児童手当“拡充”と扶養控除“縮小”の変更点は?世帯の手取り額はいくら増えるのか【年収別・シミュレーション付き】

2024.10.16

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【この記事を読んでわかること】

  • 2024年10月より児童手当が拡充。新たに高校生も支給対象になるほか、第3子以降の金額倍増、所得制限の撤廃などが行われる
  • 一方で、高校生に対する扶養控除の縮小も議論されている。扶養控除が縮小すると高校生を育てる世帯の所得税・住民税が増える
  • 扶養控除が縮小された場合、夫婦片働きで子ども1人(高校生)、給与収入500万円世帯の実質の手取り増額は年9.2万円

子育てには何かとお金がかかるから心配…。その経済的不安を軽減するための「児童手当」が2024年10月より拡充されます。しかし、児童手当の拡充と並行して、子どもを扶養していることで得られる「扶養控除」が今後縮小される可能性も。せっかく児童手当がもらえても、扶養控除が縮小してしまうと税金が増え、児童手当の恩恵が少なくなってしまいます。
今回は、2024年10月からの児童手当拡充のポイントと検討されている扶養控除縮小の変更点をご紹介。児童手当拡充・扶養控除縮小によって、世帯の手取り額がいくら増えるのかの年収別・試算表も公開します。

児童手当はどう拡充される?

児童手当は、養育する子どもがいる世帯に対して給付される手当です。2024年10月より児童手当の制度が拡充されます。

<児童手当の主なポイントと変更点>

 2024年9月分まで
(拡充前)
2024年10月分から
(拡充後)
受給額・0~3歳未満:月1万5,000円
・3歳~小学生:月1万円
・中学生:月1万円
・0~3歳未満:月1万5,000円
・3歳~小学生:月1万円
・中学生:月1万円
・高校生:月1万円
第3子以降・3歳~小学生:月1万5,000円
※18歳の年度末までの養育している児童のうち、3番目以降
・0〜高校生:月3万円
※22歳の年度末までの養育している児童のうち、3番目以降
所得制限ありなし
支給回数年3回(2・6・10月に4カ月分ずつ)年6回(偶数月に2カ月分ずつ)

(株)Money&You作成

表内、赤字の部分が主な変更点です。

①高校生も受給できるようになる
これまで、児童手当の支給期間は0歳から中学3年生まででした。2024年10月分以降は新たに高校生(厳密には、18歳の誕生日以後の最初の3月31日(18歳の年度末)まで)も対象になり、月1万円の児童手当をもらえます。

②第3子以降の金額が倍増し、対象も拡大する
児童手当は、第3子以降の児童手当の金額が増額します。増額の対象はこれまで3歳~小学生のみで、増額も5,000円のみ(=月1万5,000円になる)でした。その点、2024年10月分以降は0歳から高校生までが対象になり、増額も1万5,000円(=月3万円になる)と倍増します。

ただし、「第3子」の数え方には注意が必要です。
2024年9月分までは、子どもとして数える期間は「18歳の年度末までの養育している児童のうち、3番目以降」となっています。ですから、たとえば18歳・12歳・6歳の3人きょうだいのうち、18歳の子が高校を卒業すると、6歳の子は「第2子」になるため、児童手当の増額が受けられません。
2024年10月分以降、子どもとして数える期間は「22歳の年度末」に変わりますが、数え方は同じです。3人きょうだいが22歳・16歳・10歳となるまでは、10歳の子は「第3子」ですが、一番上の子が22歳の年度末を過ぎると、10歳の子は「第2子」となり、児童手当の増額が受けられなくなります。

③所得制限が撤廃される
2024年9月分までの児童手当には所得制限がありました。夫婦どちらかの所得が一定以上になると「特例給付」として金額が月5,000円に減額されたり、支給自体が停止されたりしていたのです。
2024年10月分以降はこの所得制限がなくなりますので、子育て世帯であれば所得に関係なく児童手当がもらえるようになります。

④支給回数が年3回から年6回に
2024年9月分までの児童手当は、6月・10月・2月の年3回に、その前月までの4カ月分がまとめて支払われていました。2024年10月分以降は、偶数月にその前月までの2カ月分が支払われるようになります。たとえば2024年12月には、2024年10月分と11月分の2カ月分が支払われます。

高校生の扶養控除が縮小する?

児童手当の拡充の一方で、高校生に対する扶養控除が縮小される可能性があることにも注意しましょう。

扶養控除は、扶養親族がいる場合に適用できる控除です。高校生の子どもを扶養している親は、扶養控除によって所得税の計算の元となる所得を年間38万円、住民税の計算の元となる所得を年間33万円差し引くことができます。
2024年度の税制改正大綱によれば、政府は所得税の控除額を年38万円から25万円に、住民税は33万円から12万円に引き下げることを検討しています。

つまり、扶養控除が縮小するということは、その分所得税や住民税の負担が大きくなることを意味します。

かつて、児童手当(旧民主党政権時代の「子ども手当」)の制度が創設されたときも、それまで15歳までの子を育てる人に適用されていた扶養控除(年少扶養控除)が廃止されました。

高校生に対する扶養控除の縮小はまだ決定していません。
2025年度の税制改正で、2026年分(令和8年分)以降の所得税と2027年度分(令和9年分)の住民税に扶養控除の縮小を適用するかが検討されます。

結局、いくら世帯の手取りは増えるのか

もらえる児童手当が増える一方で、支払う所得税・住民税が増えてしまうとなると、気になるのは、いくら手取りが増えるのかです。
扶養控除が縮小された場合、夫婦片働きで子ども1人(高校生)、年収300万円〜1,500万円世帯に児童手当が支給されることによる実質の手取り増額の目安は次のようになります。

<年収別・児童手当と扶養控除が縮小された場合の実質の手取り増額試算表>

給与収入の目安児童手当(年額)扶養控除が縮小された場合の増税分(年額)実質の手取り増額(年額)
300万円12万円2.8万9.2万
400万円
500万円
600万円3.4万8.6万
700万円
800万円4.8万7.2万
900万円
1,000万円
1,100万円
1,200万円5.2万6.8万
1,300万円
1,400万円6.5万5.5万
1,500万円

※現在検討されている扶養控除の縮小が適用された場合の試算になります
現時点で確定しているものではございません

(株)Money&You作成

児童手当の年額は年収に関わらず12万円です。しかし、年収が増えると扶養控除の控除額減少することによって税金も増加します。そのため、実質の手取り増額分は減ってしまいます。上の表のとおり、扶養控除が縮小した場合年収が高くなるにしたがって段階的に実質の手取り増額分が減っていくことがわかります。

年収の高い世帯ではこれまで、所得制限のせいで児童手当が少なく(もらえなく)なっていました。それが今後はもらえるようになるとしても、手取りが単に12万円増えるわけではなく、年収によっては実質の手取り増額6万円程度です。

厚生労働省「人口統計調査」の速報値によると、2024年の1月~6月に生まれた赤ちゃんの数は約35万人。2024年は70万人を下回り過去最低を更新しそうとのことです。人口減少・少子化は待ったなしで進んでいきます。引き続き今後の政府の政策や動きに注目していきましょう。

  • 本ページは2024年9月時点での情報であり、その正確性、完全性、最新性等内容を保証するものではありません。また、今後予告なしに変更されることがあります。

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頼藤 太希

経済評論家・マネーコンサルタント

(株)Money&You代表取締役。中央大学商学部客員講師。早稲田大学オープンカレッジ講師。ファイナンシャルプランナー三田会代表。日経CNBCコメンテーター。慶應義塾大学経済学部卒業後、外資系生保にて資産運用リスク管理業務に従事。2015年に創業し現職。日本テレビ「カズレーザーと学ぶ。」(※現在は放送終了)、フジテレビ「サン!シャイン」、BSテレ東「NIKKEI NEWS NEXT」などテレビ・ラジオ出演多数。主な著書に『はじめての新NISA&iDeCo』(成美堂出版)、『定年後ずっと困らないお金の話』(大和書房)など、書籍110冊超、累計200万部。日本年金学会会員。ファイナンシャルプランナー(CFP®)。1級FP技能士。日本証券アナリスト協会 認定アナリスト(CMA)。宅地建物取引士。日本アクチュアリー会研究会員。X(@yorifujitaiki)

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