
確定拠出年金は、お金を投資信託や定期預金などで運用して、その成果を60歳以降に受け取る制度。運用の成果次第で利益が出ることも損失が出ることもありますが、国民年金・厚生年金に上乗せして老後資金が作れます。
この確定拠出年金には、冒頭でお話しした企業型DCとiDeCoの2種類があります。大きく違うのは以下の3点です。
企業型 | iDeCo(個人型) | |
---|---|---|
加入主体 | 会社が導入する | 個人が加入する |
掛金を出す人 | 会社が拠出する | 個人が拠出する |
金融機関選び | 会社が選ぶ | 個人が選ぶ |
まずは加入主体。企業型DCは企業年金のひとつとして、会社が導入します。会社に企業型DCの制度がなければ、企業型DCには加入できません。その点iDeCoは、個人で加入するものです。かつては一部の方しか加入できませんでしたが、今では60歳未満のほとんどの方が加入できます※。
次に掛金を出す人。企業型DCは原則会社が掛金を拠出します。一方のiDeCoは、個人(自分)が掛金を拠出します。
そして金融機関選び。企業型DCは会社が指定する金融機関を利用するのに対し、iDeCoは自分で金融機関を選びます。
いずれも、60歳まではお金を引き出すことはできないのですが、転職・離職のときもそれまでに築いてきた資産を持ち運ぶことができます。これを移換といいます。つまり、移換によって、税制優遇を生かしながら老後資産の準備が進められるのです。
企業型DCに加入している人が転職する際には、企業型DCの「移換手続き」が必要になります。この移換手続きは、転職先の会社で企業型DCに加入するかどうかによって変わります。
転職先の会社で企業型DCに加入する場合は、その企業型DCに移換できます。つまり、前の企業型DCから次の企業型DCに資産を移せます。この手続きは転職先で行いますので、会社の総務部や経理部など、担当者に確認しましょう。
一方、転職先に企業型DCがない、またはあっても加入しない場合や、会社勤めをやめて自営業者・公務員・専業主婦などになる場合には、前の企業型DCからiDeCoに資産を移換します。
企業型DCからiDeCoへの移換手続きは、自分で行います。
まず、金融機関に企業型DCに加入していたことを伝え※1、「個人別管理資産移換依頼書」に必要事項を記入して提出します※2。
すると、移換の受付後、自動的に前の企業型DCの資産が売られ、iDeCoの口座に移されます※3。
新たに企業型DCに移換する場合も、iDeCoに移換する場合も、これまでの資産には課税されません。ただし、移換前に保有している投資信託や預金などの資産は、いったんすべて売り、現金化します。したがって、特に損失を抱えている場合には、移換するタイミングに注意が必要です。元の企業型DCの加入資格を喪失すると、スイッチングができなくなりますので、事前に元本確保型商品へスイッチングすることも検討すべきです。
移換の手続きは、退職日の翌日を含む月の翌月1日から起算して6カ月以内に行ってください。というのも、移換しないでいると、これまで築いてきた資産が国民年金基金連合会に自動移換されてしまう恐れがあるからです。
自動移換にはたくさんのデメリットがあります。具体的には、次のとおりです。
なお、移換手続きをしなくても、新たに企業型DCやiDeCoに加入して、本人情報が一致した場合には、以前の資産を新しい口座に移換してくれる場合もあります。しかし、少しでも早く確実に移換するために自分で手続きすべきです。
自動移換されてしまうと、運用ができないどころか、手数料ばかり引かれるのですから、お金は確実に減っていきます。ですので、面倒でもこうなる前に必ず手続きをしましょう。
イオン銀行のiDeCoなら、資産運用の経験がほとんどない方でも選びやすい商品が揃っていて運営管理手数料も無料※4なので、スタートしやすいでしょう。
しかも、イオン銀行は年中無休なので、わからないことがあったらお近くの店舗で365日相談できるのが心強いところ。大切な老後のお金ですから、iDeCoの税制優遇を生かしながら、じっくりと育てていきましょう。
お申込みに際しては、以下の留意点を必ずご確認ください。
頼藤 太希
マネーコンサルタント
(株)Money&You代表取締役。中央大学商学部客員講師。慶應義塾大学経済学部卒業後、外資系生命保険会社にて資産運用リスク管理業務に従事。2015年に現会社を創業し現職へ。ニュースメディア「Mocha(モカ)」、YouTube「Money&YouTV」、Podcast「マネラジ。」、Voicy「1日5分でお金持ちラジオ」、書籍、講演などを通じて鮮度の高いお金の情報を日々発信している。
『はじめての新NISA&iDeCo』(成美堂出版)、『定年後ずっと困らないお金の話』(大和書房)、『マンガと図解 はじめての資産運用 新NISA対応改訂版』(宝島社)など書籍100冊、著書累計170万部超。日本証券アナリスト協会検定会員。宅地建物取引士。ファイナンシャルプランナー(AFP)。日本アクチュアリー会研究会員。X(旧Twitter)→@yorifujitaiki