個人事業主、フリーランスだからこそ今すぐ始めたい自分年金の作り方
執筆者:ファイナンシャルプランナー(CFP)|黒須 かおり
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個人事業主やフリーランスの方で老後にどのくらい準備したらいいのか、計算して事前に準備している人は少ないようです。しかし、誰にでも等しく老後はやってきます。個人事業主、フリーランスだからこそ知っておきたい自分年金の作り方をご紹介します。
- そもそも、老後の生活費はどのくらいかかる?
- 個人事業主、フリーランスは国民年金だけ
- 今すぐ始めたい年金作り その1 「iDeCo(個人型確定拠出年金)」
- 今すぐ始めたい年金作り その2「国民年金基金」
- 今すぐ始めたい年金作り その3「付加年金」
- 今回のまとめ
そもそも、老後の生活費はどのくらいかかる?
総務省統計局が発表する「家計調査報告」によると、高齢夫婦(無職世帯)の1ヶ月の支出は約26万7,000円です。
この支出金額は、持ち家の前提なので、住居費用は含まれていません。もし、老後も賃貸物件に住み続けるのであれば、この金額に家賃想定分を上乗せして考えなければならないでしょう。
個人事業主、フリーランスは国民年金だけ
会社員・公務員であれば、国民年金の上乗せとして、厚生年金がありますが、個人事業主やフリーランスの場合は、国民年金だけしか受け取ることができません。国民年金は収入金額には一切関係なく、加入期間の長さのみによって支給金額が決まります。
例えば20歳~60歳までの40年間(480ヶ月)きちんと保険料を払い続けたとすると、平成29年度の受給金額は年間77万9,300円、1ヶ月の受給金額は6万4,941円です。26万7,000円と比較すると約20万円の赤字ですよね。しかし、この金額も確定されているわけではないのです。
2016年12月に年金制度改革法案が可決されました。この法案は、通称「年金カット法案」とも呼ばれていて、将来の年金額にとても大きく関わる法案です。この法案により、20年、30年後の年金支給額は、現在受給している人の金額に比べて7割程度の金額になってしまう可能性があります。国民年金だけしか受給できないとなると、将来の生活設計を立てるのも難しくなってしまいそうです。
今後の公的年金に不安があるとしても、自分ではどうすることもできません。であるなら、その分を自分で何かしらの方法で準備しておく必要があるのです。
特に、個人事業主、フリーランスの人は、公的年金だけではとても足りないでしょう。そのための老後資金準備として始めやすい3つの方法をご紹介します。
今すぐ始めたい年金作り その1 「iDeCo(個人型確定拠出年金)」
iDeCoには3つの税制メリットがあります。
1つ目は、積み立てた掛け金が全額所得控除となり、節税対策として有効です。
2つ目は運用している期間は、投資して得た運用益は非課税となります。通常、投資で得られた利益には20.315%の税金がかかりますが、その分の税金がかかりません。
3つ目は、受け取るときにも税制面で優遇されています。一時金で受け取る場合「退職所得控除」、年金形式で受け取る場合「公的年金等掛金控除」を受けることができます。
メリットについて詳しくは、はじめての個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)基本の「き」をご覧ください。
はじめての個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)基本の「き」
2017年から誰でも加入できるようになった個人型確定拠出年金、「iDeCo(イデコ)」。
iDeCoは掛け金を自身で積み立て、予め用意された金融商品を運用して60歳以降に受け取ることのできる年金です。毎月いくら積み立てるか、運用する商品はどれにするか、60歳以降でどのように受け取るかも自分で選択することになります。
個人事業主、フリーランスの第1号被保険者は毎月5,000円から6万8,000円まで1,000円単位で積み立てる金額を選ぶことができます。運用する商品は、定期預金、保険、投資信託の中から選べます。
税制面でとても優遇されているiDeCoですが、注意点として手数料がかかります。
加入時に2,777円(税込)、毎月167円(国民年金基金連合会に103円+信託銀行に64円)などの手数料がかかるのに加え、加入する金融機関に支払う手数料が発生します。
特に毎月かかる「口座管理料」は重要で、金融機関によって0円のところから500円程度のところまであってまちまちです。
イオン銀行であれば口座管理手数料は無条件で無料なので、毎月の手数料167円(税込)しかかかりません。
毎月数百円の手数料も、長期間になれば高額になります。事前に口座管理手数料など確認しておきましょう。
今すぐ始めたい年金作り その2「国民年金基金」
国民年金基金とは掛け金が全額所得控除となり、節税対策としても有効です。
例えば、課税所得金額が400万円で、国民年金基金の掛金が年額30万円の場合、約9万円が所得税・住民税から軽減されます。
会社員・公務員の厚生年金のように、国民年金に上乗せする年金であり、個人事業主やフリーランスの国民年金の第1号被保険者のみが加入することができます。
国民年金基金には「職能型基金」と「地域型基金」の2種類があります。
「職能型基金」というのは、医師、歯科医師、弁護士などのように25種類の職業ごとに加入できる基金を指し、「地域型基金」とは47都道府県に設立されていて、同一の都道府県に住所があれば加入できる基金を指します。
どちらか一方の基金しか加入することができません。国民年金基金の加入は口数制となっていて、年金額や給付の型など自分で選択することができます。最初の1口目だけは終身年金のA型、B型から選択します。さらに上乗せのための2口目からは給付期間の異なる7種類から選択することになります。
型 | 将来もらえる年金の期間 | 保証期間 | |
---|---|---|---|
1口目 | 終身A型 | 65歳から死亡まで | 65歳から15年間 |
終身B型 | 65歳から死亡まで | 保証期間なし | |
2口目 | 終身A型 | 65歳から死亡まで | 65歳から15年間 |
終身B型 | 65歳から死亡まで | 保証期間なし | |
確定Ⅰ型 | 65歳から15年間 | 65歳から15年間 | |
確定Ⅱ型 | 65歳から10年間 | 65歳から10年間 | |
確定Ⅲ型 | 60歳から15年間 | 60歳から15年間 | |
確定Ⅳ型 | 60歳から10年間 | 60歳から10年間 | |
確定Ⅴ型 | 60歳から5年間 | 60歳から5年間 |
今すぐ始めたい年金作り その3「付加年金」
付加保険料月額400円を支払うことで、将来の年金に上乗せできる年金です。受け取るときには、「200円×付加保険料を納付した月数」の金額が毎年加算されます。
例えば20歳~60歳までの40年(480ヶ月)付加保険料を払ったとすると、支払った保険料総額は19万2,000円です。加算される年金額は、200円×40年(480ヶ月)で9万6,000円になります。この加算金額は毎年もらえます。およそ2年で元が取れます。
20歳から始めた場合
- 納める額
月400円 x 40年(480ヶ月)=19万2,000円 - もらう額(1年あたり)
月200円 x 40年(480ヶ月)=9万6,000円
40歳から始めた場合
- 納める額
月400円 x 20年(240ヶ月)=9万6,000円 - もらう額(1年あたり)
月200円 x 20年(240ヶ月)=4万8,000円
申し込む場合は、居住地のある区役所、市役所などで手続きができます。しかし、国民年金基金と同時に加入することはできず、どちらかの選択制になりますので注意が必要です。
以上、個人事業主、フリーランスは国民年金だけですので、自分の老後の生活を豊かにするために、今から手を打っておく必要があります。たくさんの選択肢がありますが、自分のライフプランにあった自分年金の作り方を選びましょう。
今回のまとめ
- 個人事業主、フリーランスは国民年金のみ加入している
- 国民年金の現在の毎月支給額は約6万5,000円
- 年金制度改革法案により将来の年金は減る現行支給額の7割の可能性
- 公的年金の上乗せとしてiDeCo、国民年金基金、付加年金を検討しよう
- ※ 本ページは2018年2月時点での情報であり、その正確性、完全性、最新性等内容を保証するものではありません。また、今後予告なしに変更されることがあります。
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