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全世界株と全米株、どちらに投資するのが正解なのか

全米株?全世界株?

【この記事を読んでわかること】

  • インデックス型投資信託の「全世界株」は世界中の株、「全米株」は米国の株に広く投資する投資信託
  • 世界株の中には、米国株の割合が6割入っている
  • 過去20年ほどのパフォーマンスは全米株の方が高いが、2022年以降で比較すると両者は拮抗している
  • これから先の未来に対して、リスク分散をして、負けにくい投資を心がけるのであれば全世界株のほうが無難

投資を始めると、行き着く先が「少しでも有利な投資先に投資をしていたい」というもの。
長期・積立・分散投資ができる投資信託の中でも投資家に人気があるのが、「全世界株」と「全米株」に投資する商品です。
どちらに投資するのが正解なのでしょうか。一緒に考えていきましょう。

インデックス型投資信託の「全世界株」と「全米株」とは?

投資信託には、運用方法の違いによって大きく「インデックス型」と「アクティブ型」の2種類があります。インデックス型は市場の値動きを示す指標と連動することを目指す投資信託。アクティブ型は指標よりも高い成果や、「年10%」などと絶対収益を掲げて運用される投資信託です。

このうちインデックス型の投資信託は、アクティブ型に比べて手数料(保有中の信託報酬)が安いことから、NISAやiDeCoなどで多くの投資家に利用されています。2024年からの新NISAのつみたて投資枠でももちろん、投資ができます。

インデックス型投資信託のなかでも、人気があるのは「全世界株」と「全米株」に投資するものです。文字通り、全世界株は1本で世界中の株式、全米株は1本で全米の株式に投資したのと同じような効果が期待できる投資信託です。

全世界株と全米株、パフォーマンスはどうなっている?

全世界株と全米株のパフォーマンスを比べてみましょう。全世界株はVT(バンガード・トータル・ワールド・ストックETF)、全米株はVTI(バンガード・トータル・ストック・マーケットETF)というETFの値動きを比べることで、おおよその推移を見ることができます。

全世界株vs全米株 パフォーマンス推移(2008年~)

全世界株と全米株 パフォーマンス推移のグラフ(2008年から)

(株)Money&You作成

グラフは2008年7月時点を100とした場合の値動きの推移を表しています。比較すると一目瞭然、全米株のほうが明らかによかったことがわかります。
しかし、2022年以降でみてみると、話が少々変わります。

全世界株vs全米株 パフォーマンス推移(2022年~)

全世界株と全米株 パフォーマンス推移のグラフ(2022年から)

(株)Money&You作成

2022年1月時点を100として値動きの推移を見ると、直近のパフォーマンスこそ全米株の方がわずかながら良くなっていますが、全世界株が全米株を上回る場面もところどころで見られます。

全世界株・全米株のメリットを整理

この結果を踏まえて、全世界株・全米株のメリットを整理してみましょう。

全世界株を選ぶメリット

  • トータルで成長する世界経済の恩恵を得られる
  • 新興国の成長も取り込める
  • 世界分散することでリスク低減が図れる
  • 現代ポートフォリオ理論に基づいている
  • 米国株の割合が6割を占める

IMF「世界経済見通し」によると、世界経済は毎年おおむね3〜4%程度ずつ成長しています。全世界株に投資すれば、その成長力を生かした投資ができるでしょう。
また、全世界株は欧米の先進国だけでなく、新興国の株式も取り入れています。世界中に分散投資できるので、リスクが減らせます。現代ポートフォリオ理論(リスクを抑えて一定のリターンを得るためには多数の銘柄や資産に分散することが有効だという考え方)にのっとれば、投資先は多い方がいい、といえます。
そして何より、全世界株といっても、実際は米国株に6割程度は投資しています。米国の成長力もふんだんに活用できる、というわけです。

全米株を選ぶメリット

  • 全世界株より運用成績は上
  • 全世界株には低成長の国を含む
  • 新興国の成長は米国市場で取り込める
  • 余計なリスク・コストを負う
  • 世界経済は米国と一蓮托生

全米株は、この20年ほどで見ると全世界株よりも運用成績が高くなっています。その理由は、全世界株ではいまひとつだった低成長の国が含まれているのに対し、全米株は好調な米国経済を背景に値上がりしたからだと考えられます。もちろん、米国よりも成長する新興国はあるかもしれませんが、新興国の成長に合わせて米国も長らく発展してきたのです。
そして、米国は世界経済の中心です。米国の経済動向は世界経済の動向でもあります。それであれば、無理に全世界株を買うことはない、というわけです。

ポイントは「全米株がいつまでも良いとは限らない」こと

確かに過去のパフォーマンスでいえば全米株のほうが上でした。今後も米国が強い時代が続くのであれば、全米株のほうが引き続きパフォーマンスが高くなると考えられます。しかし、全米株がいつまでも好調である保証はありません。というよりも、今後どの国が大きく成長していくかは、誰にも未来を当てることはできないのです。

米国の2023年の時価総額は世界の約6割を占めていますが、ずっと世界1位であったわけではありません。1900年代から1920年ごろまでは、米国よりも英国の方が割合が大きくなっています。1980年代中ごろから1990年代は日本も存在感がありました。

もしも今米国だけに投資しておいたとして、数十年後にお金を使うときに、米国の存在感が今よりもぐっと減っていたとしたら、お金が減っている可能性も十分に考えられます。それを考えると、全米株よりも全世界株に投資しておいたほうが無難、というわけです。

実際、プロのファンドマネージャーであっても、世界経済がどうなるかを予測するのは困難です。ましてや、素人である私たちがそれを予測して、的確に投資をすることは不可能でしょう。それであれば、基本的には幅広く投資をしておいたほうがいいと考えます。

世界経済はトータルで成長しています。どこかの国だけが永遠に成長し続けることは考えにくいものがあります。米国でさえも、今後一強が続くとはいいきれません。そんな時代に、資産を減らすことを防ぎ、堅実に増やす「負けにくい投資」をする意味では、全世界株に一日の長があると考えます。ぜひ投資をする際の参考にしていただければ幸いです。

  • 本ページは2023年10月時点での情報であり、その正確性、完全性、最新性等内容を保証するものではありません。また、今後予告なしに変更されることがあります。
  • 本ページ記載の内容は筆者の考えに基づくものであり、運用商品の成果を約束するものではありません。最終的な投資判断は、お客さまご自身の判断でなさるようお願いいたします。

お申込みに際しては、以下の留意点を必ずご確認ください。

頼藤太希
(株)Money&You代表取締役/マネーコンサルタント

中央大学商学部客員講師。早稲田大学オープンカレッジ講師。慶應義塾大学経済学部卒業後、外資系生命保険会社にて資産運用リスク管理業務に従事。2015年に(株)Money&Youを創業し、現職へ。女性向けWebメディア『FP Cafe』や『Mocha(モカ)』を運営すると同時に、資産運用・税金・Fintech・キャッシュレスなどに関する執筆・監修、書籍、講演などを通して日本人のマネーリテラシー向上に注力している。『定年後ずっと困らないお金の話』(大和書房)、『マンガと図解 はじめての資産運用』(宝島社)、『はじめてのNISA&iDeCo』(成美堂出版)など著書累計120万部超。日本証券アナリスト協会検定会員。宅地建物取引士。ファイナンシャルプランナー(AFP)。日本アクチュアリー会研究会員。

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