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「つみたてNISA」と「iDeCo」は急激な“円安”でも継続すべきか

2022年から、急激に円安が進んでいます。円安が進むと、「つみたてNISAやiDeCoを始めても(続けても)いいのだろうか」などと思われる方もいるかもしれません。しかし、結論からいうと、円安・円高を気にせずに始めて(続けて)OKです。
今回は、円安でも円高でも、つみたてNISAやiDeCoを続けていい理由を紹介します。

円安・円高は「外国の通貨から見た」円の価値

円安・円高とは「外国の通貨から見た円の価値」が高いか安いかを表す言葉です。文字どおり、円安は円の価値が安いこと、円高は円の価値が高いことを表します。

たとえば、1ドル=120円のときには、1ドルで120円が手に入ります。しかし、これが1ドル=130円になったら、1ドルで130円も手に入れることができます(為替手数料などは考慮しません)。同じ1ドルでも、手に入る円の金額が増えたということは、「ドルから見て円の価値が安くなった」ということ。つまり、「円安」です。
一方、1ドル=110円になったとします。この場合、同じ1ドルで110円しか手に入らなくなってしまいます。「ドルから見て円の価値が高くなった」のですから、「円高」です。

円安と円高の考え方や暮らしに与える影響については、こちらの記事でもやさしく解説されていますので、ぜひご覧ください。

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では、実際ドルと円の為替レートはどのように推移しているのでしょうか。2020年からのデータを確認してみましょう。

米ドル/円の為替レートの推移(2018年7月1日〜2023年7月1日)

2021年9月まで おおむね1ドル=100円~110円推移 2021年9月~2022年2月 1ドル=115円前後に 2022年3月以降 円安が急速に進行一時1ドル=149円に

Investing.comのデータを元に(株)Money&You作成

2021年9月まではおおむね1ドル=100円〜110円の間で推移していましたが、以後は円安傾向に。特に2022年3月以降は円安が急激に進行し、一時1ドル=149円もの円安をつける展開もありました。ここまでの円安は約32年ぶりです。

海外投資は円安・円高関係なく続けよう

つみたてNISAやiDeCoは円安でも円高でも、為替変動は気にせず続けるべきだと考えます。その理由は大きく3つあります。

つみたてNISA・iDeCoを続けるべき理由1:世界経済は今後も成長するから

IMF(国際通貨基金)の「世界経済見通し(World Economic Outlook)」によると、2022年の3.4%から2023年は2.8%へ鈍化した後、2024年には3.0%に落ち着くと見込まれています。世界経済見通しは、リーマン・ショックやコロナ・ショックのときにはマイナスとなったこともありますが、例年おおよそ4%前後で推移しています。

2023年、2024年の世界経済見通しは、ロシアのウクライナ侵攻や中国の景気減速などを加味して少し下方修正されましたが、それでもなお3%程度の成長をするとなれば、円安・円高を気にせず海外投資を継続することでその恩恵を受けられるでしょう。

つみたてNISA・iDeCoを続けるべき理由2:日本より成長力の高い国がたくさんあるから

海外には、日本より成長力の高い国があります。
たとえば、米国は世界トップの経済大国です。世界的なIT企業であるGAFAM(グーグル・アマゾン・フェイスブック(※現メタ)・アップル・マイクロソフト)を筆頭に、さまざまな分野で世界的な規模の大企業がひしめいています。そのうえ、米国は実力主義。米国人に限らず、世界中から優秀な人材が集まり、ビジネスが発展しています。株式市場のスケールも日本とは桁違いの大きさです。
しかも米国は、主要先進国の中で唯一、人口が増加しています。人口が増えるということは、これからも経済活動が活発に行われることを意味します。

もちろん、欧州など米国以外の先進国や中南米・東アジアなどの新興国などの中にも、日本より高い成長を遂げる国があるでしょう。日本や米国だけでなく、さまざまな国に分散投資しておくことで、リスクを抑えながらお金を堅実に増やせるでしょう。

つみたてNISA・iDeCoを続けるべき理由3:円高や株価下落をチャンスにできるから

為替レートは円安になったり円高になったりを繰り返します。今後、円高になる局面がくる可能性もあります。また、株価が下落し、投資信託の価格も値下がりするという場面がくることも十分に考えられます。つみたてNISAやiDeCoではコツコツと積立投資を行うため、今後の円高や株価下落をチャンスにできる可能性があります。

投資信託のように値動きのある商品を「毎月1万円ずつ」などと一定額ずつ購入すると、商品の価格が高いときには少ししか買えず、商品の価格が安いときにたくさん買えることになります。こうした購入方法を「ドルコスト平均法」といいます。ドルコスト平均法を続けると、円高や株価下落の際に多く商品を買い付けるため、平均購入単価が下がります。平均購入単価が下がると、再び値上がりしたときに利益を出しやすくなります。

感情に左右されず続けるためには、リスク許容度にあった投資先が肝心

つみたてNISAやiDeCoを利用して積立投資を行えば、節税しながら効率よくお金を増やすことができます。ですから、つみたてNISAやiDeCoは、なるべく早く始めて、長く続けるのがおすすめです。

もっとも、自分のリスク許容度に見合わない投資をしている場合、日々の値動きが気になってしまいます。長く投資を続けるためにも、家計に無理のない積立金額で積み立てを行うこと、そしてリスク許容度にあった投資信託に変更することが大切です。

リスク許容度は、投資で損失が生じたときにどの程度までなら耐えられるかを示す度合いのことです。収入・資産・年齢・投資経験・リスクに対する気持ちなどによって変わるため、人によって異なります。

例えば、米国株投信だけに投資をしている場合で、値動きが激しくて精神的に厳しいということもあるかもしれません。その場合は、先進国株といった、米国以外の国にも幅広く投資する投信を購入すると、より多くの国に分散投資できるため、リスクの低減に役立ちます。また、複数の資産に投資するバランス型投信で、債券にも投資している商品を選ぶことでも、リスクを下げることができます。

悩むより今すぐ始めよう!

円安の今、つみたてNISAやiDeCoを始めてもいいものかと悩んでいる方もいるかもしれません。しかし、つみたてNISAやiDeCoでコツコツと海外に積立投資をしていれば、円安でも円高でも関係なく、堅実に資産を増やせる期待ができます。
積立投資・分散投資は、長く続けてこそ効果を発揮します。「長く続ける」ためには「早く始める」ことです。

イオン銀行では、つみたてNISA・iDeCoを取り扱っています。イオン銀行の窓口は365日営業していますので、いつでも相談可能。「始めるべきか迷う」「投資先に悩む」という方でも、資産形成をスタートさせたいならばまずは相談することも一つの手です。

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頼藤 太希

(株)Money&You代表取締役/マネーコンサルタント
中央大学客員講師。慶應義塾大学経済学部卒業後、外資系生命保険会社にて資産運用リスク管理業務に従事。2015年に(株)Money&Youを創業し、現職へ。
女性向けWebメディア『FP Cafe』や『Mocha(モカ)』を運営すると同時に、マネーコンサルタントとして、資産運用・税金・Fintech・キャッシュレスなどに関する執筆・監修、書籍、講演などを通して日本人のマネーリテラシー向上に注力している。
『1日1分読むだけで身につくお金大全100』(自由国民社)、『はじめてのFIRE』(宝島社)、『はじめてのNISA&iDeCo』(成美堂出版)など著書多数。日本証券アナリスト協会検定会員、ファイナンシャルプランナー(AFP)、日本アクチュアリー会研究会員。

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