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【この記事を読んでわかること】
家族や親族が亡くなった際、遺産を受け継ぐ方にとって気になるのが相続税です。「いったい、いくらかかるのだろうか」と不安に感じる方も少なくありません。しかし、相続税はすべての方にかかるわけではありません。
今回は、相続税の基本的な仕組みと基礎控除額、税額の計算例、申告手続きの流れを解説します。
相続税とは、亡くなった方(被相続人)からお金や土地などの財産(遺産)を相続したときに、その相続した財産に課される税金です。
相続税の対象となる財産には大きくわけて次のものがあります。一部、相続税の対象とならない財産(非課税財産)もあります。
(1)本来の相続財産
現金・預貯金・有価証券・不動産・宝石・著作権・特許権など、金銭価値のある財産
(墓地・墓石、仏壇・仏具、神具といった日常礼拝に用いているものは非課税)
(2)みなし相続財産
被相続人が亡くなったことで支払われる生命保険金や死亡退職金など
(500万円×法定相続人(後述)の人数の金額までは非課税)
(3)生前贈与を受けた財産
相続時精算課税で贈与された財産、相続開始前7年以内に贈与を受けた一定の財産など
(相続開始前3年超7年以内に受けた贈与は総額100万円まで相続財産に加算しない)
相続税を納める義務があるのは、被相続人から財産を相続した方です。
特に遺言がない場合には、法定相続人(被相続人の財産を相続できる方)が遺産をどう分割するかを協議して、どのように相続するかを決めます。
法定相続人には次のような順位があります。
国税庁「相続税のあらまし」より「相続人」とは
この中で配偶者と、配偶者以外で最も順位が高い方が法定相続人となり、財産を相続します。
【例】
被相続人に妻と2人の子がいる場合:妻と2人の子が相続人になる
遺言がある場合には、法定相続人以外の方が財産を受取るケースもあります。その場合も、財産を取得した方は相続税を納めます。
相続税は、財産を相続した場合に必ずかかる税金ではありません。
相続税には、非課税枠となる基礎控除額が設定されています。相続する財産の総額が基礎控除額以下であれば、相続税はかかりません。相続する財産の総額が基礎控除額を超えた場合、その超えた部分に対して相続税がかかります。後述しますが、相続税の税率は相続する財産が多くなるほど高くなる仕組みになっています。
相続税の基礎控除額は、次の計算式で求めます。
基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の数
たとえば、法定相続人が配偶者と子ども2人の合計3人の場合、相続税の基礎控除額は以下のような計算結果となります。
3,000万円+600万円×3人=4,800万円
つまり、被相続人から相続する財産の総額が4,800万円以下であれば、相続税はかかりません。4,800万円を超える場合は、その超えた部分が「課税遺産総額」となり、相続税の課税対象になります。
実際に自分がどのぐらいの相続税を支払うのか、計算することができます。
計算の手順は以下の3ステップで求められます。
(1)課税遺産総額を求める
(2)課税遺産総額を法定相続分でわける
(3)相続税率をかけて控除額を引く
それでは例をもとに相続税を計算してみましょう。計算の前提条件は以下のとおりです。
【前提条件】
(1)課税遺産総額を求める
ここでは、相続する財産が8,000万円で、相続税の基礎控除が4,800万円ですので、以下の計算結果となります。
課税遺産総額=8,000万円−4,800万円=3,200万円
(2)課税遺産総額を法定相続分で分ける
法定相続分とは、相続する財産の目安となる割合のことです。誰が相続するかによって、法定相続分の割合は変わります。
<法定相続分の目安>
| 相続順位 | 法定相続人と法定相続分
| |
|---|---|---|
| 子 (第1順位) ![]() | ![]() | 子は1/2を人数でわける |
父母 | ![]() | 父母は1/3を人数でわける |
兄弟姉妹 | ![]() | 兄弟姉妹は1/4を人数でわける |
今回の例では、配偶者と子2人で財産を相続するので、課税遺産総額の3,200万円をわけると以下のようになります。
この金額が相続税の計算のもとになる金額(法定相続分に応ずる取得金額)になります。
(3)相続税率をかけて控除額を引く
(2)で計算した金額に相続税率をかけ、控除額を引くと相続税の金額がわかります。相続税率・控除額は速算表を見るとすぐわかります。
<相続税の速算表>
| 法定相続分に応ずる取得金額 | 税率 | 控除額 |
|---|---|---|
| 1,000万円以下 | 10% | - |
| 1,000万円超から3,000万円以下 | 15% | 50万円 |
| 3,000万円超から5,000万円以下 | 20% | 200万円 |
| 5,000万円超から1億円以下 | 30% | 700万円 |
| 1億円超から2億円以下 | 40% | 1,700万円 |
| 2億円超から3億円以下 | 45% | 2,700万円 |
| 3億円超から6億円以下 | 50% | 4,200万円 |
| 6億円超 | 55% | 7,200万円 |
(株)Money&You作成
速算表に当てはめると、以下の計算となります。
この金額を合わせると、相続税の総額は190万円+80万円+80万円=350万円となります。
配偶者の相続税には「配偶者の税額の軽減」という特例があります。被相続人の配偶者が相続した財産は「1億6,000万円」または「配偶者の法定相続分相当額」のどちらか多い金額までは非課税となります。今回の例では、1億6,000万円まで非課税ですので、配偶者の税金(今回の例では190万円)はかかりません。
また、子どもが未成年の場合には「未成年者控除」という特例もあり、18歳になるまでの年数1年につき10万円が相続税額から差引かれます。今回の例で上の子どもが15歳、下の子どもが12歳だった場合、上の子どもの未成年者控除は30万円、下の子どもの未成年者控除は60万円ですので、相続税額は上の子どもが50万円、下の子どもが20万円となります。
このほか、宅地を相続する場合に適用できる「小規模宅地等の特例」や、障害者が相続する場合に適用できる「障害者控除」もあります。これらの控除を活用できるケースであれば、相続税をより減らせます。
相続税の基礎控除額を超える財産を相続した場合には、相続税の申告が必要です。相続税の申告の期限は、相続の開始があったことを知った日(被相続人が亡くなり、自分が相続人になったこと知った日)の翌日から10カ月以内となっています。
10カ月以内なら時間があると思われるかもしれませんが、この間に相続人を確定し、遺産の金額を確定し、遺産分割協議をして、相続税額を計算して、税務署に申告書を提出しなくてはなりません。
<相続税の申告までの流れ>
①相続人の確定
②遺産の金額の確定
③遺産分割協議
④相続税額の計算
⑤申告書の作成と税務署への提出
スムーズに進めばいいのですが、遺産の金額の評価が難しかったり、遺産分割協議でもめてしまったりすることもあります。10カ月は長いようであっという間ですので、計画的に進めていく必要があります。期限内に申告書を提出しなかった場合、無申告加算税や延滞税が課されることもあります。
なお、相続する財産の総額が「基礎控除額」以下であれば相続税の申告は必要ありませんが、「特例を適用した結果、相続税がかからなくなる」という場合は申告書を提出する必要があるので注意しましょう。
相続税の納付期限は、相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月目の日までです。
納付方法は口座引落とし、インターネットバンキングなどを利用した電子納税、クレジットカード納付、スマホアプリ納付などの選択肢があります。
なお、相続税の納付期限を過ぎてしまうと納付期限の翌日から納付の日までの間、延滞税が加わるので注意しましょう。
相続税は、亡くなった方から財産を受け継いだ際に発生する税金ですが、すべての相続で課税されるわけではありません。国税庁「令和6年分相続税の申告事績の概要」によると、相続税が課税された割合は令和6年分で10.4%ですが、近年はじわじわと増加傾向にあります。相続税の対象になりそうだと思ったら、早い段階から相続税の対策を考えるなど、準備が必要です。専門的な内容も多いので、財産の状況によっては、税理士などの専門家に相談することも検討しましょう。
高山 一恵
ファイナンシャルプランナー(CFP)
(株)Money&You取締役。中央大学商学部客員講師。一般社団法人不動産投資コンサルティング協会理事。慶應義塾大学文学部卒業。2005年に女性向けFPオフィス、(株)エフピーウーマンを設立。10年間取締役を務めたのち、現職へ。NHK「日曜討論」「クローズアップ現代」などテレビ・ラジオ出演多数。ニュースメディア「Mocha(モカ)」、YouTube「Money&YouTV」、Podcast「マネラジ。」、Voicy「1日5分でお金持ちラジオ」運営。「はじめての新NISA&iDeCo」(成美堂出版)、「マンガと図解 はじめての資産運用」(宝島社)など書籍100冊、累計200万部超。ファイナンシャルプランナー(CFP®)。1級ファイナンシャル・プランニング技能士。X(旧Twitter)→@takayamakazue
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