係長・課長・部長…給料はいくら?年収1,000万円超の割合は?
執筆者:ファイナンシャルプランナー(CFP)|高山 一恵
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【この記事を読んでわかること】
- 部長の平均年収は男性956.6万円、女性782.2万円。部長に昇進しても年収1,000万円に届かない人のほうが多い
- 役職に就ける人の割合は50〜54歳でもっとも多く、31.6%
- 年収をアップさせるには、スキルアップ・副業・資産運用をすることなどが考えられる
昇進して役職に就くと、職場での裁量や責任がアップして、いっそう仕事のやりがいがでてくるものです。それと同時に気になるのが、「給料がどのくらいアップするのか」ではないでしょうか。実際、役職に就いている人の給料はどうなっているのでしょうか。
今回はデータより、係長・課長・部長の給料はいくらかをご紹介。年収が1,000万円を超える人の割合や、年収をアップする働き方も一緒に見ていきましょう。
部長でも年収1,000万円に届かない?
厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査」は、会社で働く人の給与をさまざまな形で集計した統計データです。これによると、従業員が10人以上の会社の係長・課長・部長の平均年収は次のようになっています。
<男女別・役職別の平均年収>
厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査」より(株)Money&You作成
毎月の給与の12カ月分に賞与等を加えた平均年収は、部長でも男性956万円、女性782万円。年収1,000万円には届いていないのが実情です。「年収1,000万円」と言うのは簡単ですが、達成するのはなかなか厳しいものがあります。
もっとも、非役職→係長級→課長級→部長級と、役職が上がるごとに段階的に年収がアップしていることもわかります。役職がひとつ上がると、ざっと100万円〜150万円程度年収が増えています。
役職に就ける割合はどれくらい?
上の表には各役職についた人の平均年齢と勤続年数も記しましたが、そもそも役職に就けるか、いつ役職に就けるかは会社により大きく異なります。部長・課長・係長の割合を年齢別にまとめたのが次の表です。
<役職に就ける割合>
厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査」より(株)Money&You作成
役職に就いている人の人数を各年代の合計人数で割り、割合を表示しています。
さすがに10代で役職に就いているデータはありませんでしたが、20代でも係長・課長・部長に昇進している人もいることがわかります。ボリュームゾーンは、係長が40代、課長が40代後半〜50代前半、そして部長が50代です。
役職に就いている人の割合がもっとも多い50〜54歳でも、合計は31.6%。役職に就けるのは10人に3人程度だというと、役職に就くのは狭き門だと感じられます。
1,000万円もらっている人の割合はどのくらい?
役職に就いていて1,000万円超の給与をもらっている人もいるでしょうが、中には役職関係なく1,000万円超の給与をもらっている人もいるかもしれません。そこで、年収別の人数のデータから給与が1,000万円超の人の割合を調べてみましょう。
<給与階級別の人数と割合>
国税庁「令和4年民間給与実態統計調査」より(株)Money&You作成
年収はおおむね「600万円以下」から「200万円以下」までで7割を占めています。日本人の平均年収は458万円ということを表す分布になっています。肝心の1,000万円超の人は「1,500万円以下」よりも給与の多い人ですので、赤枠で囲った範囲の人が該当します。男性で8.3%、女性で1.4%、合計でも5.4%ですから、1,000万円超えはかなり大変ですね。
年収をアップさせるにはどう働けばいい?
昇進も年収アップも狭き門で、厳しいのが現実ですが、昇進や年収アップを果たしている人がいるのも事実です。もちろん、会社により考え方はさまざまですが、スキルを身につけ、会社はもちろん誰からも「この人と仕事がしたい」と思われる人材になれれば、おのずと年収は上がってくるでしょう。
自分のスキルをアップする「自己投資」は、目標を定めることが大切。「英語が話せるようになりたい」ではなく「いつまでにTOEICで◯点取る」のように具体的に決めて取り組みましょう。また、そのスキルを何に使うのか、今の仕事にどう生かせるかも前もって考えておきましょう。
今の会社でのこれ以上の劇的な年収アップが望めないようであれば、副業をするのも一つの方法です。経団連「副業・兼業に関するアンケート調査結果(2022年)」によると、自社の社員が社外で副業・兼業することを認めている会社は53.1%。認める予定の会社も17.5%あり、規模の大きい会社ほど認める割合が多くなっています。副業でも稼ぐことができれば、純粋に収入が増えますし、本業のスキルを副業に生かしたり、副業で得た経験を本業に生かしたりできるでしょう。
ただし、副業をしすぎて本業に支障が出るような事態はNG。あくまで本業あっての副業ですので、体調管理やスケジュール管理には十分気をつけましょう。
また、お金を増やす方法は、収入を増やすだけではありません。お金を働かせて増やす資産運用でも、お金を増やすことができます。マイナス金利が解除され、銀行の預金金利が上昇したとはいえ、まだまだ物価が上がるスピードのほうが早く、お金を預けているだけでは目減りしてしまいます。
資産運用には元本保証がありませんが、長く運用することで複利効果(投資で得た利益をふたたび投資にまわすことで、利益が利益を生み膨らんでいく効果)が生まれ、将来的に大きな利益を得られる可能性があります。また、コツコツと積み立てる積立投資を行うことで、価格の高いときには少なく、安いときに多く買うことができ、平均購入価格を下げられます。そのうえ、さまざまな投資先に資産を分けて投資することで、投資先のどこかが値下がりしてもそれをカバーしながらお金を増やす期待ができます。こうした、「長期・積立・分散」投資は、投資の王道です。
今は新NISAやiDeCoといった制度を利用することで、税金を節約しながら投資ができるようになっています。詳しく知りたい方は下記コラムをご覧ください。
資産運用のいいところは、働いているときや、寝ているときにでもお金が増える可能性があること。年収1,000万円は厳しくても、仕事をしながら資産運用をすることで、お金を増やすことはできるでしょう。ぜひ取り組んでみてくださいね。
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