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【この記事を読んでわかること】
保険選びで多くの方が「掛け捨て型」と「貯蓄型」のどちらを選んだらいいのか?という悩みを持つのではないでしょうか。実際のところどちらが最適なのかはライフプランや資金状況などによって異なります。今回は、掛け捨て型保険と貯蓄型保険の特徴やメリット・デメリット、さらにはどのような方に合っているのかも含めて詳しくご紹介しています。ぜひ、保険選びに活用してください。
生命保険には大きくわけて掛け捨て型と貯蓄型保険の2つがあります。それぞれどのような特徴があるのかを知り、保険選びに役立てましょう。
掛け捨て型保険は、保険期間中に死亡などの支払い事由に該当することが起きた場合、保険金や給付金が支払われる保険です。貯蓄性が低く、保険期間の途中で解約をしても返戻金がほとんどありません。また、満期まで加入したとしても受取れるお金はないことが一般的です。そのため、掛け捨て型ではない保険に比べると保険料が安い傾向にあります。手頃な保険料で大きな保障を得られるのが掛け捨て型保険の特徴です。
なお、掛け捨て型保険の保険期間については、一定期間を定める定期型と、一生涯保障が続く終身型の保険があります。
代表的な掛け捨て型保険
保険種類 | 保険期間 | 主な特徴 |
---|---|---|
定期保険 | 一定期間 | 保険期間内に死亡や所定の高度障害状態になった場合に 保険金を受取れる |
収入保障保険 | 一定期間 | 保険期間内に死亡や高度障害状態になった場合、 死亡した時(高度障害状態になった時)から保険の 満期までの間に年金形式で保険金を受取れる |
がん保険 | 一定期間または終身 | がんで入院や手術をした場合に給付金が受取れる |
医療保険 | 一定期間または終身 | 病気やケガで入院や手術をした場合に給付金を受取れる |
貯蓄型保険は、万一のときに備える保障と、将来の資産形成を目的とした貯蓄の両方を兼ね備えた保険です。保険料の一部を積み立てていくことにより、将来積み立てたお金を受取ることができます。養老保険や学資保険などは満期があり、満期時に保険金として受取ることが可能です。一方、満期のない終身保険などは、加入してから一定期間経過すると解約返戻金を受取れます。貯蓄型保険は貯蓄性がある分、保険料が割高になる傾向にあります。
代表的な貯蓄型保険
保険種類 | 保険期間 | 主な特徴 |
---|---|---|
終身保険 | 終身 | 死亡や高度障害状態になった場合に保険金が受取れる |
養老保険 | 一定期間 | 保険期間内に死亡や高度障害状態になった場合に保険金を受取れる または満期時に満期保険金が受取れる |
学資保険 こども保険 |
一定期間 | 子どもの入学や進学に合わせて満期保険金 または毎年の祝い金を受取れる |
個人年金保険 | 一定期間または終身 | 契約時に定めた年齢から年金が受取れる |
掛け捨て型保険は、一定期間内に万一のことがあった場合のみ保険金が支払われ、解約返戻金や満期保険金は基本的にないタイプの保険です。貯蓄性が低く、保険料が比較的低い傾向にあるため、保障を備えつつ、低コストでの加入が可能な保険といえます。
一方、貯蓄型保険は、保障が得られることに加え、保険料が掛け捨てにならないため解約返戻金や満期保険金が受取れる保険です。また貯蓄型保険は、解約返戻金を利用してお金を貸し付けてもらえる「契約者貸付」や、保険料の払込みが出来なくなった時に解約返戻金相当額から立て替えてもらえる「自動振替貸付」も活用できます。さらに保険料を払い込めなくなった場合でも保険を続けられる「払済保険」や「延長保険」も利用することができます。
掛け捨て型保険と貯蓄型保険の特徴を見てきましたが、結局どちらを選べばよいのでしょうか。それぞれメリット・デメリットを比較しながら検討しましょう。
掛け捨て型保険は、同じ保障内容や保険期間の貯蓄型保険に比べると保険料が安くなる傾向があります。そのため割安な保険料で大きな保障を準備したい場合に向いている保険といえます。
また、掛け捨て型保険は必ず満期が来る保険であるため、満期のタイミングに合わせた保障の見直しのしやすさもメリットといえます。例として、子育て期間中は掛け捨て型保険で大きな保障を得て、子育て終了後は保障額を下げて新たな保険に加入するといったような使い方ができます。
一方、デメリットとして挙げられるのは、保険期間中は保険金や給付金の支払事由に該当しない限りお金が受取れない上に、満期時もお金が戻ってこない点です。
また、貯蓄性が低いため、基本的には自動振替貸付や契約者貸付制度、払済保険や延長保険などといった制度も利用できません。保険期間中に保険料の支払いが厳しくなった場合や保険料を見直したい場合は、保障の減額、または保険や特約の解約をしなければならないことは、掛け捨て型保険のデメリットといえます。
まとめると次のようになります。
メリット
デメリット
貯蓄型保険は、支払い保険料の一部が積み立てられ、解約時や満期時に払い込んだ保険料の一部が受取れる保険です。保険料として定期的に支払うことで「半強制的に積み立てができる」点は貯蓄型保険のよさといえます。加えて、保険期間中に万一お金が必要になった時も、契約者貸付を利用すればお金の貸し付けが受けられます。さらに、予定利率や返戻率の高い保険に加入すれば、有利にお金を増やせるチャンスもあります。
一方、デメリットとしては、同じ保障内容や保険金額の掛け捨て型保険に比べると、保険料が割高になることが一般的です。また、途中解約すれば必ず返戻金を受取れるわけではなく、保険始期から一定期間内の解約は返戻金が発生しない、または発生してもごくわずかな場合がほとんどです。解約する時期によっては、払込保険料相当額を解約返戻金が下回ることもあります。
さらに、利率があらかじめ決まっているタイプ(利率固定型)の保険だと、将来の物価上昇に対して受取る保険金の金額が追いつかず、実質的に価値が下がってしまうことがあります。たとえば、「20年後に300万円戻る」貯蓄型保険の場合、今は300万円で車が買えますが、20年後同じ車がインフレで500万円になっていたとしたら、戻ってきた300万円の「実質的な価値」が下がってしまうということです。
まとめると次のようになります。
メリット
デメリット
上記でご説明したとおり、掛け捨て型保険と貯蓄型保険にはそれぞれメリットもあればデメリットもあります。どちらにしようか迷っている場合は、それぞれの保険の特徴を理解した上で、今の状況に合わせて選ぶのがよいでしょう。
それぞれの保険に向いている方の具体例を見ていきましょう。
このように掛け捨て型保険は「低コストで大きな保障を確保したい」、「貯蓄は保険ではなく自分で考えたい」という方に向いています。また、終身ではなく満期が来るタイプの保険に加入すれば、満期時は保険の見直しのチャンスです。保障の見直しのしやすさも、掛け捨て型保険ならではです。
貯蓄型保険は、保障と貯蓄を兼ね備えているという、掛け捨てじゃない保険としての魅力があります。「保障と資産形成を同時にしたい方」や「自分でお金を管理することが苦手な方」に向いている保険です。反対に「保障と貯蓄を切り分けたい方」や「短期間で解約する可能性のある方」には向いていない可能性が高いでしょう。
掛け捨て型保険は保険料が安く、大きな保障を低コストで得られるのが特徴です。一方、貯蓄型保険は満期や解約時に返戻金があり、保障と資産形成を両立できるのが魅力です。どちらを選ぶかは、今の状況や貯蓄額と照らし合わせて決めることが大切です。保険についてもっと詳しく聞きたい場合は、気軽にご相談してください。
お申込みに際しては、以下のご留意点を必ずご確認ください。
小沢 美奈子
ファイナンシャルプランナー
マネーライター。
家計および投資初心者の相談に実績あり。
大学卒業後、損害保険会社にて社員教育、研修講師などを経験。約12年間勤務後、外資系損害保険会社で営業に従事。会社員時代に取得したファイナンシャルプランナー資格を活かし2015年に事務所「KandBプランニング」を開業。
雑誌やWebのマネー記事執筆、セミナー講師、家計相談のほか、写真撮影も行う。趣味はカメラとバレエ。著著「本物の節約・残念な節約」(河出書房新社)