
お金を貯める方法はいろいろありますが、大きく分けると次の3つしかありません。
この中でお金を貯めるために最優先すべきは「支出を減らす」ことです。「収入を増やす」と「お金に働いてもらう」は大切な視点ですが、結果が出るまでに時間がかかります。また収入は増えても、税金・社会保険料の支払いがあるので、増えた額面がそのまま手取りになるわけではありません。その点、支出の削減はすぐに始められますし、削減できればその削減金額がそのまま貯められるからです。
支出の見直しを考える際に参考にしていただきたいのが、次に紹介する理想の支出額です。
費目\手取り | 目安の割合 | 20万円 | 30万円 | 40万円 |
---|---|---|---|---|
家賃 | 20~30% | 5.0万円 | 7.5万円 | 10.0万円 |
保険料 | 3~5% | 0.8万円 | 1.2万円 | 1.6万円 |
通信・光熱費 | 7~9% | 1.6万円 | 2.4万円 | 3.2万円 |
食費 | 15~20% | 3.6万円 | 5.4万円 | 7.2万円 |
交際費 | 7~10% | 1.6万円 | 2.4万円 | 3.2万円 |
被服費 | 5~7% | 1.2万円 | 1.8万円 | 2.4万円 |
教育費 | 5~10% | 1.4万円 | 2.1万円 | 2.8万円 |
雑費 | 3~5% | 0.8万円 | 1.2万円 | 1.6万円 |
貯蓄 | 15~20% | 4.0万円 | 6.0万円 | 8.0万円 |
(株)Money&You作成
表は、筆者がこれまで受けてきた相談事例などを元にした理想の支出割合です。生活するうえでの各費目の目安の割合と、手取り収入が20万円・30万円・40万円の場合の支出の目安となる金額を記載しています。
最も大切なのは、毎月手取りの15〜20%は貯蓄に回すことです。賃貸住まいの場合や、住宅を購入して家賃や住宅ローンを支払っている場合は、手取りの20%を貯蓄に回すのが理想です。実家暮らしで住居費がかかっていないならば、手取りの半分、50%は貯められるように考えていきましょう。
毎月の貯蓄ができない状態では、当然ながらお金は貯まっていきません。ですので、ひとつひとつの費目を見直して、いくらまでに抑えるべきなのか、予算を立てていくことが必要なのです。
家賃(住居費)はかつて「月収の3分の1」が目安などと言われましたが、それは給与が右肩上がりの時代の話。給与が上がりにくい今、住居費はできれば手取り金額の20%〜25%に抑えたいところです。首都圏は家賃の相場が高いので、30%程度までは許容できますが、それ以上になると確実に生活が苦しくなってしまいます。
家賃の割合が高い場合は、更新のタイミングで家賃を下げてもらえないか、交渉をしてみてもいいかもしれません。また、新居の敷金や礼金、引っ越し費用などがかかっても、安い部屋に引っ越すのも一案です。住宅ローンを返済しているならば、借換えをすることで、返済額を抑えられる可能性があります。
住居費のほかにも、保険料、通信・光熱費、習い事やクレジットカードの年会費、車のローンなどといった固定費がある方は、優先して減らすことを考えましょう。
固定費は、まとまった金額を減らせる可能性が高い費用。しかも、一度見直せば、その後は節約効果が持続しますし、我慢も不要です。
固定費が削減できたら、無駄遣いや変動費についても見直していきましょう。支出は家族の人数や住む地域などで個人差があるため、理想の支出割合から少しずれたからダメというわけではありません。無理して支出削減をする必要もありません。現在の生活を犠牲にしても人生はつまらないものになってしまうのでバランスが重要です。
ただ、理想の支出割合から大きく離れて使っている費目があったら、削減できる可能性があるということです。
支出を削減することで、毎月貯められる金額が増えていきます。そうしたら、先取り貯蓄をしてそのお金を貯めていきます。先取り貯蓄は、給与などの収入があったら、先に貯蓄分を取り分け、残ったお金で生活する方法です。
お金の貯まらない人は、収入があったら先に使ってしまい、余ったら貯蓄しようとしています。しかし、「収入–支出=貯蓄」では、支出が多くなり貯蓄が確保できなかった場合に、貯蓄ができません。
その点、お金が貯まる人は「収入–貯蓄=支出」と、貯蓄を先取りで用意しています。先取り貯蓄をすれば、残ったお金を仮に全部使ってしまっても、貯蓄分は確保できるため、確実にお金が貯められるというわけです。
先取り貯蓄は、自動的・強制的にお金が貯められる方法を利用すると、支出の管理が苦手な人でも続けやすくなります。
1000円から積立できる金融商品を活用して自分の手取りにあった金額を貯金していきましょう。
頼藤 太希
マネーコンサルタント
(株)Money&You代表取締役。中央大学商学部客員講師。慶應義塾大学経済学部卒業後、外資系生命保険会社にて資産運用リスク管理業務に従事。2015年に現会社を創業し現職へ。ニュースメディア「Mocha(モカ)」、YouTube「Money&YouTV」、Podcast「マネラジ。」、Voicy「1日5分でお金持ちラジオ」、書籍、講演などを通じて鮮度の高いお金の情報を日々発信している。
『はじめての新NISA&iDeCo』(成美堂出版)、『定年後ずっと困らないお金の話』(大和書房)、『マンガと図解 はじめての資産運用 新NISA対応改訂版』(宝島社)など書籍100冊、著書累計170万部超。日本証券アナリスト協会検定会員。宅地建物取引士。ファイナンシャルプランナー(AFP)。日本アクチュアリー会研究会員。X(旧Twitter)→@yorifujitaiki