子育て世代必見!国の支援制度を最大限活用しよう
執筆者:ファイナンシャルプランナー(CFP)|高山 一恵
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「人生の三大資金」と呼ばれる教育資金・住宅資金・老後資金。このうち教育資金は、子どもの進路によって変わるものの、大学まで進学するならば幼稚園から大学まで全て公立で約1,000万円、全て私立なら2,000万円以上必要。子育て世代には何かとお金が必要です。
とはいえ、国には子育て世代を支援する制度がいろいろあるのも事実。今回は、国の主な支援制度をひとつずつ紹介します。ぜひ最大限活用しましょう!
- 子育て世代の支援制度①:児童手当
- 子育て世代の支援制度②:幼児教育・保育の無償化
- 子育て世代の支援制度③:就学援助
- 子育て世代の支援制度④:高等学校等就学支援金
- 子育て世代の支援制度⑤:授業料等減免と給付型奨学金
- 子育て世代は国の支援制度を最大限活用しよう!
子育て世代の支援制度①:児童手当
児童手当は、中学校卒業までの子どもを養育する人に支給される手当です。支給額は、
3歳未満 | 一律1万5,000円 |
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3歳以上小学校修了前 | 1万円(第3子以降は1万5,000円) |
中学生 | 一律1万円 |
となっています。毎年6月・10月・2月に前月までの4カ月分が支給されます。
子どもが生まれたときは、出生日の翌日から15日以内にお住まいの自治体に申請を行うことで、翌月分から受け取ることができます。なお、申請が遅れると支給も遅れ、遅れた月分の児童手当は受け取れなくなるので、早めに申請しましょう。
ただし、世帯主の年収がおよそ960万円(専業主婦(夫)と子ども2人を扶養している場合)を上回る場合は「特例給付」といって、月額5,000円に減額されます。さらに2022年10月以降、世帯主の年収が1,200万円以上の場合は特例給付もなくなります。
児童手当を全額受け取れる場合、中学校卒業までにおよそ約200万円が貯められる計算です。教育費のピークは大学入学時ですから、それに向けて使わずに貯めておくのがおすすめです。
子育て世代の支援制度②:幼児教育・保育の無償化
2019年10月から「幼児教育・保育の無償化」がスタートしています。3歳〜5歳の子どもが幼稚園・保育所・認定こども園などに通う際の利用料が無料となります。住民税非課税世帯の場合はさらに0歳〜2歳の子どもの利用料も無料になります。幼稚園の預かり保育や認可外保育施設等については、全額無料ではありません。幼稚園の預かり保育は、幼稚園の利用に加え、その利用日数に応じて、最大月額1万1,300円までの範囲で利用料が無料になり、認可外保育施設等では、3歳〜5歳の子どもの利用料は月額3万7,000円まで無料、0歳〜2歳まで子どもの利用料は住民税非課税世帯について月額4万2,000円まで無料になります。
ただし、幼稚園、保育園の利用料が無料といっても無料になるのはあくまで利用料で、通園送迎費・食材料費・行事費といったその他の費用は負担する必要があります。とはいえ、家計にはありがたい制度。子どもが生まれても小さいうちはかかるお金が比較的少ない「お金の貯めどき」ですから、利用料の分も含めてしっかり貯めておきましょう。
子育て世代の支援制度③:就学援助
就学援助は、小学校・中学校でかかる費用を援助してくれる制度です。援助の内容や金額、は自治体によって異なりますが、学用品費、学習支援費、給食費、修学旅行費、卒業アルバム費など、さまざまな費用の援助が受けられます。
就学援助の対象になる世帯は、生活保護を受けている世帯(要保護者)と、それに準ずると教育委員会が認める世帯(準要保護者)。文部科学省によると、令和元年度は要保護者が約10万人、準要保護者が約124万人とのこと。意外と多くの世帯が対象になっていることがわかります。
援助を受けられる所得の基準(認定基準所得額)は世帯の人数や家族構成で異なります。たとえば、東京都文京区の場合の目安は、
父35歳、子小4 | 約295万円 |
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父35歳、母32歳、子小4 | 約377万円 |
父35歳、母32歳、子小4、子4歳 | 約414万円 |
父45歳、母42歳、子17歳、子中2 | 約453万円 |
父40歳、母37歳、子中2、子小4、祖母64歳 | 約507万円 |
となっています。
就学援助の案内は多くの場合、学校を通じて行われます。自分が該当しそうであれば、忘れずに申し込みましょう。
子育て世代の支援制度④:高等学校等就学支援金
高等学校等就学支援金は、日本に住んでいる子どもが高校に通う際の授業料を支給してくれる制度です。全国の約8割の生徒が利用しています。支給される金額は、公立高校の場合は11万8,800円、私立高校の場合は最高で39万6,000円です。これにより、国公立高校の授業料負担は実質0円に。私立高校の授業料負担もだいぶ軽減できるでしょう。
ただし、目安の年収が590万円以上になると、支給される金額は公立高校でも私立高校でも一律で11万8,800円になり、910万円以上になると対象外となり支給されなくなります。
高等学校等就学支援金も、入学時に学校から案内がありますので、忘れずに申請を行いましょう。
子育て世代の支援制度⑤:授業料等減免と給付型奨学金
2020年4月から、大学や専門学校などに通う学生が安心して学ぶことができるよう、授業料等の減免と給付型奨学金の支給の2つの支援が用意されています。
対象となるには、世帯収入の要件を満たしていることと、進学先で学ぶ意欲があることが必要です。世帯収入の要件は「住民税非課税世帯及びそれに準ずる世帯」となっていて、家族構成によっても変わります。
また、支援を受けられる金額は、世帯収入・学校の種類・自宅か一人暮らしかなどによって変わります。たとえば、住民税非課税世帯の場合、
私立大学に自宅以外から通う場合
入学金 | 上限約26万円 |
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授業料 | 上限年約70万円 |
給付型奨学金 | 年約91万円 |
私立専門学校に自宅から通う場合
入学金 | 上限年約16万円 |
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授業料 | 上限年約59万円 |
給付型奨学金 | 年約46万円 |
となっています。なお、住民税非課税世帯に準ずる世帯の学生への支援額は、この2/3または1/3の金額となります。
また「学ぶ意欲」は高校の成績だけでなく、レポートなどで評価されます。そのうえ、進学後もしっかり勉強しないと支援が打ち切りになるので、真面目に勉強するよう伝えましょう。
子育て世代は国の支援制度を最大限活用しよう!
子育て世代がぜひ活用したい支援制度を紹介してきました。生まれたときから大学まで、支援制度が意外と充実していると思われた方も多いのではないでしょうか。もっとも、これらを利用してもらえたお金、浮いたお金を使ってしまうのでは、せっかくの支援制度の意味がありません。お金は積立投資に回して、将来のためにしっかりお金を増やしていきましょう。
将来に向けて着実にお金を増やしていく時にぜひ利用したいのが1,000円から始められて、必要になったときにいつでも解約できる「つみたてNISA」(積立NISA)です。
つみたてNISAは、年間40万円までの投資で得られた利益を最長20年間非課税にできる制度です。たとえば、投資で100万円の利益が出たとき、通常は20.315%の税金が引かれるため、受け取れる金額は79万6,850円になってしまいます。しかし、つみたてNISAで投資すれば、100万円を丸ごと受け取れるのです。税金を抑えて、利益を増やせるというわけです。
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まとまった金額が必要になる教育資金。国の教育支援制度やつみたてNISAを活用してお金を賢く増やし、計画的に貯めていくことをおすすめします。
- ※ 本ページは2022年1月時点での情報であり、その正確性、完全性、最新性等内容を保証するものではありません。また、今後予告なしに変更されることがあります。
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