行ったふるさと納税について、翌年に手続きをすることで税金の控除が受けられるため、実際のところは年末に駆け込みで行われるケースが多いようです。年末になるとふるさと納税のCMをよく見かけるのは、年内のうちに控除手続きをすれば間に合うからです。

ふるさと納税を年末に行うメリットは、寄附の上限額を計算しやすいことです。
ふるさと納税では「寄附金控除」を利用することで自己負担額2,000円を超える金額を所得税・住民税から控除できます。しかし、自己負担額が2,000円になる金額には上限額があり、年収や家族構成により異なります。

自分のふるさと納税の上限額は、ふるさと納税ポータルサイトでシミュレーションできます。このとき、年末に勤め先からもらえる源泉徴収票の「支払額」を見れば、いくらまでふるさと納税を行ってよいのかが計算しやすくなります。ただ、年収のめどがついているならば、その金額で計算しても差し支えないので、大きなメリットとはいえないでしょう。

一方、ふるさと納税を年末に行うデメリットはいくつかあります。

ふるさと納税を年末に行うデメリット1:手続きが間に合わない

ふるさと納税を駆け込みで行おうとしたら、サイトにアクセスが集中してつながらなくなることもありえます。また、返礼品の中には期間が定められていたり、数量限定だったりする場合があるかもしれません。そのため、ふるさと納税を年末に行おうとすると、手続きが間に合わなくなる恐れがあります。なお、寄附の手続きが翌年にずれると、その年分としてのふるさと納税の扱いにならなくなるため、控除も翌年扱いとなってしまいます。

ふるさと納税を年末に行うデメリット2:返礼品を無駄にしやすい

年末に一度に何件もふるさと納税を行うと、たくさんの返礼品が一度に届いてしまいます。すると、「食料品がたくさん届いて食べきれない」「置き場所に困る」という状況になりかねません。また、年末になってふるさと納税を行わなければという気持ちが先走ってしまうと、返礼品選びに妥協してしまいがちです。

ふるさと納税を年末に行うデメリット3:ワンストップ特例の手続きまで日がない

ふるさと納税のワンストップ特例は、確定申告をしなくても寄附金控除が受けられる制度です。寄附先の自治体が1年間で5自治体以内・確定申告をしないなどの条件を満たせば利用できます。
ワンストップ特例をしたあと、控除を受けるには「寄附金税額控除に係る申告特例申請書」「マイナンバーカード(または個人番号と身分証)のコピー」を寄附先の自治体に提出する必要があります。この期限は、翌年の1月10日(必着)です。年末ギリギリでふるさと納税を行ったら、すぐに申請書を提出しなければなりません。期日を過ぎたら、確定申告をしないと控除が受けられなくなります。

このようにみてみると、ふるさと納税をあえて年末に行う意義は薄いことがわかります。

ふるさと納税を行うのにおすすめの時期は?

ふるさと納税を行う時期としておすすめなのは、「欲しい返礼品が手に入るタイミング」です。ふるさと納税の返礼品のなかには、季節限定のものや旬のものが多数あります。春夏秋冬、その時期の季節の品を申込むことで、返礼品の満足度もアップします。なにより、ふるさと納税を行う時期を分散すると、返礼品が届く時期も分散できるため、返礼品を無駄にしてしまうことも減らせます。

また、ふるさと納税は税金の控除があるとはいえ、先にお金を支払う必要があります。たとえばクレジットカード払いでまとめて12月に寄附をすると、翌月の請求が増えてしまうことがあります。ふるさと納税をする時期を分散しておけば、家計に負担をかけずに取組めるでしょう。

今回の改正でふるさと納税のおトク感が減ってしまったと思われる方もいるかもしれませんが、ポイントがもらえなくなったとしてもふるさと納税を行った方がよいことに変わりはありません。今後の動向にも注目しましょう。

  • 本ページは2025年11月時点での情報であり、その正確性、完全性、最新性など内容を保証するものではありません。また、今後予告なしに変更されることがあります。

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頼藤 太希

経済評論家・マネーコンサルタント

(株)Money&You代表取締役。中央大学商学部客員講師。早稲田大学オープンカレッジ講師。ファイナンシャルプランナー三田会代表。慶應義塾大学経済学部卒業後、アフラックにて資産運用リスク管理業務に6年間従事。2015年に現会社を創業し現職へ。日テレ「カズレーザーと学ぶ。(※現在は放送終了)」、フジテレビ「サン!シャイン」、BSテレ東「NIKKEI NEWS NEXT」などテレビ・ラジオ出演多数。ニュースメディア「Mocha」、YouTube「Money&YouTV」、Podcast「マネラジ。」、Voicy「1日5分でお金持ちラジオ」運営。「はじめての新NISA&iDeCo」(成美堂出版)、「定年後ずっと困らないお金の話」(大和書房)など書籍110冊超、累計190万部。日本年金学会会員。ファイナンシャルプランナー(CFP®)。1級FP技能士。日本証券アナリスト協会 認定アナリスト(CMA)。宅地建物取引士。日本アクチュアリー会研究会員。X(@yorifujitaiki)

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