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【この記事を読んでわかること】
自動車を購入するときには、ほとんどの方が購入費用を気にするでしょう。しかし、自動車への出費は「買ったら終わり」ではありません。自動車に乗り続けるためには、税金・保険料・メンテナンス料などの維持費がかかります。そして、自動車の維持費は思いのほか家計を圧迫します。自動車を購入するときには、維持費にも目を向けておきたいところです。
今回は、自動車の維持費の目安・平均費用と節約方法をご紹介します。
自動車の維持に必ずかかる費用には、「自動車税」「車検費用」「自賠責保険料」があります。
自動車税は、自動車を所有している方(ローン返済中の場合は自動車の使用者)が納付する税金で、軽自動車の場合は「軽自動車税」となります。毎年4月1日時点で自動車を所有している方が、毎年5月頃に届く納税通知書を利用して納めます。
自動車税の金額は車の排気量によって変わります。また、購入時期が2019年9月以前か10月以降かでも金額が変わります。
<自動車税の金額>
| 排気量 | 2019年9月までに購入 | 2019年10月以降購入 |
|---|---|---|
| 軽自動車(四輪・乗用自家用) | 1万800円 | |
| 1リットル以下 | 2万9,500円 | 2万5,000円 |
| 1リットル超〜1.5リットル以下 | 3万4,500円 | 3万500円 |
| 1.5リットル超〜2リットル以下 | 3万9,500円 | 3万6,000円 |
| 2リットル超〜2.5リットル以下 | 4万5,000円 | 4万3,500円 |
| 2.5リットル超〜3リットル以下 | 5万1,000円 | 5万円 |
| 3リットル超〜3.5リットル以下 | 5万8,000円 | 5万7,000円 |
| 3.5リットル超〜4リットル以下 | 6万6,500円 | 6万5,500円 |
| 4リットル超〜4.5リットル以下 | 7万6,500円 | 7万5,500円 |
| 4.5リットル超〜6リットル以下 | 8万8,000円 | 8万7,000円 |
| 6リットル超 | 11万1,000円 | 11万円 |
(株)Money&You作成
車検(自動車検査登録制度)は車が安全に公道を走れることを確認する制度です。新車で購入した場合は3年目、以後は前回の車検から2年ごとに車検を受けなければなりません。
車検の際には、車の重量・用途区分・経過年数などに合わせて納める「自動車重量税」と次に紹介する「自賠責保険」の保険料、車検証の発行費用となる数千円の印紙代を必ず支払います。また、車検を通すために必要な点検費用や消耗品などの交換代もかかります。車検は車種や検査内容、部品交換の有無などによって大きく金額が変わりますが、軽自動車で6万円〜12万円程度、普通車で7万円〜20万円程度は見込んでおくとよいでしょう。
自賠責保険は、万が一事故を起こしたときに被害に遭った方を救済する保険です。自動車やバイクを運転する際には必ず加入しなければなりません。自賠責保険の金額は車種や契約期間などによって異なります。一般的な自動車の場合、2年で1万7,650円となっています。
<自賠責保険の保険料>
| 車種 | 60カ月 | 48カ月 | 36カ月 | 24カ月 | 12カ月 |
|---|---|---|---|---|---|
| 自家用自動車 | ー | ー | 2万3,690円 | 1万7,650円 | 1万1,500円 |
| 軽自動車 | ー | ー | 2万3,520円 | 1万7,540円 | 1万1,440円 |
小型二輪自動車 (250cc超) |
ー | ー | 1万490円 | 8,760円 | 7,010円 |
軽二輪 (125cc超~250cc以下) |
1万4,200円 | 1万2,470円 | 1万710円 | 8,920円 | 7,100円 |
原動機付自転車 (125cc以下)※1 |
1万3,310円 | 1万1,760円 | 1万170円 | 8,560円 | 6,910円 |
特定小型原動機付自転車 ※2 |
1万2,040円 | 1万730円 | 9,400円 | 8,040円 | 6,650円 |
(株)Money&You作成
そのほかの費用には以下のものがあります。
任意保険は自賠責保険とは別に運転者が加入する保険です。自賠責保険は被害に遭った方の死亡・ケガしか補償されず、補償額にも限度があるため、大きな事故の場合には費用がまかなえない可能性があります。その点、任意保険では対人・対物の補償を無制限で用意できたり、自分や同乗者のケガや自動車の破損などにも補償を用意できたりします。「任意」保険ですがほとんどの方が加入していますし、加入しないで運転するのは危険です。まず加入するものと考えておきましょう。
車のワイパー、タイヤ、エンジンオイル、バッテリーなどは消耗品ですので、ときどき交換が必要です。また、ライトやウインカー、ブレーキランプが切れてしまった場合にも交換が必要です。そのほか、何か故障が生じたときにはその都度修理費用や部品代がかかります。
また、車検とは別に法定点検(12カ月点検)もあります。ディーラーや整備工場、ガソリンスタンドなどで受けることが可能で、こちらも点検費用や消耗品の交換代などがかかります。法定点検をしないことによる罰則はありませんが、車が大きく故障する可能性がありますので、その都度行いましょう。
ガソリン代は、どれだけ走るかによって変わりますが一定の金額がかかります。資源エネルギー庁「給油所小売価格調査」によると、2025年9月29日時点のレギュラーガソリンの価格平均は175.2円、ハイオクガソリンの価格平均は185.9円になっています。資源価格の高騰でガソリン代も近年大きく値上がりしたため、一回満タン(40L〜50Lが一般的)にするだけで7,000円〜9,000円程度かかるでしょう。
自宅に駐車場がない場合は、月極駐車場を借りる必要があります。毎月の契約料金は駐車場により異なります。地域によって傾向があり、地方であれば月数千円で済むかもしれませんが、都内になると月2万円から3万円程度はかかるでしょう。
なお、自動車を購入したときには、その自動車を停める場所を申請する「車庫証明」が必要です。この車庫証明の手続きにも2,000円〜2,500円程度の費用がかかります。
さらに、自動車でどこかへ出かけたら、出先で駐車料金がかかることもあるでしょう。
このように、自動車を使う方・地域・使用頻度などによって差こそありますが、自動車にはさまざまな費用がかかります。
日本自動車工業会が2年ごとに調査している「2023年度乗用車市場動向調査」によると、2023年の自動車の平均月間維持費は1万2,100円で、2017年より上昇が続いているとのことです。この維持費に含まれる金額は「燃料代・修理代・有料駐車場代・有料道路通行料等」で、自動車税や保険料などは含まれていません。自動車税や保険料を含めるとさらに負担感が増すでしょう。
この調査で維持費全体の負担感を聞いた質問では、負担感が大きい方の合計(「負担感は大きい+どちらかといえば大きい」の合計)は全体の6割に達しています。
ここまで紹介してきた維持費を「軽自動車」「普通自動車(1.5L)」「普通自動車(2.5L)」に分けて目安をまとめると、次のようになりました。
<維持費のシミュレーション>
| 費目 | 軽自動車 | 普通自動車 (1.5L) |
普通自動車 (2.5L) |
備考 | |
|---|---|---|---|---|---|
| 必ずかかる費用 | 自動車税 | 1万800円 | 3万500円 | 4万3,500円 | 毎年の金額 |
| 車検費用 | 7万円 | 9万円 | 12万円 | 2年に1度(2年分)の金額 内容によって大きく変わるため目安として記載 |
|
| 自賠責保険料 | 1万7,540円 | 1万7,650円 | 1万7,650円 | 2年に1度(2年分)の金額 | |
| 必要に応じてかかる費用 | 任意保険料 | 4万9,886円 | 5万3,846円 | 7万2,753円 | 毎年の金額 損害保険料率算出機構「2024年度自動車保険の概況」より |
| メンテナンス費用 | 6万円 | 6万円 | 6万円 | 毎年の金額 統計がないため暫定値(5,000円×12カ月) |
|
| ガソリン代 | 14万861円 | 14万861円 | 14万9,464円 | 毎年の金額 ガソリン代はレギュラー175.2円/L、 |
|
| 駐車料金 | 12万円 | 12万円 | 12万円 | 毎年の金額 統計がないため暫定値(1万円×12カ月) |
|
| 合計 | 85万634円 | 91万8,064円 | 102万9,083円 | 2年分の維持費総額 (車検費用・自賠責保険料以外を2倍の金額で計算した合計) |
|
| 年換算 | 42万5,317円 | 45万9,032円 | 51万4,542円 | 1年分の維持費総額 (合計÷2) |
|
| 月換算 | 3万5,443円 | 3万8,253円 | 4万2,878円 | 1カ月あたりの維持費総額 (年換算÷12) |
|
各データをもとに(株)Money&You作成
車検費用と自賠責保険料は2年分、そのほかは1年分の金額を記載しています。車検費用・メンテナンス費用・駐車料金は明確な統計がないので暫定値です。「合計」は2年分の維持費を表します。「年換算」「月換算」は合計を単純に割って算出しています。詳細な試算方法については備考欄をご確認ください。
自動車税や車検費用、任意保険料は自動車の排気量が増えるほど高くなります。このシミュレーションでは、1年分の維持費(年換算)は軽自動車約42万5,000円、普通自動車(1.5L)約45万9,000円、普通自動車(2.5L)約51万4,000円となりました。月換算すると約3万5,000円〜4万2,000円もの出費ですから、家計負担としては小さくありませんよね。
車検費用・メンテナンス費用・駐車料金がこれほどかからないケースもあるでしょう。特に駐車料金は「自宅に駐車場がある」といった場合はかかりません。また、毎月1,000kmも乗らない場合もあると思います。ですから、実際にはシミュレーションよりも維持費を抑えられるケースもあるでしょう。しかし、それでも結構な負担になると思われる方がほとんどではないでしょうか。
では、自動車の維持費を抑えるにはどのような方法があるか、確認して検討してみましょう。
燃費は車の維持費を大きく左右する最大の要素です。
燃費が仮にリッター15kmから20kmになれば、上記の例での1年間のガソリン代は14万861円から10万5,120円となり、約3万5,000円も抑えられます(普通自動車(1.5L)の場合)。また、ハイブリッド車やEV車はガソリン車より購入価格が高くなる傾向がありますが、燃費がよいので長い目でみるとガソリン代を抑えられるでしょう。
任意保険料は、加入内容・補償範囲・免許の色・走行距離などで大きく異なります。対人・対物の「無制限」のように、外すことがおすすめできないものもありますが、走行距離の限定、年齢条件や家族限定などの運転者の見直し、ゴールド免許割引などを活用すると保険料を安くできます。
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ガソリンスタンド系列のクレジットカードやポイント還元カードを利用すれば、リッターあたり数円の割引や1〜2%のポイント還元が受けられます。
また、毎回「満タン」ではなく「一定額ずつ」給油することで、ガソリン価格が高いときには少なく、安いときには多く給油できるので、結果的にガソリン代を安くできます。
オイル交換・タイヤ交換・バッテリー点検などをしないで放置していると、燃費が悪化し、結果的に維持費が増えてしまいます。法定点検のほか、定期的にメンテナンスを行えば、故障リスクを下げ、長く安全に乗ることができます。
新車を短いサイクルで乗り換えていると、初期費用が高くなってしまいます。10年など、長く乗ることで1年あたりの初期費用を抑えられます。
ただ、古い車は燃費も悪いうえ、新規登録から13年目・18年目以降は重量税の金額が増加します。ですので、あまりに古い場合には買い替えを検討しましょう。
車はとても便利ですが、これまで見てきたようにまとまったコストがかかります。
特に車の購入費用は一時的ですが、維持費は毎月かかる「固定費」ですから、家計を圧迫する要因となります。これから車を購入するのであれば、維持費がどうなるのか、抑える方法はないのか、維持費を含めたトータルコストを考えてから購入するようにしましょう。
高山 一恵
ファイナンシャルプランナー(CFP)
(株)Money&You取締役。中央大学商学部客員講師。一般社団法人不動産投資コンサルティング協会理事。慶應義塾大学文学部卒業。2005年に女性向けFPオフィス、(株)エフピーウーマンを設立。10年間取締役を務めたのち、現職へ。NHK「日曜討論」「クローズアップ現代」などテレビ・ラジオ出演多数。ニュースメディア「Mocha(モカ)」、YouTube「Money&YouTV」、Podcast「マネラジ。」、Voicy「1日5分でお金持ちラジオ」運営。「はじめての新NISA&iDeCo」(成美堂出版)、「マンガと図解 はじめての資産運用」(宝島社)など書籍100冊、累計190万部超。ファイナンシャルプランナー(CFP®)。1級FP技能士。X(旧Twitter)→@takayamakazue
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