「お年玉」事情について。相場や子どもたちのお金の使い道、贈与税のギモンを解決!
執筆者:ファイナンシャルプランナー(CFP)|高山 一恵
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お正月のお金に関するイベントといえば、やっぱりお年玉。楽しみにする子どもたちがたくさんいる一方で、大人たちは、「いくらあげればいいの?」とお年玉の金額で悩んでいる方も多いでしょう。そこで今回は、金融広報中央委員会が5年毎に実施している『「子どものくらしとお金に関する調査」(第3回)2015年度調査』をもとに、お年玉の相場や子どもたちのお金の使い道などをご紹介します。また、贈与税に関するうわさについてもご説明します。
お年玉は親子でお金のことについて考える絶好の機会です。お金の大切さや管理方法について親子で話し合ってみましょう。
※ 『「子どものくらしとお金に関する調査」(第3回)2015年度調査』
お年玉に関する調査結果を大公開!
子どものくらしとお金に関する調査は、子どものお金にまつわる日常やお金についての意識、金融の知識などを調査したもの。第3回調査では、全国290校の小・中・高校、50,149名の児童・生徒が調査に回答しています。このなかからお年玉に関する情報を抜粋して紹介します。
お年玉をもらった相手…祖父母がいちばん多い
図表①:お年玉をもらった相手(複数回答)
- ※ 小学生では、「くれた人」についての回答を集計。「親戚」は「おじさん、おばさん、いとこ」。
- ※ 中学生・高校生については、「もらった人」別の金額欄に記入があった場合、「もらった相手」として集計。
(以下、画像はすべて金融広報中央委員会『「子どものくらしとお金に関する調査」(第3回)2015年度調査』より)
まずはお年玉をもらった相手について。お年玉は小・中・高校生ともほとんどの子どもが「もらった」と答えています。
いちばん多いのは祖父母で、9割近くの子どもが祖父母からのよう。かわいい孫のためならと、お年玉をはずむ姿が想像できますね。それに次いで親戚、親です。親が3位というのは、少し意外かもしれませんが、6割前後の子どもは、親からお年玉をもらっていることがわかります。
お年玉の総額は?
図表②子どもの受け取るお年玉の総額
子どもの受け取るお年玉の総額をみると、小学生の高学年は、10,000円~、20,000円~、30,000円~で各々20%を超える構成比となっており、10,000円から30,000円の構成比の合計で、51.9%となっています。
また、中学生・高校生は、10,000円~50,000円未満で64.7%となっています。
現在の子どもたちの受け取る総額として、参考にしてみましょう。
小学生は家の人に渡し、中高生はおこづかいの足しに
図表③お年玉の使い道(複数回答)
- ※ 中学生と高校生の「特別なものを買う」は、「特別なものを購入したり、特別な支払いにあてる」の回答者。
- ※ 中学生と高校生の「おこづかいで足りないものを買う」は、「おこづかいとして自分で管理し、不足する部分にあてる」の回答者。
もらったお年玉は、小学生の場合は「家の人に渡す」、中学生・高校生の場合は「おこづかいで足りないものを買う」が多い結果です。
なお、各世代とも預貯金は人気です。日本人は貯蓄好きといわれますが、こうしたところで育まれる性格なのかもしれません。
図表④お金の使い道(複数回答):ランキング
順位 | 小学生 高学年(16項目) | 中学生(27項目中) | 高校生(27項目中) |
---|---|---|---|
1位 | おかしやジュース〈50〉 | 友達との外食・軽食代〈77〉 | 友達との外食・軽食代〈89〉 |
2位 | ゲームソフトやおもちゃ類〈42〉 | おやつなどの飲食物〈77〉 | おやつなどの飲食物〈88〉 |
3位 | まんが〈42〉 | 友達へのプレゼント〈71〉 | 休日に遊びにいくときの交通費〈79〉 |
4位 | 本や雑誌〈34〉 | 文房具〈69〉 | 友達へのプレゼント〈79〉 |
5位 | 家の人へのプレゼント〈34〉 | 家の人へのプレゼント〈68〉 | 昼食〈73〉 |
6位 | ゲームをする〈33〉 | 休日に遊びにいくときの交通費〈64〉 | 家の人へのプレゼント〈70〉 |
7位 | ノートや鉛筆など〈32〉 | ゲーム代〈61〉 | 映画やライブのチケット〈69〉 |
8位 | 友達へのプレゼント〈31〉 | 小説や雑誌〈59〉 | 文房具〈65〉 |
9位 | 友達との食事・おやつ代〈29〉 | まんが〈58〉 | 小説や雑誌〈60〉 |
10位 | 休みの日に遊びにいくときの交通費〈13〉 | 映画やライブのチケット〈53〉 | まんが〈57〉 |
- ※ 〈 〉内は、当該項目の回答者の全体に占める割合、%(小数点以下四捨五入)。
- ※ 中学生と高校生は、おこづかいで買ったり、支払ったりすることが「よくある」と「ときどきある」の合計。
「おこづかいで足りないものを買う」場合や、「特別なものを買う」という子どもたちは、このような使い方をしています。年齢が上がるごとに友達付き合いで使うお金も増えるので、おこづかいの足しとして使っているのでしょう。
お年玉は贈与税がかかる!?
お年玉の話題でしばしば耳にするのが「お年玉に贈与税はかかる?」というギモン。確かに、贈与税は他人からお金、土地といった経済価値のあるものをもらった人が支払う税金ですから、お年玉をもらった場合には、支払わなければならないように思えます。
しかし、結論からいうと税金はかかりません。お年玉は、日本の習慣として行われてきたものです。こうしたものには、贈与税はそぐわないと考えられています。
国税庁のウェブサイトにも「個人から受ける香典、花輪代、年末年始の贈答、祝物又は見舞いなどのための金品で、社会通念上相当と認められるもの」には贈与税がかからないと記載されています。ですから、お年玉もまずかからないと考えてよいでしょう。
また、贈与税は毎年110万円までは非課税となる基礎控除があります。お年玉も基礎控除内に収まるケースがほとんどなので、心配しなくても大丈夫でしょう。子どものお年玉なので、常識の範囲で適正な金額を渡すようにしたいですね。
お年玉は、親子でお金について考える絶好のチャンス!
お年玉は、使い道や管理方法などについて親子で考える良い機会です。
子どもが小さいうちは、親がお年玉を貯めておくという家庭が多いようですが、子どもが成長するにつれて、あれこれ使いたいものが出てくるもの。お年玉をもらったら、その使い道について親子で一緒に話し合いましょう。その際、親が主導権を握るのはNGです。子どもの自主性を育むためにも、子ども自身が使い道を考え、親がアドバイスをすることがいいでしょう。将来、お金を有効に使えるかどうかは、経験を積むしかありません。子ども自身がお年玉を使って買い物をしてみて、物の価値やお金の使い方を学んでいくことが大切です。
また、お年玉は、「今欲しいものを買う」、「将来欲しいものを買うために貯める」、「当面使わないので貯める」という具合に管理するといいでしょう。そうすることで、子どものお金に対する計画性が高まります。
貯蓄するお金は子ども名義の銀行口座を開設し、そこに貯めていくこともいいでしょう。子どもと一緒に銀行へ行き、口座開設手続きの体験を通し、子どもはお金を貯める仕組みを身に付けることができますし、貯蓄の意識も高まるでしょう。
生活していく上でお金とは切っても切れない関係です。子どもの頃からお金の管理について考える習慣を持つことは、より良い人生を歩むためにも大切なことでしょう。
今回のまとめ
- お年玉の相場は、小学生高学年は10,000円から29,999円で51.9%、中学生・高校生は、10,000円~49,999円で64.7%となっている。
- お年玉の使い道は、親が管理する機会が多いが、年齢が上がるにつれて、おこづかいの足しとして使う傾向にある。
- お年玉は通常、贈与税の対象外。
- お年玉は親子でお金のことについて考える良い機会となる。お年玉の使い道、目的、管理方法などを話し合いましょう。
- お年玉の貯蓄口座は子ども名義の口座にすると、お金に対する意識が高まる。
- ※ 本ページは2019年12月時点での情報であり、その正確性、完全性、最新性等内容を保証するものではありません。また、今後予告なしに変更されることがあります。
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