既往症とは?持病や既往歴との違い、加入できる保険と告知内容について解説

2026.1.9

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医療機関を受診する際、既往症(きおうしょう)について問診されたご経験はありませんか?もしくは、保険加入時の告知書で記入した、というご経験がある方もいるかと思います。

既往症とは「過去にかかったことはあるが、現在はすでに完治している病気やケガ」をさします。
医療機関や薬局を受診する際に目にすることが多い言葉ですが、生命保険の加入時にも健康状態を知らせるために、既往症を告知する必要があります。

本コラムでは、これから保険加入や見直しを検討されている方に向けて、「既往症」と「既往歴(きおうれき)」や「持病」など他の病歴との違いや、告知が必要な既往症の例、既往症や持病をお持ちの方でも加入できる保険について解説します。

既往症とは、すでに完治した病気のこと

既往症とは、「過去にかかったことはあるが、現在はすでに完治している病気やケガ」のことをいいます。「完治」していることがポイントで、過去に医師の診断や治療を受けた病気やケガであっても、それが現在の健康状態に影響をおよぼさず、治療の必要がない状態であれば、既往症に該当します。

「完治」の判断は、一般的に医師の診断に基づきます。具体的には、以下の状態を指すことが多いです。

  • 治療が終了し、医師から経過観察や再診の指示がない
  • 病気やケガの状態が安定しており、服薬や定期的な検査の必要がない
  • 後遺症がなく、日常生活に支障がない

ただし、保険加入においては、保険会社や加入を検討している商品によって「所定の期間、医師の診察や投薬を受けていない」ことを完治の基準とする場合もありますので、詳細を確認するようにしましょう。

既往症・既往歴・持病はどう違うの?

既往症と似た言葉に、既往歴や持病、現病歴といった言葉があります。それぞれの言葉の定義の違いをみていきましょう。

既往症と既往歴の違い

既往歴は「過去の病気やケガの履歴」をさし、既往症とほぼ同じ意味で使われる言葉です。
既往症は過去にかかった病気やケガそのものをさしているのに対して、既往歴は過去にどのような病気やケガをしてきたかの履歴をさしています。

既往症と現病歴・持病の違い

「現病歴」は現在も症状が続いている病気やケガをさします。なかでも「持病」は継続的に治療や服薬を行っている慢性的な疾患をさします。
「既往症」は過去に患い、現在は完治している病気やケガをさすのに対して、「持病」は過去に患い、現在も治療を続けている病気やケガをさすのが大きな違いです。
たとえば、6年前に胃潰瘍になったものの、現在は完治している場合は「既往症」に該当しますが、高血圧症の治療で6年前から現在に至るまで血圧の薬を飲んでいる場合は「現病歴」かつ「持病」に該当します。

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用語 定義 状態 保険加入時の告知の扱い 代表的な例
既往症 過去に患い、すでに完治している病気やケガ 治療の必要がなく、完治している 告知書の質問事項や期間に該当すれば告知が必要 胃潰瘍、肺炎、がん(悪性新生物)、骨折など
既往歴 過去の病気やケガの履歴 治療の必要がなく、完治している病気やケガの履歴 告知書の質問事項や期間に該当すれば告知が必要 胃潰瘍、肺炎、がん(悪性新生物)、骨折など
持病 現在も治療中、もしくは症状が継続している病気や慢性的な疾患 通院や服薬などの治療が必要 必ず告知が必要 高血圧症、糖尿病、喘息など

既往症に該当するのはどんな病気?

一般的に、症状が一時的なもので、後遺症のリスクがない風邪や軽度のケガは既往症には含まれません。
一方で、がんや脳卒中などの大病や、手術や入院を伴うケガ、出産経験やアレルギーなどが既往症に含まれます。

具体的な既往症の一例としては、以下が挙げられます。

  • 胃潰瘍
  • 不整脈
  • 肺炎
  • 骨折
  • がん(再発の可能性が限りなく低く、完治と認められるもの)

既往症があっても保険に加入できる?

既往症があると「保険に入れないのでは…」と不安に感じる方もいるかもしれません。しかし、既往症があっても完治から一定期間の年数が経過していれば、通常の保険に加入が可能です。
また、既往症や持病があっても、加入できる保険は存在します。健康状態の告知義務と合わせて、既往症や持病があっても加入できる保険について解説します。

なぜ保険加入時に既往症の告知が必要なの?

生命保険や医療保険に加入する際は、健康状態を保険会社に正しく伝える「告知義務」があります。
保険制度は相互扶助の仕組みで成り立っていることから、「公平性の原則」を保つため、健康状態を正確に申告する必要があるのです。

保険加入時においては、主に以下の内容について告知が必要です。

  • 直近3カ月以内の診察・検査・治療・投薬の有無
  • 過去5年以内の入院・手術・通院の有無
  • 過去2年以内の健康診断での異常指摘の有無
  • 障害の有無や、特定の重い病気(がん、心疾患、脳卒中など)の治療歴

完治している既往症であっても、指定された期間内に治療を受けていた場合は告知が必要となります。
告知書は保険会社によって内容が異なるため、加入を検討している場合、告知書の質問内容を確認するようにしましょう。

既往症や持病を隠すとどうなる?「告知義務違反」のリスク

もし、故意または重大な過失によって既往症や持病を正しく告知しなかった場合、それは「告知義務違反」となります。
告知義務違反が発覚した場合、保険会社は契約を解除することができ、その結果、保険金や給付金が支払われなくなります。

加入時に虚偽報告をしても、保険金や給付金の請求時に、過去の医療記録が調査されます。その結果、既往症に関連する病気やケガで治療を受けていたことが判明すると、告知義務違反とみなされます。

告知義務違反によって万が一の備えである保険金を受取れなくなっては元も子もありません。必ず正確に告知するようにしましょう。
どこまで告知をしたらいいか悩む場合は、保険会社に相談するようにしましょう。

既往症や持病があっても加入しやすい保険

既往症や持病がある方でも加入しやすい保険として、以下の3つが挙げられます。

  • 特別条件付き契約:一般の保険に、特定の条件を付けて加入する契約形態 ※審査次第で保険会社から提示
  • 引受基準緩和型保険:加入時の審査がゆるやかな、告知の質問が少ない保険
  • 無選択型保険:保険料は高くなるものの、告知や医師の診断なく加入できる保険

それぞれの特徴を解説していきます。

特定の疾病や部位を保障対象外にする「特別条件付き契約」

「特別条件付き契約」は、保険会社による審査の結果申込み内容での加入が難しいと判断された場合、一般的な保険商品に特定の条件や制限をつけることで契約を可能にするものです。既往症や持病といったリスクのない人との間での公平性を担保するため、引き受ける代わりに制限を設ける代案を提示するのです。例えば保障内容が制限されたり、保険料が割増しされたりしますが、条件以外は健康な人と変わらない保障を受けることができます。主に、以下のような条件や制限があります。

<特別条件付き契約の条件>

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特定疾病

特定部位

特定障害不担保

特定の疾病や部位、障害状態について、一定期間または全期間保障の対象外とするもの
期間中はその疾病や部位、障害状態に関連する保険金が支払われず、

特定の障害状態になると、保険料の払込みも免除されない

保険料の割増し 既往歴や健康状態から発症リスクが高いと判断された場合、保険料が割増しになる
保険金の削減 契約後、一定期間内に入院や所定の高度障害状態になった場合に、保険金や給付金が削減される

持病があっても入れる「引受基準緩和型保険」

引受基準緩和型保険は、一般的な保険よりも加入時の審査が緩和され、告知項目が少なく設定されている保険です。「限定告知型保険」とも呼ばれます。
持病や既往症があっても加入しやすく、加入前の持病も保障対象になります。ただし、一般の保険に比べて保険料が割高で、保障内容が限定的になる場合もあります。

告知が不要な「無選択型保険」

無選択型保険は、健康状態の告知や医師の診断が不要な保険です。告知の必要がないため、持病や既往症があっても問題なく加入できます。
しかし、一般の保険に比べ保険料は高く、保障内容が制限されていたり、保険金や給付金の上限額が低めに設定されていたりするなど、加入のハードルは低いものの、懸念点も多くあるため、慎重に検討する必要があります。

既往症の種類や完治からの期間で一般の保険に加入できる可能性も

既往症があるからといって、はじめから特別条件付き特約や、引受基準緩和型保険に絞って選ぶ必要はありません。もちろん、前述の告知内容に合致している場合は第一選択肢として選ぶこともあるかもしれません。ですが、過去にがんや脳卒中の既往症があったとしても、それが完治し、完治から5〜10年以上時間が経っている場合は一般の保険に加入できる可能性は十分にあります。

ご自身の健康状態と告知内容をしっかり確認し、加入可能かを検討するようにしましょう。

既往症や告知について相談したい方は、気軽に無料相談・来店予約を

生命保険や医療保険は、万が一に備え、将来の生活を守る選択肢の1つです。健康で元気なうちに加入していればいいですが、なかには病気やケガになってから保険の必要性を痛感したという方もいらっしゃるでしょう。

病気やケガの治療歴があったとしても、ご紹介した通り加入できる保険は存在します。
しかし、「自分の既往症や持病が告知をしないといけないのか判断がつかない」、「そもそも過去に入院した時期がいつだったか思い出せない」など、1人では不安になることもあるでしょう。

そんなときは、保険の専門家に相談するようにしましょう。あなたの健康状態を鑑みて、最適な保険選びをサポートしてくれます。

本コラムが、既往症や持病について理解を深めるとともに、ご自身の健康状態や望む保障にあった保険選びの一助になれば幸いです。

  • 本ページは2026年1月時点での情報であり、その正確性、完全性、最新性など内容を保証するものではありません。また、今後予告なしに変更されることがあります。

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西尾 愛奈

FPサテライト所属ファイナンシャルプランナー

東京都出身。大学卒業後、医療設備メーカーに勤務し、広報や営業推進業務に従事。結婚を機に、生きていくうえで欠かすことのできない「お金」について学びたいと思い、2級FP技能士、AFPを取得。現職の知識を活かし、医療に強く、お金の基礎知識を広めるFPとして活動している。医療分野の執筆業務を得意とし、ふるさと納税をテーマにしたセミナー開催の実績がある。

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