ふるさと納税のワンストップ特例制度とは?手続きの流れをわかりやすく解説

2017.10.23 (最終更新日:2025.12.12)

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【この記事を読んでわかること】

  • ふるさと納税の手続き方法は「ワンストップ特例」と「確定申告」の2種類ある
  • 会社員など確定申告が不要な人であれば、「ワンストップ特例」を活用することで確定申告を省略できる
  • 確定申告が必要な場合は「ワンストップ特例」が無効になるため、必要な場合はきちんと確定申告しよう

ふるさと納税の制度ができてから17年以上が経ちました。2008年の制度開始当初は利用する方も少なかったのですが、寄附先の団体(自治体を含む)や返礼品の拡充に伴い認知度が上がり、今ではすっかり税負担軽減施策の代表格になりました。
本コラムではふるさと納税のやり方や手続きはどうすればよいのか、ワンストップ特例とは何かについて、初めてふるさと納税をする方にもわかりやすく解説します。

会社員・公務員は「ワンストップ特例」制度の活用がおすすめ

ふるさと納税のやり方はとても簡単です。
なかでも企業にお勤めの方で、源泉徴収を行われている方は「ワンストップ特例」制度を活用できます。この制度は、確定申告をせずにふるさと納税の申告を完了させられるものです。
それでは、ワンストップ特例制度を使ってふるさと納税を行う際の手順をみていきましょう。

ワンストップ特例制度を使ったふるさと納税の手続き

ワンストップ特例制度を使うと、ふるさと納税を活用して税負担を軽減するまでの手続きはとてもシンプルになります。

STEP.1 寄附をする団体(自治体を含む)を決め、寄附金・申告特例申請書・本人確認書類を送付する
(現金のほか、クレジットカードなどキャッシュレスでのお支払いが可能な団体もある)

STEP.2 寄附先の団体(自治体を含む)から送られてくる返礼品を受取る

これで所得税と翌年の住民税が減額されます。確定申告を行う必要もありません。とても簡単ですね。

STEP.1ではキャッシュレス決済が使える団体だと送金がスムーズに行えます。
ふるさと納税の目的の1つとされている「返礼品」ですが、寄附先や返礼品によって、届けられる期間、また使用できる期間などはさまざまですので、よく確認してから選択しましょう。

ワンストップ特例制度の申請条件

ワンストップ特例制度を活用できる方の条件は、次のとおりです。

  1. 寄附する団体(自治体を含む)が1年間で5つ以下
  2. 確定申告が不要な方であること

ワンストップ特例制度の利用は、1度寄附するごとに行います。
寄附先が1つなら、1年間で6回寄附したとしても1つとカウントされます。

確定申告が不要な人とは?ワンストップ特例制度の注意点

では、「確定申告が不要な方」とはどんな方のことでしょうか。
いくつか考えられますが、例を4つ挙げます。

  1. 1カ所の会社から給与を受取り、給与収入が2,000万円以下で、年末調整を受けた方
  2. 医療費などの控除額が確定申告をしなくてもよい金額を超えない方
  3. 年間400万円以下の年金受給者で、年金以外の所得が20万円以下の方
  4. 税務署から申告不要の通知を受けている方

このほかにも確定申告が不要な場合があります。自分が必要か不要かわからないという方は税理士に相談するとよいでしょう。

確定申告が必要な方はそもそもワンストップ特例を活用することはできません。仮に申告特例申請書等を納税地へ送付しても「無効」となり、残念ですが減税効果はありません。よって、自分でふるさと納税の確定申告をすることになります。

また、申告特例申請書を送付した後に、住所変更や氏名変更など、申請書の内容に変更が生じた場合は、翌年の1月10日までに、ふるさと納税の寄附先の団体(自治体を含む)へその旨を知らせる必要があります。

ワンストップ特例制度が使えない場合は「確定申告」で対応しよう

それでは確定申告が必要な場合の手順をみていきましょう。
ふるさと納税の利用から確定申告までの手続きは以下のとおりです。

STEP.1 寄附をする団体(自治体を含む)を決め、寄附金を送金する STEP.2 寄附先の団体(自治体を含む)から送られてくる「寄附金受領証明書」を保管 STEP.3 年明けの確定申告時に添付し、「所得税」と「来年の住民税」の減額が可能になる
STEP.1 寄附をする団体(自治体を含む)を決め、寄附金を送金する STEP.2 寄附先の団体(自治体を含む)から送られてくる「寄附金受領証明書」を保管 STEP.3 年明けの確定申告時に添付し、「所得税」と「来年の住民税」の減額が可能になる

確定申告を行う場合は、ワンストップ特例制度を利用しますという意思表示である「申告特例申請書」と本人確認書類を寄附先の団体(自治体を含む)に送る必要はありません。
代わりにSTEP.3で確定申告をしなければ、税負担は軽減されませんので必ず確定申告を行う必要があります。
確定申告のためにはSTEP.2で受取る「寄附金受領証明書」が必須です。「寄附金受領証明書」は返礼品とは別便で届けられることが多いので、確認・保管を忘れないように注意しましょう。寄附金の納付後、約2カ月後を目安に届きます。

税負担を軽減できる金額は上限があるので注意

ふるさと納税を利用すると、自己負担額2,000円を除いた全額が所得税・住民税から控除されます。ただし年収や家族構成などにより控除上限額が異なりますので注意が必要です。
所得額を下げたい一心で、いくらでもふるさと納税をして税負担を軽減できる、というわけではありません。
以下の表もしくはふるさとチョイス『控除金額シミュレーション』から簡単に上限額が計算できます。事前に調べておくと安心ですね。

  • この表は横にスクロールできます

(円)

ふるさと納税を行う方
本人の給与収入

ふるさと納税を行う方の家族構成

独身又は
共働き※1

夫婦※2

共働き+子1人
(高校生※3

共働き+子1人
(大学生※3

夫婦+子1人
(高校生)

共働き+子2人
(大学生と高校生)

夫婦+子2人
(大学生と高校生)

300万円

28,000

19,000

19,000

15,000

11,000

7,000

-

350万円

34,000

26,000

26,000

22,000

18,000

13,000

5,000

400万円

42,000

33,000

33,000

29,000

25,000

21,000

12,000

450万円

52,000

41,000

41,000

37,000

33,000

28,000

20,000

500万円

61,000

49,000

49,000

44,000

40,000

36,000

28,000

550万円

69,000

60,000

60,000

57,000

48,000

44,000

35,000

600万円

77,000

69,000

69,000

66,000

60,000

57,000

43,000

650万円

97,000

77,000

77,000

74,000

68,000

65,000

53,000

700万円

108,000

86,000

86,000

83,000

78,000

75,000

66,000

750万円

118,000

109,000

109,000

106,000

87,000

84,000

76,000

800万円

129,000

120,000

120,000

116,000

110,000

107,000

85,000

850万円

140,000

131,000

131,000

127,000

121,000

118,000

108,000

900万円

152,000

143,000

141,000

138,000

132,000

128,000

119,000

950万円

166,000

157,000

154,000

150,000

144,000

141,000

131,000

1000万円

180,000

171,000

166,000

163,000

157,000

153,000

144,000

2500万円

855,000

855,000

835,000

830,000

835,000

817,000

817,000

  • 「共働き」は、ふるさと納税を行う方本人が配偶者(特別)控除の適用を受けていないケースをさします。(配偶者の給与収入が201万円超の場合)
  • 「夫婦」は、ふるさと納税を行う方の配偶者に収入がないケースをさします。
  • 「高校生」は「16歳から18歳の扶養親族」を、「大学生」は「19歳から22歳の特定扶養親族」をさします。
  • 中学生以下の子供は(控除額に影響がないため)、計算に入れる必要はありません。
    たとえば、「夫婦子1人(小学生)」は、「夫婦」と同額になります。また、「夫婦子2人(高校生と中学生)」は、「夫婦子1人(高校生)」と同額になります。

出典:総務省『ふるさと納税のしくみ

ちなみに、所得税は申告年度の分が、住民税は翌年度の分が対象になり、それぞれ税負担を軽減する事ができます。「寄附金控除」という名目で控除されますが、「税額控除」になりますので、納める予定の所得税・住民税から直接軽減することができます。

ふるさと納税に対する、控除額内訳イメージ
ふるさと納税に対する、控除額内訳イメージ

出典:総務省『ふるさと納税のしくみ

ワンストップ特例制度を使ったふるさと納税はとても手軽にできますので、ぜひ税負担軽減策として活用してみてはいかがでしょうか。

  • 本ページは2025年12月時点での情報であり、その正確性、完全性、最新性など内容を保証するものではありません。また、今後予告なしに変更されることがあります。

佐々木 愛子

ファイナンシャルプランナー(AFP)

国内外の保険会社で8年以上営業、証券IFAを経験後、リーマンショック後の超低金利時代、リテール営業を中心に500世帯以上と契約を結ぶ。FPとして10代のうちから金融、経済について学ぶ大切さを訴え活動中。FP Cafe登録パートナー。

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