
住宅ローン控除とは前述の通り、所得税と住民税が控除対象となります。年末時点でのローン残高の1%が納めた所得税から還付され、所得税から還付しきれなかった分に関しては、住民税から還付されます。個人事業主に関しては毎年自分自身で確定申告を行うため、特に意識する必要はありませんが、会社員の場合は違います。通常の場合、過不足の調整や所得税の確定は年末調整によって行いますので、特別なことが無い限りは確定申告の必要がありません。しかし、住宅ローン控除のような税額控除を受けるためには、年末調整手続きではなく、確定申告でなければならないため、会社員であっても自分で確定申告をする必要があるのです。
会社員が確定申告を行う場合に必要な書類は以下の通りです。
会社員の場合必要な申告書は「確定申告書A(第一表と第二表)」と「住宅借入金等特別控除額の計算明細書」の二種類です。この申告書類は、税務署で入手できる他、国税庁のホームページからダウンロードし、印刷しても構いませんし、国税庁が用意した専用サイト(e-TAX)を利用する場合には印刷は必要ありません。
年末調整に伴って会社から必ず渡されます。
市区町村役場で発行してもらいます。
ローンを組んだ金融機関から通常送られてきます。
登記を担当の司法書士に取得の依頼をするか、管轄の法務局で取得することもできます。
住宅購入の際に業者から必ずもらうものです。
以上を漏れなく揃えるようにしましょう。
上記の書類が揃ったらいよいよ記入、手続きとなります。まず手続きを行う場所ですが、管轄する税務署で手続きを行います。税務署に直接行く以外には、郵送する方法と、e-TAXで入力、電子申請を行う、といった方法も用意されています。自分の都合にあった方法を選択しましょう。
手続きを行う時期は、原則として毎年2月16日~3月15日です。いずれかが土日にかかる場合には、直近の月曜日に期日が調整されます。
記入する書類は上記の必要書類「1. 確定申告書」の
の2枚です。
この2枚へ上記の必要書類2.~6.より情報を探して記入していきます。
国税庁のホームページには確定申告書の記入の手引きや見本が記載されていますので、それを参考に記入するとよいでしょう。必要な情報を全て記入し、必要な数字を算出したら、あとは提出するのみです。
1年目に上記の通り確定申告を完了させれば、2年目以降の申告は不要です。2年目の10月下旬頃、税務署からは「年末調整のための住宅借入金等控除証明書」が、ローンを組んだ金融機関からは「残高証明書」が送られてきます。「年末調整のための住宅借入金等控除証明書」に必要事項を記入し、「残高証明書」と共に会社に提出するのみでOKです。あとは年末調整に住宅ローン控除が加味され、自動的に差引が行われます。
1つ注意したいのは、必要書類の扱いについてです。「残高証明書」は毎年送られてきますが、「年末調整のための住宅借入金等控除証明書」は、2年目の10月に今後9年分が一括して送られてきます。控除期間中は毎年使うものですので、紛失しない様大切に保管しましょう。
住宅購入に際し、共有名義にして、持ち分に応じてローンを組む方法の場合注意が必要です。例えば、共働きで持ち分に応じてローンを支払っていた妻が退職し、専業主婦になった場合、妻分の所得税が発生しなくなります。そのため、ローン控除の計算はなりたたず、税金還付の恩恵は受けられなくなります。また、収入のない妻分の支払いを夫の収入のうちから返済する場合、肩代わりの額次第では贈与とみなされ、贈与税を支払う場合もありますので、気をつけましょう。当然、妻分のローンを支払うからといって、夫分のローン残高が加算されることはありません。
このように、夫婦共有名義でそれぞれ住宅ローンを組む場合、将来の生活設計を考慮することがとても重要になります。
現在の年収やお家賃から、お借入れ可能額を試算してみましょう。
インターネットで住宅ローン事前審査のお申込みが可能です。
江田 英明
マネーコンサルタント
ファイナンシャルプランナー。資産形成・資産運用に関するコンサルティングを中心に、金融相談や記事の執筆を手掛けており、Webライター・編集者としても活動中。コストパフォーマンスをとことん突き詰める主義で、おトク情報の収拾に余念がない節約派。
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