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【この記事を読んでわかること】
物価の上昇はとどまるところを知らず、日に日に進んでいます。年金も、物価に合わせて増えるとはいえ、物価上昇ほどには増えない仕組みになっていますので、家計の負担は徐々に増えているのが現実です。
年金やその他の所得が一定額以下ならば、「年金生活者支援給付金」がもらえる可能性があります。家計の大きな助けになる給付金ですから、もしも対象ならばすぐに申請をしましょう。今回は、年金生活者支援給付金の基本と金額、もらうまでの手続きの概要を紹介します。
年金生活者支援給付金は、公的年金やその他の所得が一定基準額以下の方に、年金に上乗せして支給される給付金です。2019年10月に実施された消費税率10%への引上げに合わせて創設されました。
年金生活者支援給付金には大きくわけて「老齢年金生活者支援給付金」「障害年金生活者支援給付金」「遺族年金生活者支援給付金」の3種類があり、それぞれ条件を満たす方が受けられます。なお、老齢年金生活者支援給付金は65歳以上の方が対象ですが、障害年金生活者支援給付金・遺族年金生活者支援給付金には年齢の要件はありません。
年金生活者支援給付金は賃金や物価の変動を踏まえて毎年度改定されています。
2026年度の年金生活者支援給付金の給付額は、次のようになっています。
<2026年度の年金生活者支援給付金の給付額>
| 給付金の種類 | 月額(給付基準額) | 年額(満額) |
|---|---|---|
| 老齢年金生活者支援給付金 | 5,620円 | 67,440円 |
| 障害年金生活者支援給付金(1級) | 7,025円 | 84,300円 |
| 障害年金生活者支援給付金(2級) | 5,620円 | 67,440円 |
| 遺族年金生活者支援給付金 | 5,620円 | 67,440円 |
(株)Money&You作成
老齢年金生活者支援給付金の金額は、保険料納付済月数や国民年金保険料の免除期間に応じて計算されるため、人によって金額が変わります。
障害年金生活者支援給付金・遺族年金生活者支援給付金の金額は一定です(ただし遺族年金生活者支援給付金は受給している子の数で割った金額になります)。年6万円以上の給付が受けられるのですから、老後の生活の大きな助けになるでしょう。
老齢年金生活者支援給付金は人によって金額が変わりますが、保険料納付済月数と国民年金保険料の免除期間が分かれば計算できます。保険料納付済期間などは、お手元の年金証書や支給金額変更通知書などで確認できます。
詳しい計算方法は、次の通りです。
老齢年金生活者支援給付金の合計額(月額)
=(1)保険料納付済期間に基づく額+(2)保険料免除期間に基づく額
(1)保険料納付済期間に基づく額(月額)
= 5,620円 × 保険料納付済期間 / 被保険者月数480月※2
(2)保険料免除期間に基づく額(月額)
= 11,768円※1 × 保険料免除期間 / 被保険者月数480月※2
3種類の年金生活者支援給付金の支給要件は、次のようになっています。
老齢基礎年金を受給している対象者に支給されるのが老齢年金生活者支援給付金です。
老齢年金生活者支援給付金の支給要件は3つあります。
【老齢年金生活者支援給付金の受給対象者】
(1)65歳以上の老齢基礎年金の受給者
(2)同一世帯の全員が市町村民税非課税
(3)前年の公的年金等の収入金額とその他の所得の合計額が90万9,000円以下
(昭和31年4月1日以前生まれの方は90万6,700円以下)
(1)の老齢基礎年金は国民年金から受取れる老齢年金です。国民年金の加入は義務ですし、10年以上加入していればもらえるため、多くの方が該当するでしょう。
難しいのは(2)でしょう。同じ世帯の家族全員が住民税非課税であることが必要です。自分は住民税非課税でも、配偶者や子などが住民税課税であれば、老齢年金生活者支援給付金の対象外となります。
(3)の「その他の所得」は、給与所得や不動産所得などが該当します。公的年金等の収入とそれらの所得の合計がこの金額を下回ると、老齢年金生活者支援給付金の対象になります。
老齢年金生活者支援給付金が支給される基準額は80万9,000円以下(昭和31年4月1日以前生まれの方は80万6,700円以下)です。
80万9,000円超〜90万9,000円以下(昭和31年4月1日以前生まれの方は80万6,700円超〜90万6,700円以下)の方には「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給されます。
補足的老齢年金生活者支援給付金は、老齢年金生活者支援給付金を受取る方の所得が、老齢年金生活者支援給付金の基準を少しだけオーバーする方を逆転しないようにするために設けられているものです。
障害基礎年金を受給している対象者に支給されるのが「障害年金生活者支援給付金」です。障害年金生活者支援給付金の支給要件は2つあります。
【障害年金生活者支援給付金の受給要件】
(1)障害基礎年金の受給者
(2)前年の所得が479万4,000円+扶養親族の数×38万円以下
通常、扶養家族1人あたり所得の上限は38万円ですが、「70歳以上または老人扶養親族」の場合は1人あたり48万円、「特定扶養親族または16歳以上19歳未満」の場合は1人あたり63万円として計算します。
遺族基礎年金を受給している対象者に支給されるのが「遺族年金生活者支援給付金」です。遺族年金生活者支援給付金の支給要件は2つあります。
【遺族年金生活者支援給付金の受給要件】
(1)遺族基礎年金を受給している
(2)前年の所得が479万4,000円+扶養親族の数×38万円以下
なお、(2)の前年の所得の基準は障害年金生活者支援給付金の場合と同じです。
年金生活者支援給付金は、所得基準などの要件を満たしていればもらえますが、実際にもらうためには手続きが必要です。手続きの方法は、ケースにより異なります。
65歳を迎えて、老齢基礎年金を請求する方の場合は、65歳になる3カ月ほど前に日本年金機構から届く年金請求書に「年金生活者支援給付金請求書」が同封されてきます。これらの請求書に必要事項を記入して年金事務所などに提出すれば、老齢基礎年金の受給開始と同時に年金生活者支援給付金が上乗せして振込まれます。
これから障害基礎年金・遺族基礎年金を請求する方の場合も、それらの請求と同時に年金生活者支援給付金の手続きを行います。障害年金生活者支援給付金・遺族年金生活者支援給付金の場合は「65歳」といった年齢制限がありません。請求書に必要事項を記入して年金事務所などに提出します。
老齢・障害・遺族基礎年金を受給中で、前年分の所得が減ったという方の場合も、要件を満たしていれば新たに年金生活者支援給付金の受給対象者になります。日本年金機構から9月頃に「年金生活者支援給付金請求書」が入った封書が届きます。その場合は、年金生活者支援給付金請求書に必要事項を記入し返送します。
年金生活者支援給付金は、原則として請求した月の翌月分から振込まれます。過去に遡って受取ることはできませんので、年金生活者支援給付金請求書が届いたという場合は、なるべく早く返送しましょう。
なお、年金生活者支援給付金請求書を提出するときは、課税証明書などの添付書類は不要です。すでに自治体が収入や所得を把握した上で送付しているからです。翌年以降も支給要件を満たしている場合は、請求書を再度提出する必要はありません。
また、年金生活者支援給付金は前年の所得が基準額を超えるともらえなくなります。基準額を超えるなどして年金生活者支援給付金の対象から外れると、日本年金機構から「年金生活者支援給付金 不該当通知書」が届き、以後は年金生活者支援給付金がもらえなくなります。
再び所得が減って、対象になるという場合には、あらためて年金生活者支援給付金請求書を提出することで受取れるようになります。
老齢基礎年金・障害基礎年金・遺族基礎年金を受取っているものの、金額が基準以下の場合には、老齢年金生活者支援給付金・障害年金生活者支援給付金・遺族年金生活者支援給付金を受取ることができます。満額の場合は年6万円以上になりますので、老後の生活を大きく支えてくれるでしょう。
ただし、支給要件に該当していても、手続きをしないともらうことはできません。該当するのであれば正しく手続きして、受取れる給付金をきちんと受取るようにしましょう。
高山 一恵
ファイナンシャルプランナー(CFP)
(株)Money&You取締役。中央大学商学部客員講師。一般社団法人不動産投資コンサルティング協会理事。慶應義塾大学文学部卒業。2005年に女性向けFPオフィス、(株)エフピーウーマンを設立。10年間取締役を務めたのち、現職へ。NHK「日曜討論」「クローズアップ現代」などテレビ・ラジオ出演多数。ニュースメディア「Mocha(モカ)」、YouTube「Money&YouTV」、Podcast「マネラジ。」、Voicy「1日5分でお金持ちラジオ」運営。「はじめての新NISA&iDeCo」(成美堂出版)、「マンガと図解 はじめての資産運用」(宝島社)など書籍100冊、累計200万部超。ファイナンシャルプランナー(CFP®)。1級ファイナンシャル・プランニング技能士。X(旧Twitter)→@takayamakazue
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