2020年4月から開始された「高等教育の無償化」。対象となる学生や給付・減免額、そして2021年度新入生の手続きについて解説します。

2020.6.3

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子どもの将来のために、好きな進路を選ばせてあげたいと思うのは親心だと思います。
とはいえ、進学にかかる費用が高額なため、経済面の理由で進学を諦めてもらうということもあるかもしれません。
2020年4月から開始された新制度の対象になれば、大学、短期大学、高等専門学校、専門学校にかかる費用の給付・減免により、進学を諦めなくても良くなるかもしれません。

※「大学無償化」とニュースになっていますが、実は大学だけではなく、短期大学、高等専門学校、専門学校等の高等教育全般が対象となる制度です。

今回は、対象となる学生はどのような人なのか、どのくらいの給付・減免が受けられるか、2021年度に進学予定の方々のスケジュールについて解説します。

高等教育の無償化の対象条件は「資産」「年収」「学習欲」の3つで判断

対象は資産状況や世帯所得の要件を満たす、学ぶ意欲のある学生。
対象条件を満たしていれば、返済義務のない給付型奨学金と、授業料や入学金などの免除(減額)の2つの支援が受けられます。

資産基準

家庭の保有する資産の状況は

生計維持者が2人の場合2,000万円未満
生計維持者が1人の場合1,250万円未満

となります。資産基準の中に不動産は含まれません。

年収(所得)基準

世帯所得目安は市町村民税の所得割額で決まります。今回の新制度では第II区分と第Ⅲ区分が加わり対象が拡大されました。

住民税の基準額(市町村民税の所得割の課税標準額×6%-(調整控除の額+税額調整額))

第Ⅰ区分
(標準額の支援)
100円未満
第Ⅱ区分
(標準額の2/3支援)
100円以上~25,600円未満
第Ⅲ区分
(標準額の1/3支援)
25,600円以上~51,300円未満

しかし、ひとり親世帯とふたり親世帯では目安となる年収が異なります。

高等教育の無償化の対象となる年収の目安(例)

  住民税非課税世帯準ずる世帯
第Ⅰ区分第Ⅱ区分第Ⅲ区分
支援額満額満額の2/3満額の1/3
ひとり親世帯
(母のみが
生計維持者の場合)
子1人
(本人)
~約210万円~約300万円~約370万円
子2人
(本人・高校生)
~約270万円~約360万円~約430万円
子3人
(本人・高校生・中学生)
~約270万円~約360万円~約430万円
子4人
(本人・大学生・
中学生)
~約290万円~約390万円~約460万円
ふたり親世帯
(両親が生計維持者)
※片働き
(一方が無収入)の場合
子1人
(本人)
~約220万円~約300万円~約380万円
子2人
(本人・高校生)
~約270万円~約300万円~約380万円
子3人
(本人・高校生・中学生)
~約320万円~約370万円~約430万円
子4人
(本人・大学生・
中学生)
~約320万円~約400万円~約460万円
  • 文部科学省 高等教育の修学支援新制度(授業料等減免と給付型奨学金)における所得に関する要件 資料6より筆者作成

学習欲基準

たとえば高校3年生の予約採用の場合、2年生までの評定平均値が3.5以上の場合は進路指導により学習意欲を判断します。予約採用とは、高校3年生時に大学進学へ向けて奨学金の申し込みを予約する方法を言います。3.5未満の場合は、レポートや面談などにより学習意欲を判断します。

  • 大学院生は対象になりません。(大学院への進学は18歳人口の5.5%に留まっており、短期大学や2年制の専門学校の卒業者は概ね20歳以上で就労し、一定の稼得能力がある者がいることを踏まえて、バランスを考える必要があること等の理由から対象外となります。)

初年度最大187万円の支援が受けられることも

給付・減免される金額は、進学する学校の種類や通学が自宅か自宅以外からかによって異なります。

しかし、全ての学校が対象になるわけではありません。
2020年3月2日時点では国公立では100%受けることができますが、私立大学、短期大学では96.5%、専門学校では62.3%となっていますので希望する学校が給付対象になっているか事前に確認が必要です。
対象の学校は文部科学省のホームページで確認できます。新設された学校なども随時更新されていますので、最新の情報を確認するようにしてください。

給付型奨学金の支給年額(住民税非課税世帯 第Ⅰ区分 の場合)

 給付型奨学金(年額)
 国・公立私立
 自宅自宅外自宅自宅外
大学約35万円約80万円約46万円約91万円
短大約35万円約80万円約46万円約91万円
高専約21万円約41万円約32万円約52万円
専門学校約35万円約80万円約46万円約91万円

授業料等の免除・減額の上限額(年額)(住民税非課税世帯 第Ⅰ区分 の場合)

 授業料減免(上限年額)
 国・公立私立
 授業料減免入学金減免授業料減免入学金減免
大学約54万円約28万円約70万円約26万円
短大約39万円約17万円約62万円約25万円
高専約23万円約8万円約70万円約13万円
専門学校約17万円約7万円約59万円約16万円
  • 高等教育の修高等教学支援新制度に係る質問と回答(Q&A)(2020年2月18日版)資料1より筆者作成

たとえば第I区分(標準額の支援)の人が私立大学に自宅以外から通学する場合、給付型の奨学金が91万円と授業料の減免が70万円、入学金(初年度のみ)の減免も合わせると年間で約187万円も支援が受けられます。
第II区分(標準額の2/3支援)では約125万円、第III区分(標準額の1/3支援)では約62万円の支援が受けられます。
つまり、第I区分に分類される学生であれば実質、高等教育にかかる費用が無償化されるということになります。

2021年度に入学予定の学生の手続きスケジュール

本制度の申し込みは、入学する前から始まります。
2021年に進学予定の学生の場合、進学する前年の5月から6月にかけて情報を集め、希望する進学先が制度の対象となっているか、家庭の経済状況から制度に該当するのかなどを、ご家族と検討するといいでしょう。

本制度の申し込みなどの手続きは、学生本人が学校を通じて行います。学校の指定する期限に従い手続きを行ってください。

準備2020年
5月~6月
学生文部科学省・日本学生支援機構のサイトで
制度や対象になるかなど確認。
学校を通じて申込書をもらう
申し込み2020年
6月~7月
学生必要書類を学校へ提出。
日本学生支援機構へインターネットで申込。
マイナンバーを提出。
推薦2020年
6月~7月
学校成績を確認して日本学生支援機構へ推薦。
確認・審査2020年
7月~8月
日本学生支援機構申し込み内容の確認・審査を行う
採用決定2020年
9月~10月
日本学生支援機構候補書決定通知
  • 高等教育の修高等教学支援新制度に係る質問と回答(Q&A)(2020年2月18日版)より筆者作成

教育資金は必要な時期が事前にわかる資金。早くから準備しよう

給付型の奨学金の範囲が拡大され、経済的理由で進学を諦める人が少なくなると予想されますが、それでも進学には多くの費用がかかります。
また、第I区分と第III区分では100万円以上も差があるため、給付型の奨学金だけでは足りないという場合も考えられます。足りない金額をアルバイトで補うということも考えられますが、アルバイトに追われ勉強に支障が出てしまっては何の意味もありません。

奨学金を前提とせずに、計画的に学費資金を貯めておくことをオススメします。全額準備できなかったとしても、ある程度準備できていれば進学するときの不安が軽減できます。少額からでもできる積立式定期預金やつみたてNISAなどで早めに準備をしておきましょう。

学習意欲があるのに進学を諦めていたご家庭には、新制度の活用と関連する情報の収集をすることで、経済的な不安や負担をぜひ減らしてください。

今回のまとめ

  • 給付型の奨学金と授業料・入学金の減免対象は所得税世帯、もしくはそれに準じる世帯
  • 奨学金の給付と減免の2つの支援を受けることができる
  • 教育費は積立式定期預金やつみたてNISAを活用して準備する


     
  • 本ページは2020年6月時点での情報であり、その正確性、完全性、最新性等内容を保証するものではありません。また、今後予告なしに変更されることがあります。

お申込みに際しては、以下の留意点を必ずご確認ください。

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黒須 かおり

ファイナンシャルプランナー(CFP)

FPラポール株式会社代表取締役。一生涯を見守るFPとして将来に向けての働き方、資産形成、資産運用などmoneyとキャリアのコンサルティングを行う。大手金融機関にて資産形成のアドバイザーとしても活動中。FP Cafe登録パートナー。

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