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大人の歯列矯正は医療費控除対象外?目的によっては医療費控除対象に!

歯並びが整っていることは、見た目の良さだけではなく健康にも影響します。
歯磨きをしても歯ブラシが届きにくいところがあれば、虫歯や歯周病になりやすいと言われています。また、嚙み合わせが悪いと、しっかり噛めないため胃腸に負担がかかったり、肩こりの原因になったりすることもあります。

そのため、大人になってからも歯列矯正を検討している人は少なくありません。
ただ、費用面で迷う場合もあるのではないでしょうか。今回は、費用負担を軽くできる、医療費控除についてお伝えします。

歯列矯正を検討する大人は意外と多い?

新型コロナウイルス感染拡大の防止対策のため、生活環境が一変しています。仕事は在宅でリモートワーク、買物はインターネット、外食は控えてテイクアウトや宅配と、外出をせずに多くのことができるようになっています。
そして、外出時はマスク着用が欠かせなくなりました。

このような状況は、実は歯列矯正には良いタイミングと言えます。
歯列矯正中は口の中に器具を装着することになりますが、できれば見られたくないと考える人は少なくありません。また、食事の際には食べ物が挟まりやすいため、外食を控えたいものですが、大人になればお付き合いもあって思う通りにはいかないのではないでしょうか。

しかし、コロナウイルス感染拡大防止のためとはいえ、今は口元が人目につかない状況です。
この間に歯列矯正をしておくのは、ちょうどいいのではないでしょうか。
とは言え、歯列矯正は治療費が高額になりがちです。そのため、なかなか治療に踏み切れない人も多いようです。そこで考えていただきたいのが、医療費控除です。
医療費控除が使えれば、治療費の負担を軽くすることができます。

医療費控除の対象は治療目的の費用

医療費控除は所得控除のひとつ。利用することで、所得税と住民税を安くできる場合があります。
治療費がかかっても、税金が安くなればトータルで支出を抑えることができるので、医療費が高くなった場合にはぜひ活用したいですね。

では、所得税・住民税と、医療費控除について確認していきましょう。
所得税・住民税は、所得に対してかかります。所得とは大まかに言って、給与所得から所得控除を差し引いて計算されたものです。
課税所得=給与所得-所得控除

そして、税金は課税所得に税率をかけて計算されます。
税金=課税所得×税率

ですから、収入が多くても所得控除も多ければ所得が抑えられ、税金も安くすることができるというわけです。
所得控除は医療費控除のほか、配偶者控除や生命保険料控除など15種類あります。対象にできるものはもれなく利用して、節税に生かしましょう。

医療費控除は、かかった医療費のうち10万円を超えた金額が対象です。所得が200万円未満の場合は、所得の5%を超えた金額になります。
ただし、医療費からは保険金などで補てんされる金額を差し引いて計算します。
また、医療費控除の最高額は200万円です。
医療費控除額=(医療費-保険金など)-10万円

医療費控除の対象になる医療費は、健康保険の対象外も含みます。歯科治療は保険のきかない自由診療が多く、治療費が高額になることも少なくありませんが、治療のための医療費であれば、医療費控除の対象になります。

ただし、美容目的の場合は医療費控除の対象にはならないことに注意が必要です。
美容目的のつもりでも、歯科で診察・検査をしてみたところ機能的な問題が見つかり、治療として歯列矯正をすれば、それは治療目的なので医療費控除の対象になります。
歯並びが気になっているなら、まずは歯科を受診して相談してみるといいのではないでしょうか。

医療費控除の負担軽減効果は?

実際に歯列矯正をして、医療費控除を利用した場合を考えてみましょう。

ケース1:部分矯正50万円

医療費控除=50万円-10万円=40万円
医療費控除額は40万円です。
所得税率が20%の場合、40万円の20%で8万円、住民税は税率10%なので4万円、合計で12万円の節税効果があります。

ケース2:マウスピース矯正100万円

医療費控除=100万円-10万円=90万円
医療費控除額は90万円です。
所得税率が20%の場合、90万円の20%で18万円、住民税は税率10%なので9万円、合計で27万円の節税効果があります。

高額な歯科治療を受けるには、デンタルローンを利用するという選択肢もあります。
デンタルローンであれば、治療費を借入れた後の支払いを無理のない金額に設定することができるので、治療を始める時点で貯蓄がなくてもすぐに治療を始められます。
歯科医院でデンタルローンを用意しているところもありますが、金利やご利用金額、返済年数などを比較し、納得のできるところで利用しましょう。

注意点としてはデンタルローンの支払いが複数年にわたったとしても、医療費控除が受けられるのは治療費が発生した年のみが対象です。
また、金利・手数料は医療費控除の対象外です。

歯列矯正は美容、それとも治療?

医療費控除の対象は、歯並びの症状や歯科医師の判断などによって異なります。
当初は美容目的でも、治療目的での歯列矯正になることもありますが、専門的な判断になりますので詳しくは歯科医院、税務署に確認すると確実です。

医療費控除として申告するには、確定申告をします。
その際、治療費の証明になる領収証が必要ですが、デンタルローンを利用した場合には領収証が発行されないケースもあります。その場合には、デンタルローンの契約書や、ローン会社の領収書を保存しておきます。

今回のまとめ

  • コロナ禍は、実は歯列矯正にいいタイミング
  • 医療費控除を利用すると税金が安くなり、総支出額の負担を減らせる
  • 医療費控除は治療目的なら対象、美容目的は対象外
  • 美容目的のつもりが、診察・検査の結果で治療目的になる場合もある
  • 本ページは2021年9月時点での情報であり、その正確性、完全性、最新性等内容を保証するものではありません。また、今後予告なしに変更されることがあります。

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ファイナンシャルプランナー(AFP) タケイ 啓子

ファイナンシャルプランナー(AFP)。36歳で離婚し、シングルマザーに。大手生命保険会社に就職をしたが、その後、保険の総合代理店に転職。保険の電話相談業務に従事。43歳の時に乳がんを告知される。治療を経て、現在は治療とお金の相談パートナーとして、相談、執筆業務を中心に活動中。FP Cafe登録パートナー

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