【2024年度版】確定申告、ふるさと納税、定額減税…お金のイベントカレンダー
執筆者:マネーコンサルタント|頼藤 太希
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【この記事を読んでわかること】
- 税金や社会保険料に関わるイベントは前もって把握しておくことが大切
- 年末調整や確定申告の手続きを適当にしてしまうと、少なくできるはずの税金も少なくできなくなってしまうので要注意
- 2024年9月以降のイベントとして「社会保険の適用拡大」「児童手当の拡充」「健康保険証の廃止」に注目
毎年さまざまあるお金のイベント。特に、それが税金や社会保険料に関するものであれば、手続きしないでいると思わぬ損をしてしまう場合もあります。「知らなかった!」をなくすためにも、年間のお金のイベントを把握しておきましょう。
今回は、2024年度版の「お金のカレンダー」をご紹介。ぜひチェックしておきたいことや、注意が必要なことを確認していきます。
年間のお金のイベントカレンダーをチェック
「税金」「社会保険料」というと、なんだか難しそうなイメージを持つ人も多いでしょう。しかし、少なくとも以下のお金のイベントカレンダーに記した内容については、押さえておきましょう。
<2024年度版お金のイベントカレンダー>
(株)Money&You作成
まずは毎年あるイベントを確認していきましょう
固定資産税や自動車税・軽自動車税の納付は4〜6月
固定資産税は、毎年1月1日時点で不動産を持っている人が納める税金です。納付期限は自治体により異なりますが、1年分を一括納付するか、4期に分けて納付するかを選べます。第1期の納付期限の前(4〜6月)に届く納税通知書を利用して納付します。
また、自動車税・軽自動車税は毎年4月1日時点で車を持っている(車検登録している)人が納める税金です。自動車税も、4月から5月にかけて届く納付書で納めます。納付期限は多くの自治体で5月末(青森県と秋田県は条例で6月末)となっています。納付書が届いてから数週間で納めなければならないので注意しましょう。
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住民税は6月始まり
「年度」といえば4月から翌年3月までですが、住民税の年度は6月から翌年5月までになっています。住民税は、前年1年間の所得をもとに計算される「所得割」が一律10%、一定以上の所得がある人全員が同じ金額を負担する「均等割」が年5,000円です。
5月〜6月に届く住民税決定通知書には、住民税がどう決まったか、毎月いくら納付するのかが記載されていますので、必ず目を通しておきましょう。
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社会保険料は4〜6月の給与で決まる
社会保険とは、健康保険、厚生年金保険、雇用保険、介護保険(40歳以上)といった公的な保険のこと。これらの保険料は9月に改定され、給与に反映されます。
社会保険料の計算は、毎年4〜6月の3カ月間に支払われた給与や残業代、各種手当をもとに行います。したがって、「4月から6月に残業が多かった」という場合には、社会保険料が増える(=手取りが減る)可能性があることに注意しましょう。
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年末調整の手続きはもれのないように
年末調整とは、1年間の本来納めるべき所得税の金額とこれまで支払ってきた所得税の金額の過不足を調整することです。
10月ごろに、加入している生命保険や地震保険の「控除証明書」、住宅ローンの「年末残高等証明書」、iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)の「小規模企業共済掛金等控除証明書」などが届きますので、大切に保管しておきましょう。そして、年末調整の際にこれらを添えて手続きすることで、課税対象の所得を減らせる(所得控除できる)ので、納める税額を少なくできます。逆に手続きしないと、税金を減らせないのですから、もれのないように手続きしましょう。
年末調整の結果、税金が納めすぎになっていた場合は、差額が返金されるため、手取りが多くなります。なお、反対に税金が少なかった場合は、差額を納める必要があります。
また、年末調整の終了後には「源泉徴収票」が届きます。次にお話しする確定申告をする場合にも使いますし、住宅ローンを組む際などにも提出を求められますので、大切に保管しておきましょう。
ふるさと納税は12月末日までに
ふるさと納税は、自分の好きな自治体や応援したい自治体に寄付をすることで、実質2,000円の自己負担で各地の特産品などがもらえる制度です。
ふるさと納税自体は1月1日から12月31日までいつでも可能。1年間で行ったふるさと納税について、翌年に手続きすることで税金の控除が受けられます。そのため、締め切りの迫る12月末になると、駆け込みでふるさと納税をしている人も多いようです。
翌年になれば前年の税金の控除は受けられなくなってしまうので、間に合わせようという気持ちはわかるのですが、おすすめはふるさと納税をする時期を分散することです。
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確定申告でも税金が取り戻せる
確定申告とは、毎年1月1日から12月31日の1年間にまでに得たすべての所得を計算し、申告・納税する手続きのことです。個人事業主・フリーランスの場合は毎年行いますが、会社員・公務員・アルバイトの方で、収入が勤め先の給与しかない場合は、基本的に確定申告は必要ありません。
しかし、会社員・公務員・アルバイトでも、
- 給与収入が2,000万円を超えている人
- 1カ所の会社から給与をもらっている人で、そのほかにも20万円を超える収入(給与所得、退職所得を除く)がある人
- 2カ所以上の会社から給与をもらっている人
- 年の途中で退職し、年末までに再就職していない人
- 災害による被害にあい、災害減免法による源泉徴収の猶予・還付を受けている人
は、確定申告が必要です。
また、
- 住宅ローンを借りて住宅を新築・取得・増改築した人(住宅借入金等特別控除)
- 年間にかかった医療費が10万円を超える人(医療費控除)
- 一定の団体等に年間2,000円を超える寄付を行った人(寄附金控除)
- 年末調整のし忘れがあった人
は、確定申告をすることで課税所得を減らし、税金を少なくすることができます。
確定申告は例年2月16日〜3月15日の1カ月間。2025年は土日に当たるため2月17日(月)〜3月17日(月)までとなっています。
年齢がかかわるイベントもある
年度に関わらず、年齢がかかわるイベントもあります。
住民税は前年の所得によって決まるので、多くの場合社会人1年目の場合は住民税を支払っていません。社会人2年目からは住民税かかかるため、手取りがその分減ります。
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介護保険に加入するのは40歳から。40歳になると、介護保険料の納付がスタートします。これにより、将来介護サービスを受ける際の費用が1割負担(所得によっては2割・3割負担)になります。
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また、75歳になるとそれまで加入してきた国民健康保険・健康保険などの医療保険からはずれ、新たに後期高齢者医療制度に加入します。後期高齢者医療制度の保険料の金額は都道府県により異なり、2024年度の平均額は7,082円となっています。
2024年9月以降の見逃せない3つのイベント
2024年もすでにいろいろなイベントがありました。
1月からは「新NISA」がスタート。投資で得られた利益にかかる税金を一生涯にわたってゼロにできるようになったうえ、投資できる金額や投資の幅も拡大し、これまでのNISAよりも使い勝手が良くなりました。1月1日時点で18歳以上の人は新NISAの口座を開設できるようになります。
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6月からは「定額減税」がはじまり、1人あたり所得税3万円・住民税1万円が減税されました。また、税金が少ないなどで定額減税しきれない額がある場合は「調整給付」といって、給付金の形で支給されています。
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ここでは、2024年9月以降のイベントで見逃せないものを3つ紹介します。
2024年10月〜社会保険の適用拡大
これまで、パート・アルバイトで働く方のうち、社会保険の加入義務があるのは、
①従業員101人以上の会社に勤務
②1週間の所定労働時間が20時間以上
③雇用期間が2カ月を超える見込み
④月額の賃金が8.8万円以上
⑤学生ではない
の条件を満たす人でした。月額の賃金が8.8万円以上ということは、年収換算すると約106万円になることから「106万円の壁」と呼ばれています。なお、ここでの「106万円」に含まれるのは毎月の給与(所定内給与)のみ。つまり、契約書によって計算される金額で決まります。交通費や残業代などは含みません。
2024年10月からは、上の①の条件が「従業員51人以上」に変わります。そのため、社会保険に加入する必要のある人が増えます。
また、上の条件を満たさない場合でも、年収130万円を超えると扶養から外れ、自分で社会保険に加入する必要があります。これが「130万円の壁」です。ちなみにこちらの「130万円」には毎月の給与だけでなく、交通費、残業代、ボーナス、手当金、年金なども含むので計算に注意が必要です。
106万円の壁・130万円の壁を超えて、社会保険に加入すれば、社会保険料の負担が発生し、社会保険料が給料から天引きされるようになります。
もっとも、社会保険料を納めることで、厚生年金が増えたり、出産手当金・傷病手当金がもらえたりするメリットもあります。また、政府による「年収の壁・支援強化パッケージ」により、一時的とはいえ年収の壁を超えても手取りを減らさない取り組みが行われています。可能ならば、仕事を減らして調整するのではなく、壁を超えて働いたほうが手取りを増やすことができるでしょう。
2024年10月〜児童手当の拡充
児童手当は、子育て中の家庭に支給される手当です。2024年10月分から、児童手当の見直しが行われます。大きな変更点は次のとおりです。
- 支給期間が「中学3年生まで」→「高校3年生まで」(厳密には、18歳の誕生日以後の最初の3月31日まで)に延長される
- 所得制限が撤廃される
- 第3子以降の支給額が月3万円に増額される
- 支払い回数が年6回(偶数月)になる
ただ、児童手当の拡充によって今後「高校生を対象とした扶養控除の縮小」と一緒に行われる可能性があります。
扶養控除とは、16歳以上の子どもや親を扶養している人が受けられる所得控除です。扶養控除が適用されると、その分課税所得が少なくなり、所得税や住民税が安くなります。
高校生に該当する16~18歳の控除額は、現状、所得税につき38万円、住民税につき33万円です。政府はこれを所得税25万円、住民税12万円に縮小する前提で議論を行っています。扶養控除が減っても、どの世帯でも「手取り増」にはなるのですが、所得の多い世帯ほど児童手当の恩恵は少なくなってしまいます。
扶養控除がどうなるかはまだ確定していませんが、そもそも16歳未満の子どもに扶養控除がないのは「児童手当が導入されたから」という経緯があるだけに、扶養控除の縮小も十分可能性があるでしょう。今後の動向に注目しておきましょう。
2024年12月〜健康保険証の廃止
現行の健康保険証は、2024年12月2日をもって廃止されます。以後、現行の健康保険証は発行されなくなります。といっても、いきなり使えなくなるわけではありません。現行の健康保険証は2024年12月2日から最長1年間、有効である限り使用できます。
現行の健康保険証が廃止されたあとは、マイナンバーカードを保険証として利用する「マイナ保険証」を利用するのが基本になります。マイナ保険証を持っているならば、医療機関の窓口にあるカードリーダーで手続きすることで、原則3割負担(人により異なる)で病院や薬局を利用できます。
マイナ保険証を持っていない人は、今後郵送で届く「資格確認書」が健康保険証がわりになります。これを窓口で提示すれば、同じく原則3割負担になります。
なお、マイナ保険証を利用すると、
- 医療費が少し安くなる(初診料20円、再診料10円)
- 質のよい医療が受けられる(医師が診療情報や健診結果を確認できるため、正確な情報をもとに医療が受けられる)
- 医療費控除が楽になる(確定申告をするときにマイナポータルから情報を自動入力できるので、領収書などの集計の手間が省ける)
- 高額な窓口負担を手続きなく減らせる(高額療養費制度の事前申請「限度額適用認定証」の手続きなしで窓口負担を減らせる)
といったメリットもあります。
2024年度のお金のイベントカレンダーをもとに、税金や社会保険料の関わるさまざまなイベントを紹介してきました。必要な手続きをすることで、税金や社会保険料の金額が減ります。それは結果として、手取りが増えること、使えるお金が増えることにつながります。面倒くさがらず、必要な手続きを行い、無駄にお金を減らさないようにしていきましょう。
- ※ 本ページは2024年9月時点での情報であり、その正確性、完全性、最新性等内容を保証するものではありません。また、今後予告なしに変更されることがあります。
お申込みに際しては、以下の留意点を必ずご確認ください。